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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
領主

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砦の部屋

 砦に戻ってきたセレーネは、マリアナの案内で自分の部屋へと向かった。そこではマリアが部屋を整えている最中だった。


「おかえりなさい。如何でしたか?」


 マリアナがいるので、マリアは、敬語モードになっていた。


「順調かな。屋敷はまだまだ先になりそう。街として機能するのは更に先かな。でも、確認事項は多いから大変。私も把握しないとだし」

「資料があれば整理しますが」

「じゃあ、マリアナが運んでくれるから、それをお願い。私はカノンとお風呂に入ってくる」

「はい。かしこまりました」

「じゃあ、マリアナは資料をここに運んでおいて」

「はい」


 セレーネは身体を伸ばしながら、カノンと一緒に浴場へと向かう。


「今思ったけど、マリアとマリアナって名前がほとんど同じだよね」

「マリアさんの方がよくいらっしゃるお名前ですね。マリアナの方が珍しいです」

「う~ん……確かに学園に同じ名前がいたような気がしなくもないかも。そう考えると名付けって難しい?」

「全員が全員別の名前でなければいけないという事はありませんので、あまり気にしなくても問題はありません」

「そっか。はぁ~……明日からも色々と大変そう。研究に戻れるのはどのくらいになるかな?」

「視察に時間を使いますので、一週間から一ヶ月は考えて置いた方が良いかと。魔物の分布確認もありますので」

「むぅ……そういえば、洗浄スライムは役に立ってるかな?」

「後程リーナに確認しましょう」


 月の桜桃の店主であるリーナは、月の桜桃の本店を移すまでの間、再びメイドとして働いている。他の店員達も同様だ。

 そして、洗浄スライムはセレーネが新たに開発したスライムであり、床や壁の汚れを落として食べるスライムだ。まだ試作品だが、壁そのものを食べるという事はないので、成功作でもある。セレーネの住む場所を不衛生には出来ないというユーリ達の主張により掃除スライムと洗浄スライムを先に持ち込む事を許可していた。

 セレーネ達が浴場に着くと、ユリーナが扉の横に立っていた。


「ユリーナ、久しぶり」

「お久しぶりです、セレーネ様。お風呂に入られるという事なので、私が見張りとしてここに立っておきます。安心してお入りください」

「ありがとう」


 セレーネがお風呂に入るという話が聞こえてきた事で、ユリーナは、砦の人間が誤って入らないように見張りに立つ事にしていた。そうでなくては、カノンが見張りに立たなければいけないからだ。


「ありがとう、ユリーナ。内部の様子は?」

「問題なし。マリアナが根回ししておいたからか、セレーネ様達への敵意はないかな。今後どうなるか分からないけど」

「分かった。ありがとう」


 ユリーナへの確認を終えたカノンは、セレーネの背中を押し、浴場へと入る。セレーネの身体を洗い、湯浴み着に着替えさせて湯船に浸かって貰っていた。


「ふぅ~……洗浄スライムはお風呂掃除にも使ってるみたいだね」


 セレーネは、自分の目の前に来た洗浄スライムを突っつきながら言う。


「水垢なども落とせるらしいので、鏡などを磨くのに使えるそうです。後は石鹸などのぬめりも取り除けるので、お風呂掃除に重要なものにはなりますね」

「そっか。報告書にもお風呂掃除に便利って書かれてたっけ。結局人の手でも掃除してるみたいだったから、あまり意味ないのかなって思ってた」

「細かいところを含めれば、スライムだけに任せておけないというのが事実ですね。部屋の掃除も人の手の届かないところは助かりますが、届く場所は自分達でやった方が早いですから。少しの埃ならという感じでしょうか。掃除スライムの仕事として、一番役に立つのは本の保存でしょうか。そのままの意味での本の虫や埃などを除いてくれますので」

「なるほどね。それも報告書にあったかな。最近まとめられてなかったから、そこら辺のまとめもしっかりとやらないとね」


 セレーネと話ながら身体を洗い終えたカノンは、セレーネの横に座って湯船に浸かる。


「砦にいる間、私はお嬢様と同じ部屋で寝泊まりをさせて頂きます。フェリシア様にはマリアさんが、ユイ様、ミュゼル様にはメイさんとマリアナが付きます」

「護衛?」

「その通りです。砦の人間は、まだ知り合ったばかりという事もあり、まだ信用する事は出来ません。ベネット達が目を光らせていますが、砦の兵は大体が男性なので」

「女性の兵は?」

「事前情報では少ないですね。基本的に巡回の兵は女性かベネットになるはずです。そこはご安心ください」

「ふ~ん……まぁ、ベネットは安心か」


 セレーネはそう言いながら、カノンの肩に頭を預ける。そうしてセレーネの体重を感じているカノンは、セレーネが本当に大きく成長したのだと実感していた。


「昔は膝に乗ってお風呂に入っていましたのに、ここまで大きくなられて私は嬉しいです」

「今でも膝に乗れるよ?」


 セレーネはそう言ってから、カノンの膝に乗った。対面になるように座るセレーネの腰にカノンは手を回す。


「お嬢様はいつまでもお嬢様ですね」

「ふふん!」


 セレーネはドヤ顔をしながら、カノンに抱きつく。そんなセレーネの頭を撫でながらカノンもゆっくり湯船に浸かり浴場を後にした。セレーネの部屋に戻って来たカノンは、セレーネの【空間倉庫】から必要な荷物を出していく。

 セレーネの方はマリアとマリアナが置いておいてくれた資料に目を通していた。


「大分初期費用が掛かるね」

「そうですね。街を一つ作る訳ですから。税を取れるようになるまでは、国からお金が出ます。一部は借金という形ですので、今後返却する必要がありますが」

「学術都市が機能したら返せそうだよね。あれは、うちの領が運営するようになるから学費が入るもんね。そこから返せれば良いかな。あまり税を重くしたくないし。私も賛成したけど、段々と上げて本来の税にするのって不満出ると思う?」

「先にその旨を知らせておけば、問題は無いと思います」

「そこら辺もしっかりとしないと。後は次の視察で領全体を見るから、地図の確認かな」


 セレーネは視察が順当に進められるように領内の地図を確認しておく。そうして確認していると、夕食が運び込まれてくるので、夕食を食べ終えて、もう一度カノンと共に復習してから一緒に眠りに就く。久しぶりにカノンと一緒に寝るという事で、セレーネはぴったりとカノンにくっついて眠りに就いた。

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