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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
アカデミー

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ゴーレム作り開始

 翌週。アカデミーの夏季休暇に入った事もあり、セレーネの研究室にジェニファーも滞在して設計をしていた。ただミュゼルも遊びに来ており、ジェニファーは別室に移動した。さすがに第四王女がいると緊張してしまうからだ。

 セレーネの研究室には、大量の移動式黒板も配置されており様々な魔術陣を描いていた。


「う~ん……重心を感知……バランス……これで感知は出来るかな」

「こ、これって【運動分析】?」

「う~ん……まぁ、合ってるかな。ちょっと改造して対象に働いている力を検出するようにしてるの」

「?」


 ミュゼルは、セレーネが何を言っているのか分からずに困惑している。困惑しているミュゼルのために、セレーネは空いている黒板を使って説明をする。こうして他人に説明する事で、自分でも内容の再認識が出来るので、セレーネは特に苛立ちなども見せていなかった。


「【運動分析】って視界で捉えているものか【座標指定】の範囲内にあるもがどういう風な運動をしているかを調べるでしょ?」

「うん」

「重力で引っ張られ続けている力を常に検出していると、情報が多くなり過ぎちゃうの。だから、下方向に向かって沈んでいかない限りは、重力による力の検出をしないように調整されてるんだ。だから、逆に重力を感知しつつ、身体に掛かっている質量を計算して重心がどこにあるのか分析するようにしたの。だから、【重心分析(じゅうしんぶんせき)】ってところかな」


 対象を調べる事に特化せずに、自分の身体を分析するように特化させた分析魔術だった。自身で使った場合にも自分の重心がどこに偏っているのかを分析する事が出来る。


「これを計算内容に入れて歩行用の術式を作る感じかな」

「そ、そっか。身体に掛かる質量を調べる事で物を持った時の重心も分析出来るんだね」

「そういう事」

「て、手は冷えるようにしたりするの?」

「ん? ああ、そっか。熱を蓄えないようにしないといけないかも……【空間倉庫】で活動するなら冷蔵庫とかにも入るかもしれないし。そうなると、衛生面とかも考えて自浄機能も欲しいかも……特化型で冷蔵庫冷凍庫特化を作るか……う~ん……」


 新たな悩みが出来たセレーネは、ミュゼルをソファに連れていってミュゼルの膝枕で横になる。


「分析指示。分類魔術。低温維持。抗菌。自浄作用」


 セレーネは音声指示で思考機に分析をさせる。適当に論文を読み込ませているので、こういう時にそういった情報を調べて纏めさせる事が出来る。セレーネが自分で探すよりも素早く出来るので、この間にセレーネは別の事が出来る。


「べ、便利だね……」

「うん。私が忘れてる論文とかからも纏めてくれるからね。自分の記憶は当てにならないから」

「セ、セレーネちゃんの記憶は凄いと思うよ……?」

「魔術陣は覚えていられるんだけどねぇ……論文の内容を全て把握するのは厳しいかな」


 さすがのセレーネでも論文の内容を一から十まで全て完全に覚えておく事は難しい。だからこそ、こうして思考機に論文を入れて検索を掛ける事が出来るようにしているのだった。

 セレーネがミュゼルの膝枕でゴロゴロとしていると、扉がノックされる。


「どうぞ」


 セレーネが遠距離で扉の魔術的鍵を解くとユイが中に入って来る。


「ユイだ」

「ちゃんとノックの相手が誰か確認してから開けなさい。知らない人だったら危ないでしょう?」

「ユリーナが選別してくれてるから大丈夫。ユイはどうしたの?」

「ミュゼル様がこっちにいるって聞いたから来たのよ。ミュゼル様がちゃんとお友達を出来ているか見にね。まぁ、心配は無かったわね」


 セレーネがミュゼルに膝枕をして貰って甘えているのを見て、ユイは心配が杞憂だったという事を確認した。


「全く失礼しちゃうなぁ。ミュゼルとは仲良しだよ」

「う、うん……」


 抱きついてお腹に顔をくっつけるセレーネに、ミュゼルは顔を真っ赤にしながら頷いていた。


「ミュゼル様が恥ずかしがっているわよ」

「これも特訓の一つだよ。ちょっと考え事もしたかったし。フェリシアもいないから甘える対象がカノンしかいないけど、カノンはナタリアとお話ししないといけない事があるから。ジェニファーは設計のお仕事をして貰ってるし、ミュゼルが適任でしょ?」

「はいはい」


 ユイは、ミュゼルの隣に座ってセレーネの頭を撫でる。セレーネが子供っぽいという事もあり、一、二歳差しかないが、二人は甘やかしてしまう。


「今は何を作っているの?」

「ゴーレムだよ」

「ゴーレム……」


 全く考えていなかった内容にユイは困惑する。


「わ、私も困惑したよ……でも、内容を知ったら、セレーネちゃんらしいって思ったよ……」


 ミュゼルがそう言うので、ユイはセレーネから内容を聞く。そして納得したように頷いた。


「なるほどね。確かに倉庫の整理なんかは人員を置くとしても、引き継ぎ内容が多くて後任の任命が大変みたいよ」

「へぇ~、詳しいね」

「セレーネは別邸で暮らしているから、あまり聞かないのかもしれないわね」

「でも、うちにも設置型の【空間倉庫】があるから、皆倉庫の管理とかしてくれてるよ?」

「なら、使用人から話を聞くのも良いかもしれないわね」

「実際に整理している人から欲しいものを聞いたら、ゴーレムに反映させやすいって事?」

「そういう事。倉庫を整理する時に気を付けている事とかを聞いておけば、ゴーレムが整理する時にも問題が起きにくくなると思うわよ」

「なるほど……その視点は無かったかも」

「普段からカノンに整理を頼んでいるからよ」

「むぅ……」


 こればかりは事実なので、セレーネは何も言えなかった。だが、この話は割と重要だった。倉庫を整理させるのに気を付けないといけない事があるかもしれないという事が頭から抜けていたからだ。

 これをゴーレムの行動に反映させて、中のものを駄目にさせないようにしないといけない。セレーネは屋敷に帰ったらしっかりと確認する事を決める。


「やっぱり誰かと話すのは良いね。自分で思い付かなかった事に気付いてくれるから」

「まぁ、そうね。私もセレーネに助けられていた訳だし」

「わ、私も……」


 セレーネは、そんな事を話ながら思考機が資料を纏めてくれるのを待ち続けた。

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