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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
アカデミー

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空間転移装置完成

 空間転移装置のパーツ製作が完了したセレーネ達は、空間転移装置の組み立てに入った。屋敷の一室を利用しての組み立てになる。

 組み立てられた空間転移装置は、本体である魔術結晶を閉じ込めた転移装置を正方形の台座で覆っている。その四隅には大きめの円柱が建てられている。


「小さな神殿……いや、こうして見ると祭壇ね」


 ユイの感想は設計図を見た時とは変わっていた。実物を見ると、その印象が変わるというのは良くある事だ。


「実際には、この台座に見える部分を床に埋める方式にするつもりだけどね。転移場所は、新しく作る予定だから」

「なるほどね。この円柱が魔力を吸収するのよね?」

「うん。安全装置は枠に作ったから、この台座は魔力を吸収して保管しておく事を重視したの。予備の大型燃料って感じかな。台座自体に魔力を大量に溜め込んでおいて、魔術結晶が魔力を消費したら、すぐに枠組みが魔力を吸収して補充するって仕組み。この大きな柱が常に沢山の魔力を吸収しているから、台座の中には基本的に魔力がいっぱいなの」

「加えて、枠組みに組み込まれた安全機構が魔術結晶の状態を逐一確認して壊れないように調整するという仕組みね。魔力不足以外にも魔術結晶に何かあれば止まるから、二重に安全を確保している感じね」


 ずっとセレーネから話を聞かされていたフェリシアが、セレーネの説明に補足する。


「これをレッドグラスでも組み立てないといけないんだよね……」

「まぁ、大変よね」


 組み立てを手伝ったユイは、その大変さを身に染みて理解していたのでしみじみ頷いていた。


「だから、ユイもレッドグラスに行こう!」

「えっ……まぁ、出来なくはないけれど」

「本当!? じゃあ、明日ね!」


 セレーネはユイ身体をぐいっと寄せながら期待の眼差しでそう言う。そんなセレーネの子供らしい部分を見て、ユイは小さく笑いながら頭を撫でる。


「ええ。お父様に話しておくわ」

「やった!」


 セレーネはユイに抱きついて喜ぶ。久しぶりにユイと長く生活出来ている事が嬉しいので、まだまだ一緒にいられる事が嬉しいのだ。ここでユイはルージュ公爵家に戻る事になった。

 明日はレッドグラスに向かうので、その報告をするためだ。見送ったセレーネは、部屋に戻ってベッドでフェリシアに抱きついていた。ずっと設計と製作ばかりで、大分消耗していたため英気を養っているのだ。

 この状態でもフェリシアは研究が出来るので、特に構わなかった。フェリシアとしてもこうして甘えてくるセレーネが好きだからというのもある。問題なのは、軽く首に甘噛みしてくる事くらいだった。

 翌日。セレーネはカノンとユイ、メイを連れてレッドグラスへの魔動列車に乗った。貸し切り車両で移動していたセレーネは、ユイの隣で楽しそうにしていた。そんなこんなでレッドグラスの別荘に着いたセレーネ達は、その一室で転移装置を組み立てていく。


「よし! 後は転移試験! ユイも外から見て気になった事を教えてね」

「ええ」


 セレーネは空間転移装置に乗って、王都の屋敷に転移する。転移までの時間、魔力の集まり方、台座の様子、それらを確認しつつ屋敷まで転移する。王都の屋敷にはフェリシアがいるので、そちらでも台座などの確認を頼んでいる。

 セレーネは予定通り連続で転移をしていく。転移開始まで十秒、転移後再度転移可能になるまで三十秒なので四十秒毎に転移を繰り返す。

 前の魔術道具では六往復が最大だった。それでも頻度が減っているという条件によるもの。だが、今回はそうならず、十往復しても問題なく起動していた。


「うん。やっぱり、連続で転移する事で魔力がどんどん枯渇したのが原因だったんだ。頻度が落ちれば、それだけ魔力を吸収する時間が出来ていたから、往復出来る回数が増えた。ユイは何か気付いた事ある?」

「魔力という点で見ていたけれど、もう少し魔力を蓄えられるようにした方が良さそうね。今の頻度の転移でギリギリだったように見えるから」

「そっか。台座と柱の改良……かな。そっちで調整してみる。ありがとう」

「いいえ。こっちこそ良い経験をさせて貰えたわ」


 魔術道具の試験など、普通では経験出来ないような事を次々に体験させられたので、ユイとしても良い経験になっていた。


「じゃあ、経験ついでに転移して。人による違いとか体重による違いとか見たいから。メイもね」

「は、はい。かしこまりました」

「まぁ、セレーネよりは体重はあるものね」


 体重による違いで、暗に自分がセレーネよりも重いと言われている事に気付いたユイは、乙女として少々複雑に感じていた。だが、セレーネよりも年上で身長もある時点で体重が低いことはほぼあり得ないので受け入れるしかなかった。

 ユイやメイ達が転移した時にも問題は発生しない。そして、ユイが教えてくれた内容をセレーネも確認出来た。


「なるほどね。一回で台座半分以上を吸い上げるから、余裕があるようでないのか……四十秒あれば大部分を補充出来るみたいだけど、安全を考えるならもう少し欲しいね」

「そうですね。魔術結晶の方に問題がないか最後に見ておくのが良いかと」

「そうだね」


 セレーネは本体に蓋を開けて、魔術結晶の様子を確認する。そこには綺麗に傷一つない魔術結晶が存在した。


「うん。問題なさそう。それじゃあ、このまま転移試験を続けるね。向こうにいるユイ達にも説明するから、次に戻ってくるのはちょっと遅いかも」

「はい。分かりました」


 屋敷に戻ったセレーネはユイ達にこれから転移試験を続ける旨を説明する。その後は、ユイはフェリシアと研究に関する話をして、セレーネはひたすらに転移試験を行った。まだ十回程度の試験しか出来ていなかったので、完全に安全を確保出来たとは言えない。なので、壊れるまでとは言わないが、出来る限り転移を続ける事にしていた。

 そうして百回連続で転移したが問題は一切発生しなかった。ただし、ユイが言っていた心配は、常に発生しており、そこを修正する事は決定した。


「ユイありがとうね。おかげで、論文に出来ると思う。輸送事業にも繋げられそうだし、論文をしっかりと仕上げないと」

「全部書くの?」

「ううん。ある程度はぼかすよ。色々と悪用されかねないからね」

「それなら良かったわ」


 改良案などを簡単にメモした後、セレーネはユイとフェリシアと一緒に遊んでいく。研究もするが、息抜きもしっかりと行うためだ。尚、遊んでいる最中にクロの乱入を受けたため、外での追いかけっこになっていき、ユイが息切れする事になった。

 その後、必要な素材、必要な処理、必要な土地面積などを論文に記していく。魔術陣などに関しては、ある程度ぼかしておき、悪用を防ぐための措置を施しておく。そうして空間転移装置の改良と論文を仕上げるのに二週間を掛けていった。

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