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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
アカデミー

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試作ゴーレム完成

 部品を全て完成させたセレーネは、一度眠ってから組み立て作業に入る。ただ填め込むだけではなく、しっかりと関節が外れないように固定する必要があった。なので、作業的には少し時間が掛かる。


「これで良し。メンテナンス性は悪いかな?」

「肩などが外れてしまうよりはマシだと思います」

「後、これって首も浮かせた方が良かったかな? 見栄え的な意味で」

「見栄えを考えるのであれば、首は繋がっている方がよろしいのではないでしょうか。首だけ飛んでいる姿を見れば恐怖かと」

「…………確かに。じゃあ、今はこのままで良いか」


 全ての組み立てを行った後、セレーネは全てのゴーレムに魔力を注いでいく。初期動作に必要な量の魔力を込めて全ての機能をオンにすると、それぞれのゴーレムが動き出す。稼働時には目が光るようにしているので、黄色の金属が僅かに発光する。

 全員がしっかりと立ち上がったのを見たセレーネは一度頷く。


「良し。全員全体確認」


 セレーネがそう言うと、三体のゴーレムは立ったまま固まる。ここで魔力が途切れている箇所や部品として壊れている箇所、不具合を起こしている箇所など調べる。セレーネ自身では気付かない事も、自分でスキャンするゴーレムであれば気付く可能性もあった。


『問題ありません』

『問題ありません』

『問題ありません』


 三体のゴーレムがそれぞれ返事をする。それを聞いてセレーネは確認事項を書いている紙に記入をしていく。


「次は耐荷重試験ね。外に出て、ゴーレム一番から順番に持ち上げていこう」


 ゴーレムは全身が機械式の関節となっている一番。肘膝のみが魔術的関節になっている二番。肩、肘、膝、股関節が魔術的関節になっている三番の三種類がいる。耐荷重試験は、それぞれが何キロの物を持ち上げられるのか。持ち上げた際に掛かる全身の負担、特に関節部分へと掛かる負担はどの程度かという事を調べる。

 最初は十キロから初めて、十キロずつ増やしていきながら検証する。持ち上げられなくなったところから、今度は一キロずつ減らしていき最大値を調べる。

 そして、その一回一回で全体確認と関節への負担確認を行って、それぞれの負担を調べつつ記録する。

 この中で特に注目しなければいけないのは、魔術的関節を持つ二番と三番である。実際に関節を持たない二番と三番がどれだけ重い荷物を持てるかで、今後の形が決まってくる。


「五十キロも全員合格。でも、一番は関節部に負担が掛かり始めてる。持ち上げる姿勢とかの問題もあるのかな?」

「持ち上げてからしばらくその状態を維持していますので、どちらかと言えば維持の方に負担が掛かっているのではないでしょうか?」

「なるほど。持ち上げ方も一応ちゃんとしているはずだもんね。二番は肩の関節とかに負担が掛かり始めてる。三番は問題なし。全体的な部品への負担もほぼなし。なるほどね……続けていこう」


 そこから百キロまで増やしていくと、一番の限界値がやって来た。持ち上げられるが、関節への負担が増大しているのだ。

 二番の肩の負担も強くなっているが、まだ許容範囲内だった。三番に関しては、特に問題はない。


「ダイレクトに力が伝わる分、負担は大きくなると……一番は百十キロを持ち上げて」

『かしこまりました』


 一番が百十キロを持ち上げようとすると、僅かに浮くばかりで、そこから先が持ち上がらない。状態も安定していなかった。


「もう良いよ。一番全体確認」

『各関節部への負担大。故障箇所無し』

「取り敢えず、一番の限界を確かめてみよう」


 そうして重量を調整していき、一番の限界荷重百キロ前後という事が分かった。百五キロを過ぎる段階で、安定しなくなるため、無理をさせても百四キロまでとなる。


「これが限界か……でも、百キロも十分凄いよね?」

「そうですね。通常の人でも百キロを持ち上げて運ぶのは厳しいと思います。ですが、関節部の負担を考えると、八十キロ辺りまでというところでしょうか」

「なるほどね。それじゃあ、一番は休憩ね」

『かしこまりました』


 その後二番と三番の試験を継続していく。すると、二番は百五十キロで肩関節に限界が来た。


「百五十キロ前後が限界か……百五十キロのものって何があるの?」

「そうですね……特には思い付きません」

「そっか。正直八十キロ前後でも特に問題は無いんだよね……いや、ここで深く考えても仕方ない。三番の最大耐荷重を調べよう」

「はい」


 そうして調べていくと、三番の耐荷重は五百キロになった。五百キロの物を持ち上げると、頭以外の部品に大きな負荷が掛かってしまう。


「【座標指定】で指定した分身体の方が引っ張られる事になると……まぁ、一体で行う作業で五百キロを持ち上げさせるのは、ほぼほぼないだろうから大丈夫かな。この感じなら三番の形が一番良さそう。コスト的にも、一番安くなるし」

「その分魔術の素養を持つ人が製造に必要になりますね」

「あっ、そっか。人材の問題か……う~ん……でも、それは今後の人材育成でどうにかなると思う。取り敢えず、一番と二番は、三番の形に変えて三体で実地試験をしていこう。良いよね?」

「はい。私もその方が良いと思います」


 今後の製造で一番と二番の型を使う事はほぼないと判断し、三番の型での実地試験を行う事になった。二日掛けて、一番と二番の身体を三番と同じ形にしたセレーネは、一番を自分の【空間倉庫】、二番を屋敷の設置型【空間倉庫】、三番を総合研究室の倉庫に配置して、実地試験を行う。

 一番と二番はカノンが、三番はナタリアとユリーナが指導していき倉庫の整理を担当する事になった。そして製造に関する報告書を纏めたセレーネは、ナタリアに報告書を提出する。


「受け取りました。では、こちらで報告させて頂きます。それと中継基地が大分出来上がって来たので、そちらでの作業をお願いします」

「うん。分かった。一箇所だけ?」

「はい。現状は。まずは一箇所を完成させて、無線での会話が出来るかの調査になります。お泊まりになると思われますので、テントの持参をお願いします」

「は~い。それじゃあ、三番ゴーレムをお願いね」

「はい」


 スライム作り、ゴーレム作りが一段落し、実地試験にて問題を調べる段階に移ったところで中継基地の手伝いが始まる。やることが多いセレーネは、それでも終始楽しそうにしていた。

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