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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
学園高等部

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【空間倉庫】部屋割りの完成

 翌週。セレーネは、ユイが調べた内容のレポートを読んでいた。フェリシアは、自身の研究のために、マリアと図書館に行っている。


「ふ~ん……なるほどねぇ……」

「間違っているかしら?」


 ユイは、少しハラハラとしながら訊く。セレーネは読む事に集中しているため、少し声のトーンが低かったのが、ユイには見当違いな事をしてしまったかと不安させていた。セレーネも無意識のことなので、ユイを不安にさせている事には気付いていなかった。


「間違っているかは分からないけど、自動攻撃機構は、全く新しい魔術か……私の知っている限りの魔術では、存在しないものだし、これは合っていそうかな。この部分だけ抜き出して、新しい魔術として陣を作ってみるのも良いかも」

「それは、課題に含まれる事なの?」

「正確には必要ないけど、論文にすれば研究の一つとして認められるんじゃない? ねぇ、先生。大丈夫だよね?」

「はい。新しい魔術の追加要素として論文にすれば研究の一つとして認められる可能性はあります」


 同じ部屋にいたレイアーが答えてくれる。課題として渡されているものだが、そこから新しいものを生み出せば、それが研究として認められるという事はある。そして、ユイが見つけたものは、それに該当するだろうというのが、セレーネの考えだった。


「それならやってみるわ……でも、これって、戦闘魔術にしか効果がない気がするのだけど」

「考え方次第だけど……確かに、自動で攻撃するという点を考えるとそうなるね。攻撃の要素を抜いたとしても、自動で動き続ける……採掘とかに使えるかな」

「ああ、壁を標的にして発動するという形ね。まぁ、基本的には戦闘魔術に使用するものとして考えるわ」

「うん。これを司る部分が、ここにある……ここは複雑だなぁ……こういう魔術陣は、他の要素と絡み合って構成されている事があるから、どの魔力線がどの部分を構成する要素なのか確認するようにね」

「そうね……それを考えると、基礎化って本当に難しいのね……」


 セレーネが当たり前に言う事が、どれだけ難しい事なのか。ユイは、今の課題をやっていて、それが理解出来るだけの知識を得ていた。そして、それをやり遂げているセレーネとフェリシアがどれだけ凄いのかも理解した。


「うん。後、多分無駄が多いから、最適化もした方が良いかも」

「その最適化がよく分からないのだけど」


 セレーネが何度も目の前でやっている最適化作業。だが、ユイには、セレーネがやっている作業が、どういう風にすれば良いものなのか理解出来ていなかった。


「今言った通り、無駄な魔力線を消したり統合したりする作業だよ。一見、必要そうに見える魔力線が、他の構成魔力線と同じもので良かったりするの。後は、全部纏めて太い魔力線にすれば良かったりね。最適化作業の何が重要かって、無詠唱で使う時に描く魔術陣が簡単になるから使いやすくなるの。ついでに、消費魔力が削減されたりするから、ここは欠かしちゃいけないかな。私がやっている最適化は、そういう意味でやってるの」

「その判断はどうやってしているの?」

「試行錯誤。何度も考えて、整えて、試して……そうやって、最適化していく感じ。パターンを作ってくれたら、私が使ってみてあげるよ。ユイの魔力量じゃ何度もやるのは厳しいだろうから」

「それは嬉しいわね。少し頑張ってみるわ」

「うん」


 セレーネにヒントを貰いながら、ユイは課題を進めていく。その間にも、セレーネは【空間倉庫】の構築と最適化を進めていった。

 それから更に一週間後。セレーネは、【空間倉庫】の内部構成を完成させる事が出来た。部屋割りと部屋環境を整えたもので、素材と食材の保管をしっかりとする事が出来るようになっていた。更に、素材の痛みに抵抗するための回復効果も追加しているので、置かれた素材や食料は傷みにくくなっている。


「寒い……」


 【空間倉庫】の内部確認をしていたセレーネは、素材冷凍庫に入った瞬間にそう呟いた。


「冷凍庫に設定した部屋ですので、それは当たり前なのでは?」

「むぅ。カノン抱っこ」


 カノンはセレーネを抱き上げる。かなり大きくなっているので、ずっしりとした重さがカノンの腕に掛かるが、カノン自身も筋力があるので、普通に抱き上げたまま移動していた。


「温度にムラはないよね?」

「一周歩いてみましたが、全体的に同じ温度のように思えました」

「じゃあ、オッケー。次も調べて行こう」


 セレーネはカノンで暖を取りながら、冷蔵庫冷凍庫の温度確認をしていく。全体的に均一の温度になっている事を確認したセレーネは満足したように頷いた。


「乾燥庫にはなるべく入りたくないなぁ」

「本当に乾燥していましたから、長時間はいない方が良いかもしれませんね。ですが、あそこに置くだけで、乾燥させられるというのは面白いですね」

「うん。ちょっとそこは想定外だったけど、乾燥状態を維持するってしたから、置いたものの水分を飛ばすようになっちゃうんだね。まぁ、元々水分を持たせないという風な部屋を考えていたから、ちゃんと合ってはいるんだよね」

「はい。ですが、これでまた消費魔力が多くなりましたね」

「むぅ……これでも大分抑えたから、後はこの部屋の分の最適化かな」


 【空間倉庫】の通常保管庫の魔術陣はかなりの最適化が出来ており、当初よりも遙かに簡略化された魔術陣となっている。そこに、この環境固定部屋割り結界を加えたので、削減した消費魔力分を超えた消費魔力が足されてしまった。そのため、セレーネは再び最適化作業に追われる事になる。だが、それを終えれば、セレーネの求めていた【空間倉庫】の完成となる。


「早速最適化する!」

「はい。頑張りましょう」


 セレーネは、部屋割りを完成させた【空間倉庫】に、フェリシアとマリアも連れて来る。五つの部屋を見せていくと、フェリシア達は、セレーネ達と同じような感想を抱いていた。


「乾燥庫が気になるわね……」

「入りたくないよね」

「ええ。急に水分が持っていかれるという事がないのが唯一の救いだけれど」

「でも、冷凍庫と冷蔵庫は良いね。あれなら食料もしっかりと保存出来ると思う。早速野菜とか持ってきても良い?」

「うん。そこの試験はしておいた方が良いから、お願い」


 マリアが食料を持ってくる間に、セレーネはもう一度部屋を一回りしていく。


「扉に掛札作った方が良かったかな?」

「いえ、それなら横に立て札を置くだけで良いかと。無駄な魔力の消費は避けるべきです」

「それもそっか。じゃあ、後で買ってこよう」

「そうですね」


 冷蔵庫冷凍庫での保存試験は、想定よりも遙かに高評価となった。通常の冷蔵庫冷凍庫とほぼ変わりない性能を持っていたからだ。こうして、残りは最適化を進めていくだけとなる。

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