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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
領主

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聖域の力の調査結果

 それから三日間。ベネットが騎士団を使って魔物の調査を行っていった。セレーネ達は、水質と空気質の調査と儀式魔術に関する情報を集めていく。

 今日は、それらの報告会である。


「三日間の間に全体を調査したが、魔物は段々と元に戻ってきている様子だ。体調が悪そうな魔物もいたが、三日前よりも動きは良かった。範囲はカルンスタイン領の領内に収まっていると見て間違いないだろう。分布に関しては、そこまで変わった様子はない。あまり踏み入ろうとしないというような印象だ。こちらから誘えば来るがな」

「ふ~ん……でも、入って来ても弱体化しないんだよね?」

「ああ。それは確認出来なかった」


 三日前にも確認された事だが、浄化された範囲に入ってきた魔物は浄化の効果を受けていなかった。そして、この三日間でも同様に効果を受けなかった事が分かったため、浄化の効果に関しては、その場で発動した限りのものと考えられた。


「じゃあ、浄化はその時にしか発動しないで正しそうだね。水質と空気質に関しても、元に戻り始めてる事が分かったから」


 日が経つ毎に魔物の弱体化が元に戻っているのと同様に、浄化されたはずの水質や空気質も元に戻り始めていた。浄化が一時的なものである以上、常に浄化されているような聖域とは違い、周囲の空気や水と混じり合う事になる領内の空気や水は止められない。

 そのために徐々に戻り始めている事が調査魔術道具から分かった。


「ひとまず大きな変化は魔物の弱体化だけで大丈夫そう?」

「ああ」

「なら、長期的な効果はなさそうだね。ひとまず一ヶ月くらいは警戒しておいて」


 浄化の効果がどこにどんな形で現れているかは分からない。砦の壁が綺麗になっていたなどという報告もあるが、一生汚れないという訳では無い事は確認されている。ベネットの報告と調査魔術道具の結果から一時的な効果は確認できた。

 後は、長期的な効果があるのかどうか。これに関して、セレーネはないと判断している。自分達が確認した事に加えて、ベネット達が調査した事から考えて変化した内容は、どれも一時的なものだったからだ。だが、それでも絶対にないという事にはならない。

 今後、何かしらの変化があった場合に備えて様子見は一ヶ月続ける事にしていた。


「分かった。他に指示はあるか?」

「今のところベネット達にはないかな。警戒くらい」

「了解した。見回りの回数を増やす方向で進める」

「うん。よろしく」


 ここでベネットは退室する。ここからの話し合いにベネットは必要ないからだ。それよりも騎士団に指示を下す方が優先すべき事だった。


「さてと、ナタリアのおかげで儀式魔術についてある程度分かってきたけど、この浄化儀式魔術って、割と特殊?」

「捧げ物の事を仰っているのであれば、あちらの方が特殊と言えます。儀式魔術における効果の上昇及び魔力の補給のためのものらしいので」


 ナタリアが王都から購入してきた論文の中に、儀式魔術における捧げ物に関して書かれているものがあった。その要素に関しては、近年発見されたものでありナタリアもしっかりと認識はしていないものだった。そのためしっかりと読み込んで内容を把握していた。


「あの花は消費されなかったけど」

「見て分かるくらいに消費されるものと、中にある魔力が消費されるものがあるようです。その辺りの判別はまだ付いていないようです。花の生気を吸い取ったとして、花が即座に枯れるかどうかも分かりません」

「じゃあ、あれが捧げ物になっていた可能性はあるの?」

「はい。セレーネ様から受けた話を聞く限り、花の有無、つまり捧げ物の有無は関係ないという話にも受け取れます」

「そっか。儀式魔術に必要なもので訊いたから、花に関しては関係ないって言った。それが本当に関係ないかもしれないけど、捧げ物の要項を満たしていた可能性はあるんだね」

「次に向かった時に枯れていたとしても、時間経過によるものか判別がつきにくいと思いますが」


 捧げ物が完全に消失するものであれば、この辺りの判別がしやすいが、論文にも消失するものと残るもので分かれているところがあり、判別のしづらさを問題視していた。この事から、洞窟にて供えた花が捧げ物として機能していたかどうかはまだ分からなかった。


「ここら辺の調査はスピカに頼んでも良い?」

「はい。お任せ下さい。カノンをお借りしても良いですか?」

「うん。カノン、運転をお願いね」

「はい」


 ユニコーンに接触でき、儀式魔術を行っているスピカが調査には打って付けとなっていた。カノンは、スピカが聖域に行くまでの足として魔動車の運転手を担当する。

 セレーネの考えとしては、加えてスピカの護衛として付けるという意味もあった。ユニコーンがカノンの前に姿を現しているのだとすれば、聖域内に入る事も可能ではあるとも考えていた。実際に中に入るとは限らないが。


「ナタリアは、元の研究に戻って良いよ。儀式魔術に関しては、ちょっとずつ調べて行く事にしよう」

「はい。防衛にも使えるかもしれませんので、ある程度は研究を続けていこうかと思います」

「うん。私も気になるから、何か分かったら教えてね」

「はい」


 後は全体的な様子見だけとなるので、これ以上は大きく時間を割かない。元々の仕事をしながら、上がってくる情報を確認していくという作業のみになる。そこで異常があれば対策を取るという形だ。


「よし! じゃあ、地下道をどこに通すかとかの会議に戻ろうか。屋敷は再来週に完成予定だよね?」

「はい。その辺りで引っ越しとなります。執務用の屋敷も大体完成していますので、問題なく執務を行えるでしょう。私の宿舎が完成するまで、客室にてお世話になります」

「うん。メイドの皆もしばらくは客室だろうし大丈夫だよ」


 セレーネの屋敷は再来週に完成し、それを囲む壁は来週に完成予定となっていた。セレーネの屋敷よりも二回りほど小さい執務用の屋敷も再来週の完成予定となっている。ただ、これらを優先する関係で、メイドの宿舎とマリアナの宿舎は後回しになっていた。

 ただ、これの完成は一ヶ月後を目安に進められているため、客室の利用は本当に一時的なものとなる。

 家具の配置などは、来週から行われるがそれらが終わるのは、セレーネ達が住み始めてからしばらく経った後だろうと考えられていた。それでも自分達の家が出来るという事は、セレーネ達にとって嬉しい出来事となる。

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