表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
アカデミー

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

270/423

受け入れが早い

 ミュゼルとのお茶会を終えたセレーネは屋敷に転移して戻って来た。直後に、カノンが部屋に入ってくる。


「おかえりなさいませ」

「ただいま」

「何か問題がありましたか?」


 セレーネの様子から何かしらがあったと見抜いたカノンが尋ねる。


「う~ん……割と色々あったかな。フェリシアは?」

「先程ご帰宅し、現在は浴場に」

「じゃあ、私も入ってくる。話はフェリシアも出てからね」

「分かりました。湯浴み着だけお持ち下さい。お着替えは運んでおきます」

「は~い」


 入浴を終わらせたセレーネは、フェリシア、カノン、マリア、スピカを自分の部屋に集めた。


「スピカは教会の仕事は終わったの?」

「はい。怪我人は全て治療を終えて病院に託してきました。お話というのは、セレーネ様の爵位のお話ですか?」

「ん?」


 フェリシアやカノン達も驚いていたが、セレーネも何故スピカが知っているのか分からず困惑していた。


「あれ? 私のところには、セレーネ様が辺境伯になるため、その街の教会を運営するようにという風に指示だが出されているのですが」

「まだ決定じゃないよ? まぁ、そういう話になっているっていうのを今日聞き出したところなんだけど、取り敢えず、爵位云々は置いておいて」

「置いておくの?」


 爵位の話も重要なのではと思ったマリアは、少しだけ戸惑っていた。内容に辺境伯などの言葉が混ざっていたからというのもある。マリアの中では、どう考えてもこちらも重要な話なのだ。


「うん。諸々まとめて返事を出さないといけないから。まず、これの他に私がユイとミュゼルとも婚約するという話が出てるの」

「そういえば、ユイが言っていたわね」


 フェリシアがそう言うと、セレーネは目を丸くしてフェリシアを見ていた。


「え? フェリシアも知ってたの?」

「今日、偶々ユイに会って聞いたのよ。寝る時に話そうと思っていたから、まさかセレーネから話題が出ると思わなかったわ。今回の反逆で、二人が婚約していた家も取り潰しになったから、何のしがらみもなくセレーネと結婚出来ると閣下と陛下が判断したようね」

「まぁ、それもあるけど、今回の件で私に取り入ろうとする他の貴族への牽制にもなるからだって。まぁ、それでも結局当人同士の気持ちがないと話にはならなかったと思うけど。ユイもミュゼルも同意はしているみたいだから、後は私とフェリシアの同意を得られればって話。フェリシアは良いの?」

「まぁ、そういう事が普通の世界で生きていたから、特に気にしないわよ。この場合正妻はミュゼル様になるのかしらね」

「そこは譲らないから。フェリシアが最初。そうじゃないと受け入れないって返事をする時に言うつもり」


 セレーネの言葉に、フェリシアは微笑みながらセレーネを抱きしめる。


「ありがとう」

「ううん。それじゃあ、陛下達には了承で返事するよ」

「ええ。お願い」


 フェリシアが簡単に受け入れたので、この話はガンドルフへ返事をして終わりとなる。


「後はさっき置いておいた爵位の話ね。私の名誉貴族の称号が取り下げられて、普通に辺境伯の称号が与えられるの」

「それって辺境に移るって事でしょ? 空白地帯にセレーネの領を作るって事?」


 マリアの確認にセレーネが頷く。


「そういう事。色々と分け合っても管理の関係上、空白地帯が生まれるから、その部分を私に渡すって。それで、そこに学術都市を造って欲しいらしいよ」

「学術都市ですか……辺境の強化……辺境にも人が向かうようにして中央との差を減らそうと考えていらっしゃるのかもしれませんね」

「うん。大体その通りだと思う。辺境に学術都市を造れば、そこに生徒がやって来る。それに研究者とかも来るかもしれない。そうして大都市に発展したら、その間の領とか街にも少しずつ人が来るようになるかもしれないでしょ? そういう感じで一部の場所固まってる人達を全体に広げようと考えているみたいだよ。場所的には東端くらいの場所。海に近いね。国境近くではないから、戦争に備えてとかではないと思う」

「う~ん……大分大きな話だけど、セレーネの功績を考えると、そのくらいの事にはなるかもね」


 マリアが把握している中でも王族全員の救助に、王城内の反逆者の殲滅、誘拐され掛けていた令嬢達の救出。最初の王族全員の救助だけでも、名誉男爵から名誉伯爵まで陞爵してもおかしくないものだった。そこに加えて、更に大きな功績を挙げたので、褒賞としては妥当だと考えられた。


「仮に褒賞を受け取るとして、総合研究室はどうするの?」

「やるよ。ナタリアも向こうに連れていく事になるみたい。人選自体も大分進んでそうだし、陛下達は本気でやるつもりじゃないかな。まぁ、まずは王都の復興が優先されるけど」

「月の桜桃はどうするの?」

「こっちの向こうを【空間転移】で繋いで、私が運べば良いかなって。もしくはリーナ達も連れて行く。一応、失敗した時を考えて小さな場所にしていたし、そこまで大きな出費でもなかったからね。そこら辺は話し合いかな。他の諸々も基本的に話し合って決めると思う。後は、結婚する事になるなら、私はユイとミュゼルも眷属にする」

「まぁ、そうよね」

「セレーネならそうすると思った」

「リーシア様にも連絡しなくてはいけませんね」

「セレーネ様の眷属がまた増えますね」


 全員がセレーネの考えを理解していたフェリシア達は、セレーネであればそうするだろうと知っていた。そのため全員に驚きはなかった。


「むぅ……まぁ、そういう事だから、今後私が辺境伯になるかもしれない事とミュゼルとユイとも結婚する可能性があるって事を覚えておいて。私達が了承するから、ほぼ必ずそうなると思うけど」


 セレーネが思っていたよりも話はすんなりと受け入れられた。フェリシアがそもそも伯爵家の人間という事もあって、重婚自体に抵抗などがないというのが大きい。全員が同性というのも元々セレーネとフェリシアが婚約していたので、周囲から何か言われる事もない。

 そもそも王家が了承している時点で誰かが文句を言う事は出来ない。そんな資格もないのだから。

 翌日。セレーネは、ガンドルフにこの旨を報告しに向かった。


「そうか。受け入れてくれるか。人付き合いが苦手で臆病な子だが、自分の想いには一途なはずだ。これからよろしく頼む」

「はい。それで一応決めておかないといけないので、こちらから一つ条件が。正妻とするのは、フェリシアでお願いします」

「先に決まっている婚約だ。それは当然だろう」

「王族のあれとかこれとかは大丈夫なんですか?」

「問題ないわけでもないが、特に気にしなくて良い」

「分かりました」

「よし。では、辺境伯の話も進めて良いな?」

「私に務まるか分かりませんが」

「そこは大丈夫だろう。取り敢えず、正式に決まるまでは普段通りにしていてくれ」

「はい。では、失礼します」


 こうして、正式にセレーネは三人の嫁を貰う事になった。貴族として生きていくつもりはなかったセレーネだが、ここまでくればその意地もなくなる。セレーネの中での唯一の懸念点は、自分の研究をする時間がどれだけ取れるかという事だった。ゴーレムの販売やスライムの改良などやりたい研究は残っている。


(気ままに研究が出来るまで、頑張って発展させよう……)


 セレーネはそう心の中で決意しながら、その時まで過ごしていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ