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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
学園高等部

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旅行三日目の盛り上がり

 旅行三日目の朝。ルリナは、テレサのベッドで目を覚ました。隣ではテレサが眠っている。普段は無表情だが、寝顔はあどけないものだった。いつも通りのテレサを見て小さく笑ってから、ルリナは昨日の事を思い出す。


(そうだ。お嬢様と一緒にいるために、セレーネ様に眷属に変えて頂いたんだった。身体の調子は……問題ない。魔力が増えているらしいけど、違和感も何もない。でも、お嬢様やカノンさん達の存在を微弱に感じる。セレーネ様が強く感じるのは、私の主人になったからかな)


 他の眷属達と自分の主人となったセレーネの存在を感じ取れるという違和感を除けば、ルリナの身体には違和感がなかった。なので、いつも通りメイドとしての仕事を始める。歯磨きと洗顔をし、メイド服に着替えてから時間を確認する。空は白み始めた程度の薄暗さを持っていた。

 掛け布団をテレサの肩まで上げてから、片手剣を腰に差し部屋を出る。すると、丁度カノンが出て来たところだった。

 カノンは、ルリナの存在に気付いていたように頭を下げる。


「おはようございます」

「お、おはようございます。カノンさん」

「身体に違和感はありませんか?」

「はい。皆さんの存在を感じるのが慣れないくらいです」

「こればかりは、普通の種族には存在しないものですからね。お嬢様の血を飲めば、感じる範囲と正確性が上昇しますので、しばらくは飲みに通ってください」

「わ、分かりました」


 ルリナは少し緊張しながら返事をする。


(血を飲む……そうだよね。眷属になったんだもん。そこにも慣れないと。セレーネ様のためにも)


 緊張している理由は、これからセレーネの血を飲まないといけないという事だった。急血族ではなかったルリナからすれば、違和感の強い行動。それでもやらなければ、いけないという自覚もあるので、セレーネに不快な思いをさせないように気を付けなければと考えていた。


「そこまで緊張される必要はないと思いますよ。お嬢様も何度も私達に吸われていますので」

「そ、そうですよね! 私も座れる方は大分慣れているつもりなのですが、吸う側になると……」

「そこも慣れですよ。では、私はキッチンに行きますので。ひとまず、現状近くに魔物の音はしません」

「分かりました。痕跡が残っていないから、少し森の中も見てきます」

「はい。お願いします」


 カノンと話した事で、ルリナの緊張も解れていた。ルリナは、張り切って屋敷周りの見回りを始めた。


────────────────────


 太陽が昇り、陽が差し込んできた頃、軽く物を片付けていたマリアは、フェリシアを揺すって起こす。


「フェリシア様。朝ですよ。起きてください」

「んん……」


 起こされたフェリシアは、ゆっくりと起き上がる。寝ぼけ眼だが、ゆっくりとフェリシアを見て、マリアは大丈夫だろうと判断する。


「洗面所にタオルを置いてありますので、歯磨きと洗顔をしてくださいね。私はセレーネを起こしに行ってきます」

「ええ……」


 若干フラフラとしながらもフェリシアは洗面所へと向かっていった。それを感じ取りながら、マリアはセレーネの部屋に入る。寝ているのは確実なので、ノックはしない。


「セレーネ! 朝!」


 セレーネのベッド脇に立って大きな声でそう言いながら揺すると、セレーネは横に転がっていきマリアから離れた。


「朝だよ!! 起きろぉ!!」


 マリアが大きな声を出し続けると、セレーネは更に転がっていき、ベッドから落ちた。


「うぶっ……」


 セレーネが落ちた方に回り込むと、薄らと目を開けているセレーネと目が合った。


「起きた?」

「んん……ん……」


 セレーネはそのままシーツを身体に纏って目を瞑る。

 そんなセレーネの頬をマリアが掴む。


「朝だってば! お・き・る!」

「んん……うぁい……」


 セレーネがマリアに向かって手を伸ばすので、マリアはセレーネを抱き上げて、洗面所まで連れて行く。


「はい。歯磨きと洗顔ね。タオルは置いてあるからね」

「ん~……」


 セレーネは寝ぼけ眼で歯磨きをしていく。その間に、セレーネが落としたシーツなどを拾い上げて、ベッドを直していく。荷物はカノンが夜に整理しているので直す必要はない。

 ベッドを直し終えて洗面所に戻るとセレーネが顔を洗っているところだった。


「一度、フェリシア様のところに戻ってるから、ちゃんと着替えてね」

「あ~い……」


 セレーネが返事をしたので大丈夫だと判断したマリアは、フェリシアと自分の部屋に戻る。そこではフェリシアが服を着替えていた。


(セレーネもフェリシア様くらいしっかりとしてくれれば良いのに)


 そんな事を思いながら、フェリシアが使ったタオルや寝間着を回収してから、ベッドを直す。その間にフェリシアは着替えを終えていた。


「では、フェリシア様はお先にリビングに向かってください。私はセレーネを連れて行きますので」

「分かったわ」


 言われた通りに、フェリシアは先にリビングへと向かっていた。洗濯物を籠に入れて盛ったマリアは、セレーネの部屋に入る。すると、セレーネは着替えの途中でベッドに身体を投げ出していた。


「セレーネ! 着替えの途中で寝ないの!」

「ん~……着替え……」

「はいはい。もう甘えん坊なんだから」


 セレーネを起こしたマリアは、セレーネの服を脱がして、着替えさせていく。そこで出た洗濯物は籠の中に入れる。そして、着替え終えたセレーネと手を繋いでリビングまで連れて行った。食卓には既に他の面々がいるので、セレーネが最後だ。

 マリアはセレーネを席に座らせる。そして、ご飯を食べ始めるセレーネ達のお世話をしていき、カノン達が洗い物をするタイミングで、全員の洗濯物を回収しに向かう。この頃にはセレーネも完全に覚醒しており、テレサに甘えながらフェリシアにも甘えるという器用な事をしていた。

 旅行三日目は、外に出るという事はなく、皆でボードゲームをしながら遊ぶ事になっていた。昨日散々外で遊んだというのが理由だが、何よりもユイがボードゲームをした事がなかったので、セレーネは勿体ないと主張して、【空間倉庫】に仕舞っていたボードゲームを出したのが大きかった。


(いつの間に持ってきたんだろう……)


 マリアは、セレーネがボードゲームを取り出した時にそう思っていた。荷物の詰め込みの時にはなかったはずなので、セレーネが自主的に入れたものだった。

 マリアとルリナで部屋の掃除をして戻ってくると、セレーネが参加しろと言うので、全員でボードゲームを楽しむ事になった。人数が多いので、セレーネとカノン、フェリシアとマリア、テレサとルリナ、ユイとメイという主従ペアでチームになり楽しむ。昼ご飯を挟んでもボードゲームは白熱し、セレーネ達は大いに盛り上がった。

 それはまるで、シフォンとジーニーが生きていた時と同じような楽しさだった。

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