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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
アカデミー

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空間転移装置設置終了

 王都に帰ってきたセレーネ達は、そのまま本邸へと向かった。ラングリドの執務室へと通して貰う。


「お父様。空間転移装置の設置と座標の記録が終わったよ」

「ああ。ご苦労。マリアからある程度報告は受けている。こっちでも転移試験を何度か行っている。現状問題なく転移させる事が出来ている。空間転移装置を用いた輸送路は八割方完成したと言って良いだろう。

 大きな妨害も事前に防ぐ事が出来ている。こちらはベネットの成果だな。全く迷惑な話だ。こちらの話を下に情報共有しておらず、その下の者達が解雇される事を恐れて妨害に走ったとはな」


 セレーネ達が設置している間に、何度も妨害しようとする者が現れていた。行動に移す前にベネットが捕縛していたので、大きな事件になる事はなかった。

 そして、そこから妨害を起こそうとしていた者達の理由を得る事が出来た。それは、自分達輸送業で働いている者達の大規模解雇が行われるのはないかと危惧したからだという。

 ここに関しては、ラングリドが手を回しており、解雇せずに雇い入れるという話に落ち着いている。転移によりに魔動列車への積み込みと管理がなくなった分、空間転移装置への運び込みや街中での輸送を担当してもらう話になっている。

 そこの伝達が行われていなかったが故の勘違いにより、セレーネに危害が加わろうとしていた。そのため逮捕した者達の上司も裁かれる事になった。具体的には、降格や解雇である。解雇まで至る者は、そもそも他の面でも問題が見つかったためだ。


「向こうに選定を任せた事が原因だった。全ての者を確認するのも一苦労なんだがな……」


 ラングリドは深々とため息をついている。後任を選定する際に、実際に様々な事を調べ上げるはめになったからだ。


「そっか。取り敢えず、私の仕事は終わったって事で大丈夫?」

「ああ。問題があれば屋敷に人を送る。今日はこっちに泊まるか?」

「ううん。フェリシアのところに帰る」

「そうか……」


 ラングリドは見て分かるくらいに落ち込んだ。久しぶりの娘との時間を得られるかと思ったが、当の娘は恋人と過ごしたいと振ったからだ。

 そんなラングリドを見てもセレーネは特に気にせずに執務室を後にする。本邸を出る途中でミレーユと遭遇し、セレーネは即座に飛びついた。


「ただいま!」

「あら、おかえりなさい。色々な街を見られて楽しかった?」

「うん! 沢山論文買ったの! 王都じゃ見ないようなものばかりだった!」

「良かったわね」

「うん!」


 セレーネは久しぶりにミレーユと会えたので、力強くミレーユに抱きついていた。そうして、セレーネの頭を撫でていると、ミレーユは一つ気付いた事があった。


「セレーネ、少し背が大きくなったのね」

「本当!?」

「でも、セレーネは、そこまで大きくならなさそうね」

「えぇ~……お姉様くらいにはなるかな?」

「う~ん……テレサは、この時もう少し大きかったから」

「むぅ」


 セレーネはぴょんぴょんと跳ねながら大きくなるアピールをするが、ミレーユは優しく微笑むだけだった。セレーネが長身になる事は恐らくないだろう。

 ミレーユと別れたセレーネ達は別邸に戻ってきた。ベネットは騎士団の方に向かったので、同じくここで別れた。

 屋敷に入ると、すぐにフェリシア、マリアが出迎えてくれる。セレーネは、真っ先にフェリシアに飛びつく。


「ただいま!」

「おかえりなさい。もう全部終わったのかしら?」

「うん! 後は問題が起こらない限りは大丈夫かな。もう転移の試験もしているらしいし。使い方も共有してあるしね」

「そう。それじゃあ、後は荷物の整理をしなくちゃね」


 セレーネ達は部屋に戻る。部屋の中で甘えてくるクロをセレーネが撫でている内に、【空間倉庫】内の荷物をカノンとマリアで片付けていく。フェリシアは、セレーネがお土産で持って来た論文を整理している。


「本当に生産魔術の論文集まで買ったのね」

「うん。鉱山で利用するような魔術があったから、面白いなって思って」

「確かに、魔術道具の話になるとセレーネは興味がありそうね」

「うん。基本的に魔術道具に利用出来そうな論文とかを買ったよ。後、フェリシアにお土産で氷魔術の論文も買ったよ。冷蔵庫と冷凍庫に関するものだって」

「そういうものもあるのね。私はあまり魔術道具を作らないのだけど、これはこれで面白いわ」

「でしょ? 自分の分野だと、あまり興味のない内容でも面白く感じるよね」


 フェリシアは、整理する手を止めてセレーネが買った論文集を読み始めてしまう。自分の研究に関係しそうなものがあれば、どうしても読みたくなってしまうのだ。セレーネに構って貰って満足したクロが眠ってしまったので、セレーネも自分が買ってきた論文を読み始める。結果、片付けはカノンとマリアで全てやる事になった。


「そういえば、フェリシアはまた単位取れたの?」

「ええ。三単位貰えたわ。【凍結結界】に風魔術を組み合わせる事で、結界の範囲はそのままで、凍結範囲を広げる事やただの風魔術に氷属性を含ませるという研究ね。おかげで、少し風魔術の扱いが分かってきたわ」

「あっ! ズルい! 私も風魔術を使いこなせるようになりたい!」

「なら、地道に使っていかないとね」

「う~ん……水は昔から使ってたから氷に応用しても問題ないって感じだし……でも、風かぁ。何に使えるかな……お姉様は風に闇を掛け合わせて使っていたけど、空間と風って何に使えるんだろう? フェリシアの【凍結結界】の冷気を広げるって使い方は、割と使い道が多いよね。

 冷凍庫でも風を掛け合わせて乾燥と凍結を進めやすくなるし、冷蔵庫も全体を満遍なく冷やすとかが出来そうだし。というか、【凍結結界】を利用した攻撃って結構エグいよね?」

「風の密度にもよるけど、十秒もすれば完全に凍結するわね。身体の一部だけを目標としたら、もっと早く出来るわ。普通に風魔術に氷魔術を掛け合わせるよりも、こっちの方が効率的ね」

「ふ~ん……じゃあ、空間内の空気を全部無くすとか」

「風で出来るのかしらね?」

「う~ん……空気を動かす的なのは厳しいかな……空間内を割って攻撃するあの魔術を応用して風の刃で満たすとか!」

「普通に割った方が良いと思うわよ」

「う~ん……時間魔術はあまり使えないし……情報処理魔術で出来るのは、【風探】を【空間探知】みたいにするものくらいだし……私の研究に風魔術を利用する方法って難しいよね」

「そうね。新しい分野に手を出すしかないと思うわよ」

「う~ん……適当に使ってたら思い付くかな」


 屋敷に帰ってきて早々セレーネは普段通りの生活に戻った。セレーネの研究生活が再開する。

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