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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
領主

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領内視察

 翌日。セレーネはカノンが運転する魔動車に乗り領全体の視察を行っていた。補佐官であるマリアナと護衛のベネットも同乗している。


「領の五分の一は聖域となっています。川は聖域との境界となっている場所を通り、その先の山が源流となっています」

「森全体が聖域って指定されてるわけじゃないんだよね」

「はい。分かり易く源流からとしていますが、厳密には聖域外であり、本来の聖域はもう少しだけ狭いです」

「じゃあ、境界線も余裕を持って作られてるって事?」

「はい。私としては、この程度の余裕があった方が聖域を侵さずに済むので良いと思っています。セレーネ様は如何でしょうか?」

「私もそれで良いと思う。下手に刺激したくないし」


 現状の聖域との境界線は安全マージンを取っている。これは元々設定されていたものだ。それを確認したマリアナは、厳密な境界を調べていた。そうして、安全マージンが百メートル程あるという事を確認し、安全マージンの外周を境界と定める事にした。

 セレーネもそれに異議はなかった。下手にユニコーンを刺激してしまえば、何が起こるのか分からないという考えがあったからだ。ユニコーンを実際に目撃し、その存在を認知したからこその考えだった。


「川の幅は最大で二十メートル。大きく弧を描きながら、海に向かう形をしています。この川の一部が領の境界線と重なっています。私達がいる平地は川よりも標高が高いです。川が氾濫した場合でもある程度は問題ないでしょう。増水の度にもよりますが」

「う~ん……氾濫に念のため備えた方が良い?」

「万が一を考えれば、やっておいても損はないでしょう。前領地時代の降水量の資料です。ここから離れた街での計測ですので、本当に参考程度にしかなりませんが」


 後部座席からマリアナが資料をセレーネに渡す。


「…………時々降水量が多くなるね。この川の氾濫の記録は?」

「杜撰な記録でしたので、正確な情報ではありませんが度々あったようです。ですが、街が離れていた事もあり、そこまで注視された事はありません。砦の方でも聞き込んできましたが、氾濫しているところを見た事はあるが、それ以上の事はしていないとの事でした」

「草原にどこまで被害が出るか分からない……なら、やった方がよさそうかな。堤防を作るだけのお金はまだないよね?」

「はい。街作りが優先されますので」

「じゃあ、これは後々にやる」

「承知しました」


 そんな確認をしていると、川の近くで魔動車が止まる。ここからは下車しての視察となる。セレーネは川の近くに行くために歩いて行き、その先に少し急な下り坂がある事を確認した。高さは五メートル程だった。


「思ったよりも低いね」

「川が底を削っていき、長い年月を掛けてこうなったとされています。天然の堤防になっていますが、ここから溢れる程の氾濫が起こっているということです」

「雨季とかは気を付けないとね。この増水は、山の方での雨が原因になるよね?」

「必ずしも山とは限りませんが、基本的には雨である事が多いでしょう」

「雨量を計測する魔術道具を作った方が良さそうかな。後は川の水位も測定して情報を送るようにしたい。天気も正確に予測出来るようにしておけば、対策を取りやすいかな。雨量がどのくらいを超えたら危険かの基準も作りたいかも」

「この辺りは氾濫が一度起こらなければ難しいでしょう。ですので、ひとまずは理論上で設定する事にしましょう」

「うん。川の水は問題ない?」

「はい。分析済みです。下水道はこちらに繋げる予定です。あちらで工事中です」


 セレーネがマリアナの指差す方向を見ると、遠くの方で穴を空けている現場が見えていた。


「ちゃんと流れるかな?」

「基本的に水の魔術道具で流す形にしますので問題はないと思います」

「そっか」


 工事現場にも挨拶を済ませたセレーネは、魔動車に乗り込む。そして、川の上流に向かって移動を始めた。


「この辺りの測量とかってやってない感じ?」

「まだ全ては終わっていませんが、街周辺などの測量は終えています」

「それならいいや。測量に関しては、特に考えないで良さそうだね。下水道の方はナタリアに任せて良いとして、ここの天候がどういう風に変わるのか……基本的には王都とかと変わらないか……雪も降らないんだね」

「稀に降るようですが、基本的にはありません」

「気温も穏やか……まぁ、季節の差はあるけど。今は夏の始まりくらいだから、もう少し上がるかな。うん。大体王都とかと変わらない。海からの風が大きい?」

「はい。割と距離を話しているので問題ないと思いますが、錆対策などはしておいた方が良いかもしれませんね」

「潮風でやられるってやつか……錆止めの開発をしてみるかな」

「魔動車だけではなく魔動列車にも使えそうですね」

「うん。そうだ。いっそのこと砦前の海岸を観光地にする? 魔動列車を走らせれば輸送はしやすいし出来ない事はないと思うけど」

「悪くはないですね。砦への物資の輸送もしやすくなります。ただ大分先になると思われます。現在魔動列車の線路を増やし、人の移動をしやすくするという案が出ており、そちらを優先する事になっていますので」


 この話を聞いて、セレーネは自分も内容を聞いた事があるという事を思い出した。


「複線化だっけ? ジェニファーが主導でやっているって話だけど」

「はい。魔動列車の本数が増えれば、それだけ人の輸送がしやすいので観光などがしやすくなります。待ち時間短縮にも繋がりますので、魔動列車が主流となった現在であれば、利用者数が伸び元を取る事が出来ると判断されたようです」

「駅も改装しないといけないしね。こっちも街が出来ていたら初期実験に付き合うって名目で一枚噛めたかもしれないのに」

「発想が何年か後に出てくれていればどうにかなりましたね」

「まぁ、列車は良いとして、魔動車用の道の整備は?」

「魔動列車の線路が通る場所が分からなければ難しいです。重なるようになると混乱を生む事になりますので。なので、この辺りも話し合いが出来ればと」

「分かった。街の大きさがどこまで広がるかにもよるしね。隣のルージュ公爵領から伸ばす形だろうし、ある程度は決められるかな」


 セレーネは領の視察をしながら、これから先に必要になりそうなものや使えそうなものをマリアナと話し合っていった。

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