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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
アカデミー

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ゴーレムの服

 翌日。セレーネは、総合研究室の研究棟に来ていた。そこでゴーレムの服作りをするために、設計から始めて行く。その中で、カノンからスライムに関する報告を受けていた。


「掃除スライムの核?」

「はい。普通に掃除する分には、人の手でやった方が早いのですが、掃除スライムは、私達の手が届かない場所などの掃除に向いています。ベッドの下などの掃除は本当に助かっています。ですが、タンスなどの裏側に入る際に、核が引っ掛かってしまっています。なので、平たく出来ないでしょうか?」


 カノンが見ている時にそう言った行動が何度も確認されていたので、セレーネに要望を出していた。


「ふ~ん……なるほどねぇ。核を平たくするのかぁ……出来るのかな?」

「私には分かりかねます。お嬢様はどうお考えですか?」

「う~ん……出来なくはないと思う。色々と試す必要はあるけど。掃除スライムは、人が入れない場所の掃除に使うって考えたら、その方が良さそうだね。洗濯スライムは?」

「現状布の破れ等はありません。下着などの手洗いには良いかと。ただ核に引っ掛かる事があるので、ネットに入れる事を前提とすると良いかと。この辺りは報告書にも書いておきました」

「そういえばあった気がする。核の問題は割とあるのかぁ……でも、核がないとスライムみたいな状態にならないしなぁ。ここは仕方ないと割り切ろう。問題の掃除スライムの核に関しては考えてみるよ」

「はい」


 実際に使っている人達からの要望はセレーネにとって重要な事だった。自分では気が付かないような事も気が付いてくれるというのは、セレーネにとって、とても嬉しい事だった。


「こちらの服は、全ての金属で?」

「それが良いかなって。ここから魔力の補給が出来るように裏地に魔力を蓄積する魔力結晶を付けるの。追加装甲って感じかな。皆が服を着せたがってたから、服っぽいものを用意した方が良いかなってね。一番ゴーレム出て来て」


 【空間倉庫】を開いて、セレーネが呼び掛けると一番ゴーレムが出て来た。セレーネは一番ゴーレムを採寸していく。


「膝丈くらいにしておくかな。もう戻って良いよ」

『かしこまりました』


 一番ゴーレムはそう言って【空間倉庫】の中に入っていく。

 セレーネは採寸した情報とジェニファーの設計図を元に追加装甲を設計し製作していく。スカートは一枚で構築するのではなく、複数の装甲を重ねるようにして配置する事でスカートのように見せる。胴体の装甲に関してはカノンから助言を受けながらメイド服らしく作っていく。それも金属製だが、防御用ではないので軽量で魔力結晶を間に挟めるような形にして溜め込める魔力の量を増加させた。

 セレーネは二日掛けて追加装甲を完成させて、一番ゴーレムに取り付けていった。そして、歩行などの再設定を行い、再起動する。


「全体確認」


 しばらく時間をおいてから返事が来る。


『問題ありません』

「追加装甲は認識出来てる?」

『はい』

「取り敢えず、成功っと。カノン、どう?」


 セレーネはカノンに見た目の感想を訊く。性能面は、これから実地試験で確認する事になるので、現状で確認するべきは見た目だったからだ。


「そうですね。変ではありません。遠目から見ればメイドに見えます」

「じゃあ、ナタリアにも一応確認してから、標準装備にするか考えよう。一番ゴーレムは、私に追従」

『かしこまりました』


 一番ゴーレムを連れたセレーネは、ナタリアの研究室にやって来る。


「ナタリア。ゴーレムの改良をしてみたんだけど、確認してくれる?」

「はい。この前話していた追加装甲ですね」


 ナタリアは入って来た一番ゴーレムの周囲を回って、問題がないかと見た目の確認を行っていった。


「魔術陣同士の干渉はしていないようですね。魔力も溜め込めるため、魔力が不足する可能性は限りなくゼロに近しいでしょう。見た目的にも戦闘型ではない事がよく分かりますので、こちらも問題ないかと思います。出来る事なら、スカート部分はもう少し柔らかく作ると良いかもしれません。このままでは装甲が邪魔になる可能性がありますので」

「そっか。じゃあ、スカートの見直しをしていくね」

「はい。材料的には大丈夫ですか?」

「うん。この前発注した分で間に合ってるよ」

「分かりました」


 実験室に戻ったセレーネは、ナタリアのアドバイス通りにスカートを改造する。


「う~ん……チェーンメイルっぽくしようか」

「魔力結晶の加工が難しいのでは?」

「難しいだけで、出来ないわけじゃないから。魔力結晶の形を変えて、それを金属でコーティングする形にしようかな。全体を魔術道具にして構築する感じで」

「大変ですね」

「これが出来たら、他にも色々と出来るようになると思う! 頑張ろう!」


 セレーネは魔力結晶を細かく加工していく。この加工は、難易度が高くセレーネは大分苦戦を強いられる事になった。一週間掛けて何とか形にしていった。

 メイド達から貰うスライムとゴーレムの報告書などにも目を通しながら、しっかりと全体の研究を進めている。


「ふぅ……ようやく加工が終わった……」

「見事なチェーンスカートですね」

「早速装着!」


 セレーネは一番ゴーレムにチェーンスカートを穿かせる。そして、少し離れて全体を見る。


「うん。問題なし。全体確認」

『問題ありません』

「スカートの状態は?」

『魔力の貯蓄を開始しています』

「ちゃんと管理下に入ってるね。動きに問題は?」


 セレーネが確認すると、一番ゴーレムから身体を動かしていく。


『問題ありません』

「よし! じゃあ、ナタリアに見せに行こう」

「はい」


 セレーネは、ナタリアの研究室にて、一番ゴーレムの新しいスカートを見せる。ナタリアは、チェーンスカートの一つ一つのチェーンが精巧に加工された魔力結晶だと気付いて、唖然としていた。


「本当に魔力結晶を加工していたのですね……」

「うん」

「この細かさ……並みの魔術道具職人から見れば正気を疑うレベルです」

「時間を掛ければ出来るんじゃない?」

「まぁ、一度コツを掴めば成功率は上がりますが、この数を揃えるのは凄いです。機能に問題も無さそうですね。ですが、この追加装甲に関しては、委託も無理でしょう」

「う~ん……まぁ、私が使ってる分には問題ないでしょ?」

「はい。ここら辺はこっちでどうにかしてみましょう。後は実地試験を続けるくらいですね」

「うん。問題が起こらないとは限らないしね。スライムの感情問題もあるし」

「ゴーレムでは見えませんが、もう少し検証が必要でしょうね」

「うん。ひとまずそれぞれの改良案を考えながら観察かな」


 ゴーレムの服もある程度完成したところで、セレーネはそれぞれの改良案を考えつつ、それぞれの観察をする段階に移った。

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