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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
アカデミー

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ナタリア合流

 翌週。人員補充として、魔術研究室所からナタリアが派遣される。ダンジョン調査の任から帰ってきてすぐに合流する事になった。さらに、セレーネ個人が引き入れたリーシアとミーシャもいる。セレーネの親戚という事で、開発に携わる事が出来るようになったのだ。

 また開発部にはアカデミー生の中から成績優秀者が何人から見習いとして入ることになった。セレーネ達が開発を進めている間に、職人としての力量を上げていく方針になっている。


「なるほど。多重魔術陣にするにしても、接続部分はその魔術陣に干渉し過ぎない位置にしないといけないと」

「うん。多重魔術陣として構築する場合、魔術陣そのものを多重魔術陣用にする必要があるよ」

「情報処理魔術に二種類の魔術陣があるのは、多重魔術陣として使う場合とそのまま使用する場合で異なるからという事ですね。改めて理解出来ました。こちらの制御魔術は多重魔術陣にして魔術結晶にするという事で良いのですね?」

「うん。あまり複雑じゃない方が良いから、最適化機で最適化中」


 セレーネは分析機と最適化機を持ち込んできており、そこに魔術陣を掛けて最適化している最中だった。

 ナタリアは目を輝かせながら分析機と最適化機を見ている。


「こちらが例の魔術道具でしたか! 論文で拝見した時からずっと気になっておりました。本当に魔術道具が自動で動いているのですね。これは最適化が終われば止まるのですか?」

「最適化案を常に出す設定にしてるから、全ての案が出終わったら止まるかな。行く行くは、魔術開発を自分でしてくれるような感じにしたいなって考えてるかな」

「なるほど。確かに、この最適化案を出してくれるというのは助かりますね」


 ナタリアは一通り最適化機の結果を見てから、セレーネが開発中の魔術陣が書かれた黒板を見ていく。


「制御するものは速度だけではないのですね」

「うん。物理的なブレーキの他に魔術的なブレーキを用意するのと、姿勢制御とか、結界の管理とか、色々だね。全てを一つの機能にはしないで、それぞれ分担する事にしたの」

「全て先頭車両と最後尾車両に積み込む形でしょうか?」

「うん。それが良いと思う。ちょっとだけ車両が大きくなるけど、それに合わせてジェニファーが設計し直してくれてるから」

「それがこっちの設計図ですね。それでこっちが組み込む魔術道具の設計図ですか。基本的な設計は、分析機と最適化機に似ていますね」


 制御系のコアは、分析機と最適化機と同じ球体をしている。なので、ナタリアはその二つと似ていると感じたのだ。


「うん。コアは、この球体が一番良いかなってね。前よりも使う魔術結晶が多いし、ちょっと複雑だけどね。ミーシャちゃんが手伝ってくれるから大丈夫。問題は、そもそもの魔術陣が完成していない事かな」

「そうですね……取り敢えず、速度の制御は駆動系に干渉するようにしましょう。魔術的ブレーキには、停滞魔術を使いましょう」

「停滞魔術?」


 セレーネは聞き覚えのない魔術に首を傾げる。


「はい。物質が持つ運動エネルギーを別エネルギーに変換して無くすというものです。少々危険な魔術ですが、魔動列車に使うのでしたら問題ないでしょう。変化するエネルギーは、光エネルギーにしましょう。熱エネルギーにして蒸気を利用する方法もありますが、魔動列車に関しては、特に意味がありませんので」


 この停滞魔術は、ナタリアが開発した魔術であり、論文にもまだしていないものだった。なので、セレーネが知らないのも当たり前だったのだ。


「ふ~ん……そのエネルギーを魔力結晶に吸収させたり魔術結晶に送ったり出来ない?」

「出来なくはないですが、永遠に循環する事などはできません」

「エネルギーを変換するのにエネルギーを使うから?」

「それもありますが、全てのエネルギーを無駄なく変換する事が出来ないのです。自分が欲しいエネルギーにしようとしても一部分は別エネルギーになるなど、まだ不安定な魔術なのです」

「へぇ~、まぁ、止まれば良いから、何度か循環する形に出来れば良いよ」

「では、魔力に変換し吸収する仕組みを作りましょう」

「うん。ブレーキはこれで良し。結界の管理とかは普通に制御術式を使えば良いとして……いや、一度全部作ってから後を考えよう」


 ナタリアが加わった事で、魔術に関する開発の速度が上昇する。ナタリアは、セレーネが使う情報処理魔術を実際に見て何度か興奮していた。逆にセレーネは、ナタリアが教えてくれる魔術で興奮していた。

 続いて、ジェニファーの方も開発部部長ランゲルと意見を交わしながら順調に設計図を書いていた。セレーネからの注文は、ランゲルからしても無茶な注文ばかりだったので、かなり頭を悩ませていたが、それでも諦めるという事はなかった。

 これらのアドバイザーとしてリーシアやミーシャが付いている。


「つまり、魔力結晶を装甲の内側に付けたいって事か?」

「うん。壊れないようには出来ないよね?」

「無理だな。結晶の時点で割れやすい」

「やっぱり別案が良いかぁ……ミーシャちゃん、魔力圧縮で出来るあれを魔力結晶みたいに出来ない? 弾力があるし、壊れないと思うんだけど」

「そうですね……模索してみましょう」

「うん!」


 セレーネがミーシャに案を出したところで、ランゲルはセレーネに質問する。


「その魔力圧縮で出来るってのは何だ?」

「ん? これ」


 セレーネは魔力圧縮で弾力性のある球を作り出して、ランゲルに渡す。


「何だ?」


 ランゲルは球を指で弄りながらどういうものかを確認していく。


「加工が難しそうだな……弾力は強い……衝撃吸収能力があるかもしれん。これが魔力を圧縮して手に入るのか」

「うん。でも、あまり使い道がなくて」

「だろうな。俺もこのままで使う方法は思い付かねぇ。だが、これに魔力結晶と同じような魔力保有能力を持たせられるのなら装甲に付ける事は可能だろうな」

「でしょ? 取り敢えず、これの研究もして使えそうなら使うとして、結晶無しで結界を張れるかな?」

「魔純鉄で作るにしても、魔力がどこまで追いつけるか分からねぇな。内壁に設置して装甲に流すのは駄目なのか? 最初の案がそれだっただろ?」

「駄目。魔力線を繋ぐ手間と衝撃で魔力線がズレたら意味が無くなちゃう。ある程度余裕を持たせて少しのズレなら許容出来るようにするって考えたけど、いざって時に発動しないとかは本当に駄目だから」

「セレーネの嬢ちゃんは、安全の基準が高ぇからなぁ……だが、それだけ安全に物資を輸送出来るのは重要だ。こっちでも加工法を考えておく」

「ありがとう」


 人員を増やしながら、一歩一歩を時間掛けながら進んで行く。

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