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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
学園高等部

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大剣持ちのミノタウロス

『ヴモオオオオオオオオ!!』


 大剣を持ったミノタウロスがセレーネに突っ込んでくる。セレーネは、そのミノタウロスの横を抜けて、背後にいたミノタウロスに飛び掛かった。


「あははは!! 目玉も~らい!」


 セレーネは一切の躊躇いなく、目に右手を突っ込む。生暖かい感触が腕を覆う。


「あっはぁ! 気持ち悪~い」

『ヴモオッ!?』


 そして、その内部から【火弾】を連続使用して、内部から弾けさせた。自分の腕が黒焦げになっているが、セレーネは気にした様子もなく笑っていた。


「あはははは! 真っ黒! えへへへへ!」


 ミノタウロスが灰になる前に背中を蹴って、その背後にいたミノタウロスに飛び掛かり噛み付く。血を吸いながら自分の右手に魔力を集中させて、カノンのように魔力を装甲のようにして纏う。それを背中から突き刺して、【闇氷槍】を放つ。


『ヴモッ!?』

『ヴモオオ!?』


 ミノタウロスの体内から飛んでいった【闇氷槍】は、正面にいた別のミノタウロスの腹にも穴を空けた。

 背後から突っ込んでくるミノタウロスに気付いたセレーネは、【水球】を飛ばす。鼻から中に入った【水球】がミノタウロスの気道を塞ぐ。唐突に呼吸が出来なくなったミノタウロスは、パニック状態に陥る。

 血を吸っていたミノタウロスが灰になったので、そちらに移動しようとしたセレーネの真上から大剣を振り下ろされる。セレーネは頭上に一ミリの大きさの結界を張る。面積が小さい代わりに、強度に極振りされた結界だ。ミノタウロスの大剣はそれに防がれた。

 攻撃を防いだセレーネは大剣持ちを無視して、窒息させているミノタウロスに接近する。そして、【水蓮花】を使い、顔に水を纏わせた。窒息している水が抜けても良いようにするためだ。そのまま吸血をしながら、水に手を突っ込んで【雷撃】を使う。水を伝えて内臓を焼いていく事で、ミノタウロスを殺す。


「あははははは!! まだ足りな~い!! ふへへへへ!!」


 掴みかかってくるミノタウロスに対して、セレーネは闇属性を付与した氷の剣を作り出して斬る。【闇氷槍】の剣バージョン【闇氷剣(あんひょうけん)】だ。

 ミノタウロスの腕を斬り落とし、そのまま首まで斬る。血の噴水が出て来るので、それを浴びながら飲んでいく。


「う~ん……やっぱり美味しくな~い! えへへ! でも、血は欲しいなぁ!」


 セレーネはひたすらに大剣持ちを無視して、ミノタウロスの身体を斬り裂いていき、時にはその身体に剣を突き刺して血を飲む。血を飲む度に満たされる感覚と共に昂揚感が増していく。

 セレーネのテンションは、どんどんと怪しい方向に高くなっていく。


「あはははは!! あれぇ? もういない? じゃあ、最後の一匹だぁ」


 セレーネはようやく大剣持ちのミノタウロスに目を向けた。どう考えても強力な個体である事は、今のセレーネにも理解出来ていた。そのために邪魔になるミノタウロスを排除していた。


「それじゃあ、倒しちゃおうねぇ」

『ヴモオオオオオオオオオオオ!!』


 大剣持ちミノタウロスは、仲間を殺され怒りに震えながら血走った目でセレーネを見る。対して、セレーネは弓なりに弧を描いた笑みで、大剣持ちのミノタウロスを見ている。自身の威嚇が通用しないセレーネに大剣持ちのミノタウロスは恐怖を覚えていた。その恐怖を怒りで塗りつぶしながら、セレーネに突っ込む。

 その勢いのままセレーネに向かって大剣を叩きつける。セレーネは、一歩横にズレる事で避ける。そして、【闇氷槍】を放ったが、大剣持ちのミノタウロスも横にズレる事で避けた。だが、【闇氷槍】が纏っている闇の余波により、軽く皮膚が削れる。


『ヴモッ!?』

「あ~あ、ちゃんと避けなきゃ」


 怪しく笑いながら煽るセレーネに、ミノタウロスは更に怒りを積もらせる。


『ヴモオオオオオオオオ!!』


 横薙ぎで大剣を振るミノタウロス。セレーネは、姿勢を低くして避ける。そのまま大剣を持つ手を斬り落とそうとしたが、これまでのミノタウロスと違って、そのまま斬り裂く事が出来なかった。


「あっ、硬いねぇ」


 それでも傷を付けられたので、セレーネは【火纏】を使って、ミノタウロスを焼く。だが、ミノタウロスは、その炎を気にせずに片手を大剣から放して、セレーネの左腕を掴む。そのまま握り潰したが、セレーネは何も考えずに左腕を引き千切って、ミノタウロスの脇腹に手を当てて【闇氷槍】を放つ。


『ヴモッ!?』


 脇腹に黒い氷の槍が突き刺さるが、貫通しなかった。ミノタウロスが振ってくる大剣を避けるために、セレーネは大きく後ろに飛び退く。


「あはははははは! 見て見て噴水。あははははは!」


 セレーネは笑いながら、噴出している血を圧縮してミノタウロスの顔に向かって飛ばしていく。ミノタウロスは、セレーネの攻撃が危険である事を学んでいるので、大剣の腹で受け止める。それによってミノタウロスの視界が塞がれる。

 それがセレーネの目的だった。セレーネは結界の剣を十三本生成して飛ばす。自動で攻撃する結界の剣により、ミノタウロスの意識が削がれる。その間に、【闇氷槍】を五本生成して走る。

 ミノタウロスは、大した攻撃を持っていない結界の剣を無視して、突っ込んでくるセレーネに向かって大剣を振ってくる。セレーネは、直前に【空間接続】を使い、ミノタウロスの背後に移動する。正面から五本の【闇氷槍】。背後から【闇氷剣】を持ったセレーネ。完全に挟まれたミノタウロスが選んだのは、背後にいるセレーネだった。背中に【闇氷槍】が刺さるのも構わずにセレーネを斬り裂こうとする。


「あはっ!」


 ミノタウロスの目が驚愕に染まる。何故なら、自分が斬り裂こうと縦振りした大剣が、セレーネの左側を素通りしたからだった。セレーネが左腕を引き千切っていなければ、左腕に引っ掛かって、地面に叩き付ける事が出来ていた。腕一本の差が、ミノタウロスの命運を分ける事になった。


「ざ~んねんでしたぁ!」


 黒い氷の剣がミノタウロスの口を貫く。そのまま腕を突っ込んだセレーネは、手の先から【火弾】を連射して、ミノタウロスを内側から焼き尽くした。

 ミノタウロスは大剣を落とし膝を突く。そして、大剣と角を残して全て灰になった。セレーネは、そこで両脚で着地する。


「足りない足りない足りない足りない……」


 セレーネは幽鬼のようにふらふらと徘徊し始めた。自分の渇望を満たすために……

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