↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
学園中等部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/423

休み時間のセレーネとフェリシア

 それから一週間が経った。セレーネの学園生活は、フェリシアがいる事もあり順調に進んでいった。二人が飛び級してきた事もあり、二人に近づく生徒はいなかった。どう接して良いのか分からないからだ。

 それらを抜いても、セレーネは少し退屈していた。


「ねぇ、フェリシア」

「何かしら?」

「ここの授業って、割と退屈?」

「そういう事は口にして言うものではないわよ」


 カノンからも授業を受けているセレーネは、既に知っている事ばかりだったので、授業に退屈していたのだ。


(というか、中等部の内容を平然と理解しているセレーネも凄いけど、教えているカノンさんも凄いわ。セレーネの頭が良いからというよりも、セレーネに合わせて教え方を変えているという風に見るのが正解よね。学園がアカデミーに進学させたかった訳だわ……剣聖や賢者には出来ない内政への大きな貢献が期待出来るわ。それも教育の分野で……学園からしたら、惜しい人材を逃したと思っているのでしょうね)


 セレーネの教養の高さから、フェリシアはカノンの有能さに気付いた。自身のメイドであるジーニーも多才だが、教育という点に注目すれば、カノンの方が上なのかもしれないと思っていた。


「魔術の授業は楽しいけどね!」

「本当に魔術が好きなのね」

「先生が基礎魔術の研究室に所属しているから、基礎魔術にばかり力が入ってたけどね。でも、おかげで基礎魔術の大事さを理解出来たけど」

「確かに基礎は疎かにしない方が良いって、ジーニーも言っていたわ。セレーネを見て、それがどういう事なのかよく分かった気がするわ」


 セレーネは魔術の授業において、既に他の追随を許さない成績を残していた。教師が言った事を即座に再現し、それ以上の事までしているので当たり前と言えば当たり前の結果だった。

 当の本人にとっては、レイアーが教えていない事が内容に含まれているので、わくわくしながら授業を受けて、教えてもらった事を実践しているだけだった。これは、レイアーの基礎魔術による魔力操作の練習が大きく貢献していた。


「基礎魔術だけなら、無詠唱で発動出来るからね。後は、それの形とかを変えて、射出する速度とかを設定するだけ戦闘魔術になる。まぁ、普通に戦闘魔術として発動した方が早いんだけど」

「まぁ、戦闘に使うとしたらそうよね」

「だから、基礎魔術から移行する時にどれだけ素早く設定出来るかが重要になるんだよ」

「でも、基礎魔術を使用しながら、戦闘状態に突入するなんて事、そんなにあるのかしら?」

「う~ん……【光球(こうきゅう)】を使っている時に襲われたらかな?」

「灯りを失うのは、痛手になるわよ。一気に暗闇になったら、目の順応が追いつかないわ」

「でも、それは相手も同じじゃない?」

「それは人相手の話でしょう? 魔物相手の方が可能性としては高いのだから、想定すべきはそっちよ」

「いや……そうでもないよ……」

「?」


 実感の籠もったセレーネの言葉に、フェリシアは首を傾げる。誘拐された件に関しては、そう簡単に口外してはいけないという事になっているので、フェリシアには話せなかった。


「まぁ、良いわ。取り敢えず、人相手だとしても、相手の視界と共に自分の視界が消えるのだから、意味はないと思うわ」

「う~ん……じゃあ、【光球】から移行するのは無理かぁ……」

「寧ろ、戦闘時に【光球】を使うかどうかも考えものね。月明かりがあるなら、夜目を慣しておくのも良いんじゃないかしら?」

「月明かりがあるならでしょ? 森の中とかだったら、枝で光が遮られたりして、視界も悪いんだから、光源は重要だよ。相手に位置を知られるデメリットもあるけど、このデメリットはある程度受け入れるべきものだと思う」

「そうよね……」


 フェリシアは納得しながら唸る。他に方法がないかを考えているのだ。


「後は、【火球(かきゅう)】を光源にするとか」

「それは危険よ。洞窟で派手な火魔術を使えば、酸欠になる可能性があるのと森林で使えば森林火災が起こる可能性もあるわ」

「酸欠と火災か……」

「どっちも重要な事よ。特に火災に関しては、その場の生態系にも影響してくるもの」

「まぁ、そうだよね。水魔術があるとはいえ、消火活動は大変だし。でも、酸欠は風魔術で解決してるでしょ?」

「それは、外に待機する人が一人いるという前提の元で解決しているだけよ。加えて、探索前に二日くらい風魔術で空気を送り込む必要があるわ。それでも酸欠状態になる事故が絶えないくらいには、大きな問題ね」

「そうなんだ。それは知らなかったかも」

「まぁ、普通は洞窟探索なんてしないもの。鉱山を持っていれば話は別だけれど」

「なるほどね」

「でも、これらの前提が関係ない場所もあるわ」

「ダンジョンでしょ?」


 ダンジョン。魔力が濃く溜まった場所出現する特異な存在。その中に大量の魔物を有する。最奥にダンジョンのコアがあり、それを守るように強力な魔物がいる。ダンジョンの中という快適な縄張りを守るという意識が刷り込まれているのだと考えられている。

 その特徴の一つとして、中で死んだものを取り込み、それに付属している装備などを宝箱に入れて各所に配置する習性を持つ。宝箱に入れられた物は、高濃度の魔力により変質している事が多い。これらは、新たな獲物をおびき寄せるための餌としていると言われている。実際、冒険者達はこの装備を求めてダンジョンに挑み続けている。

 ダンジョンや森などに存在する魔物は、豊富な魔力を持った凶暴な生物である。人を襲ってくる事も多いので、早期討伐が望ましい。獣が魔力を持ち過ぎて変化するタイプと自然に溜まった魔力から発生するタイプがいる。主なのは後者だ。ダンジョンもこの後者のタイプの魔物なのではという考え方もある。


「ダンジョンには、常に新鮮な空気があるの。これは、ダンジョン自体が空気を生み出しているからと考えられているわ」

「ダンジョンに魔物が住むには、空気が必要だからね。ついでに、宝箱を狙ってくる冒険者達も中に入ってくれないと困るし。それに、ダンジョンの壁に鉱石が入っている事もあるから、態々コアを壊してダンジョンを破壊しないようにしたりして、国益に繋げてるんでしょ?」

「鉱山よりも確実にあるから、重要視されているわね。冒険者達も鉱石を溜め込む意味もないから、すぐに換金してくれるし、通常の鉱石に困る事はないって言われているわね」

「でも、鉱山も捨てられてないのは?」

「鉱山は、鉱山で鉱石を得られるから、採れる場所からはしっかりと採っておこうという考えだと思うわ」

「まぁ、そうだよね。ダンジョンから採れると言っても、定期的にしっかりと補充出来るわけでもないし」

「鉱石の自家栽培が出来れば楽になるのと思うのだけれど」

「鉱石が生えてくる畑って事? そもそも鉱石を生やすにはみたいな問題がありそうだけど。錬金術で、そういう土壌を作るとか?」

「そんな簡単な事なら、昔の研究者達がやっていると思うのだけれど」

「じゃあ、放課後に図書館に行かない? 錬金術とかに関する論文とかあるかも」

「そうね。ジーニー達に声を掛けてからね」

「勿論! やっぱり、フェリシアとは話が合うね。だから、好き」

「んな!? あなた……もう……」


 唐突な好意に、フェリシアは顔を真っ赤にする。そんなフェリシアを見て、セレーネは微笑んでいた。

 これが基本的に休み時間で二人がしている雑談だ。内容的には、勉学に関するものなので、勉強に興味のない学生達は、そもそも話に交ざろうとも思わない。加えて、中等部とはいえ、子供がするような話という訳でも無い。

 中等部生徒達の話題は、昨今出回っている漫画に関するものばかりだった。通常の文字だけの物語よりも絵が付いた漫画の方が子供達には入り込みやすかった。そのため、子供達の話題になりやすく、平民にも広まっている。

 だが、セレーネとフェリシアは、あまり興味がなくそっちの話題は全く出ていなかった。これも他の生徒が話し掛けない理由の一つなのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。