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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
アカデミー

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素材の収集

 翌週。シローナが王都に帰ってきたので、セレーネはカノンを伴って運輸事業の話をしにリーシアの屋敷を訪ねていた。


「いらっしゃい!」


 屋敷に入った直後、セレーネはシローナに抱きしめられた。


「むぐ……シローナちゃん苦しい……」

「あ、ごめんね。それで今日は何の用かな?」


 シローナはセレーネを抱き上げながら訊く。


「空間転移装置の材料についての相談。いっぱい作らないといけないの」

「ふむふむ……詳しく聞こうかな」


 シローナは、セレーネとカノンを伴って、自分の部屋に来た。シローナの部屋は、少しファンシー趣味な可愛らしい部屋だった。そこの椅子にセレーネを座らせて、正面に自分も座る。


「さてと、必要な量とかは計算してあるのかな?」

「うん。はいこれ」


 セレーネは、シローナに材料の量がメモされた紙を渡す。それを見たシローナは、思わず苦笑いする。


「これは……また凄い量だね。この量の調達となると二ヶ月くらいは掛かるかなぁ」

「私も一緒に調達出来ないかな?」

「セレーネちゃんも? う~ん……まぁ、出来なくはないかな。でも、ピュアスライムの討伐は結構面倒くさいよ?」

「でも、シローナちゃんばかり頼るわけにもいかないから。私の仕事だもん。私も頑張らないと」


 セレーネが張り切っているのを見たシローナは、優しく微笑み掛けて、セレーネの頭を撫でる。


「そっか。じゃあ、ダンジョンの場所を教えるね。ピュアスライムの身体は錬金術において重要なものになるから、ダンジョンも結構残されているんだ」


 シローナは、セレーネにダンジョンの場所を書いた紙を渡す。その場所は王都から離れた場所にあった。


「結構遠いね。魔動列車で行けるかな?」

「うん。ちゃんと行ける場所にあるよ。グリンリア領の街が近くにあるからね」

「うん。分かった」


 セレーネは、メモをカノンに渡す。場所の把握をしたカノンは、メモをセレーネに返して今後の移動プランを頭の中で立て始める。材料集めの話も終わったので、セレーネは椅子から降りてシローナの方に向かっていき、その膝に乗って抱きついた。

 セレーネが甘えてくるので、シローナも嬉しくなってセレーネを甘やかす。シローナからすれば、セレーネは妹または娘も同じなので全力で甘やかしたくなるのだった。


────────────────────


 それから一週間が経ち、セレーネは、カノン、フェリシア、マリアを連れて魔動列車に乗りグリンリア領にあるダンジョン『スライムの洞窟』に来ていた。ここにはスライムとピュアスライムしか出ない。そのコアを抜き取る事で、身体を残したまま倒す事が出来る。コアが離れた時点で、身体は魔物の一部と判定されないからだ。その身体を瓶詰めしていく事で回収する。

 この身体の回収には、風魔法が用いられる。コアを押し出し、身体を纏めてあげて瓶に移す。これらをセレーネ達は次々に行っていく。ついでに、スライムの身体も回収するのを忘れない。ここのボスを倒す必要はないので、浅い階層に留まり朝から夕方付近まで狩りをしてグリンリアで寝泊まりするというサイクルで素材を集める事になった。

 寝泊まりする宿で、【空間倉庫】を出したセレーネは内部に保管しているピュアスライムの身体の量を確認していた。


「一週間で、大きな瓶五十本か」

「ピュアスライム自体、数が少ないから仕方ないわよ」


 一緒に確認していたフェリシアが、この一週間でのダンジョンでの交戦回数などから、ピュアスライムの数が少ないという事を指摘する。


「う~ん……割と大変だよね。身体の全てをしっかりと回収するのも大変だし……シローナちゃんはこういう事を普通にやっていたっていうのが凄いよ」

「そうね。この数で空間転移装置の魔術結晶は何個作れそうなのかしら?」

「う~ん……二個くらいかな」

「……それは、確かに二ヶ月くらい掛かりそうね」


 上手く狩れている現状でそれくらいの量しか回収出来ていないので、これを必要数集めるとなると、シローナが言っていたという二ヶ月が妥当な期間だったのだとフェリシアは思っていた。


「うん。私もそう思った。一応、滞在予定は後三週間だし、私達で半分近く集められたら良いかなって感じ」

「そう。凍らせる事が出来れば、回収も楽になるのだけどね。冷蔵保管は必須だけど、凍結するとスライムの身体が維持されなくなるというのは厄介よね」

「フェリシアは、氷魔術が得意だもんね。私も風魔術の繊細な操作は苦手だから分かるよ。こういうとき、器用に魔術も使えるマリアは凄いよね」


 基本的にはマリアが狩りを担当していた。セレーネ達も戦闘経験を積むために戦闘はしていたが、効率良く多くの素材を手に入れられているのは、マリアのおかげだった。


「本当ね。ところで、こっちのスライムの瓶は何かに使うのかしら?」

「う~ん……魔力結晶くらいかな。まぁ、その魔力結晶が重要なものだから、いくらあっても困らないし」

「ああ。なるほどね。これから先空間転移装置を設置するのに沢山必要になるものね」


 セレーネが全ての素材を回収する事に拘っていたので、フェリシアはこのスライムの身体を何に使うのだろうかと考えていた。その答えをセレーネから聞き納得する。今回生産していく空間転移装置には、魔力結晶も必要不可欠なのでスライムの身体も重要な素材の一つになっていた。


「それに安全策をもう一つ作ろうと思ってるから、スライムの身体もまだまだ必要なんだ。だから、一ヶ月でいっぱい狩らないとね」

「それなら私達も安定して狩れるようになる必要があるわね。苦手を克服する良い機会だと思いましょう」

「うん! そうだね!」


 セレーネはフェリシアに抱きつきながら返事をする。そんなセレーネの頭をフェリシアは優しく撫でる。


「それじゃあ、そろそろ宿に戻りましょう。カノンさんやマリアさんも待っているわ」

「うん。あっ、ちょっと待って。品質が保たれているか確認が済んでない瓶があるから」

「ええ。分かったわ」


 セレーネは、冷蔵の温度に問題がないことを再度確認してから、宿に戻ってくる。その後、三週間掛けてセレーネ達は素材を集めていった。そのおかげで、二人とも風魔術の扱いに磨きが掛かった。それでも苦手な事には変わらないが。

 一ヶ月の素材集めが終わったセレーネ達はグリンリア領から王都へと帰還する。久しぶりの遠出になったが、特に大きな問題が起こる事なく終わった。本来であればこれが普通の事である。

 王都に戻って翌日には魔術結晶作りを開始する。その一ヶ月後にシローナが帰ってきて、ピュアスライムやスライムだけでなく、安定剤となるドラゴンの素材まで集めて持ってきた。セレーネは順調に空間転移装置を生産していく。

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