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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
学園高等部

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錬金術の授業

 ミーシャによる錬金術の授業の日がやって来た。錬金術の授業においても、セレーネ達だけで広い錬金室を使っている。リーシアは、自身の研究と次の実技の準備をするために来ていない。


「では、錬金術の授業を行います。セレーネ様。錬金術については、どこまでご存知ですか?」

「素材を掛け合わせて、新しい素材や薬を作ったり、物から分離させて素材に変えたりするかな?」

「正解です。薬作りに関しては、通常の製薬などの方が、安定して同じ効能の薬を作る事が出来ますので、錬金術ではあまり作らない方が良いです。こちらの方が安定して作る事が出来るのであれば別ですが」

「ふ~ん……じゃあ、基本的には新しい素材を作るものって事?」

「はい。その認識で構いません。魔術薬よりも難易度は低いですが、それでも失敗が前提だと思って下さい」


 ミーシャはそう言いながら、黒板に今日やる錬金術の内容を書いていく。


「金属の錬成?」

「はい。本日は、錬金術による合金作りをして貰おうと思います。そのための下準備も含めてやって頂きます。まずは、錬成炭の錬成をするための準備からですね。この錬成炭が合金を作る際の触媒となります」

「普通の炭じゃ駄目なの?」

「駄目ではないですが、成功率と品質に大きく影響します。錬成炭は、合金を作るために調整されたものとお考え下さい。他の事にも使えますが、主な用途が合金なので。では、準備をして始めましょう」


 セレーネとフェリシアは、カノン達と一緒に道具などを揃えていく。使う道具は、錬金釜と攪拌棒だ。錬金釜は、通常の釜などよりも大きく、何十人前の料理でも作れそうなものだった。


「この錬金釜も魔術道具なんだよね?」


 セレーネの確認にミーシャは頷く。


「はい。錬金釜に魔力を通して魔術陣を見て頂いても良いですよ」


 ミーシャから許可を得たセレーネはウキウキで魔術陣を浮き上がらせる。そして、その複雑さに固まった。


「何これ……」

「錬金釜の魔術陣は、魔術道具の中でも屈指の複雑さを持っています」

「最適化したい」

「それはまた今度にしましょう。今日は錬金術の授業ですので」

「は~い」


 素直に返事をするセレーネをミーシャが撫でるので、セレーネは嬉しそうに笑う。


「因みに、攪拌棒も魔術道具ですよ」

「えっ!?」


 セレーネの注意が攪拌棒に移った瞬間に、ミーシャは軽くチョップする。


「今日は?」

「錬金術」

「はい。良く出来ました」


 セレーネが錬金術に意識を戻したのを見て、ミーシャは二人に材料を渡す。それは、セレーネ達が魔術薬の授業で作った基礎魔力水と半透明でもったりとした液体だった。


「これは?」

「スライムの粘液です。核を取り除けば回収する事も出来ます。素手で触らないようにしてください。この通り火傷と同じような事になってしまいますから」


 ミーシャは、リーシアと同じく実際に見せる事で、注意を促していく。


(主従で似たもの同士なんだなぁ)


 自分で怪我をしていくミーシャにリーシアと似たものを感じていた。


「スライムの粘液と基礎魔力水を使い、錬成炭を作るための魔力結晶を作りましょう」

「魔力結晶って何?」


 セレーネが首を傾げると、ミーシャも首を傾げてから何かに気付いたようにハッとした。


「申し訳ありません。私流の作り方をしているので、セレーネ様やフェリシア様が習っている内容とは異なるかもしれません」


 ミーシャの言う通り、セレーネ達は、ミーシャが黒板に書いている作り方を見た事がなかった。それでもミーシャが言うのだから、そういう作り方もあるのだろうと納得していた。だが、聞いた事ない事は、しっかりと確認しておきたいと考えるのが、セレーネなので、ミーシャが口にした瞬間に質問したのだった。

 この魔力結晶に関しては、カノンも知らない事だった。


「魔術結晶の魔術陣がないものとお考え下さい」


 そう言われた瞬間、セレーネは目を大きく開いて立ち上がった。


「魔術結晶は自力で作れるの!?」

「やろうと思えば作る事は出来ます」

「あ……」


 セレーネはやり方を教えて欲しいと言おうとしたが、今は錬金術の授業中という事を思い出し、口を閉じる。


「何か気になる事があるようですね。授業が終わってからお話を聞きましょう」

「うん!」


 セレーネはうずうずとしながらも、錬金術の授業に集中する。


「では、材料を錬金釜に入れて下さい。お渡しした量を全て入れて頂いて大丈夫です」


 セレーネとフェリシアは、言われた通りに材料を全て錬金釜に入れる。


「では、釜に火を掛けつつ、攪拌棒に魔力を通して下さい。その攪拌棒から錬金釜に魔力が伝わり、錬金が始まりますので、錬金が完了するまでかき混ぜ続けて下さい。その際、一定の速度で乱さずに混ぜる事を心掛けて下さい」

「は~い」

「はい」


 セレーネ達は言われた通りに火を点けてかき混ぜていく。


「セレーネ様は少し速いですね。はい。そのくらいです。フェリシア様は逆に少し遅いです。はい。そのくらいです。今の速度を維持したままかき混ぜましょう」


 一定の速度を維持したままかき混ぜ続けるという地味に辛い作業を続けていく事五分。もったりとした粘液が固まっていき、複数の結晶へと変わっていった。


「そこで大丈夫です。火を止めましょう。一分程で冷めますので、それまでは待つようにしましょう。火傷をしてしまいますから」

「私達なら大丈夫じゃない?」


 セレーネがそう言うと、ミーシャが微笑む。


(あっ、駄目なやつだ)


 ミーシャは、セレーネの頬を軽く摘まむ。


「自身の身体は大切にしてください。それに、急激な温度変化は、結晶が割れる原因にもなります。そういう意味でも冷ます必要があります」

「むぅ……ミーシャちゃんも自分でスライム触ってたよ?」

「あれは危険性を知ってもらう上で必要だっただけです。これはそうではないでしょう?」

「むぅ……」


 ミーシャに叱られながらも、冷めるのを待って魔力結晶を取り出す。それは、魔術陣が入っていない魔術結晶のようなものだった。


「これが魔力結晶?」

「はい。原理で言えば、基礎魔力水の魔力をスライムの体液で包み込み、結晶化させたものですね。こちらと炭を錬成して錬成炭を作ります。ここには、触媒として基礎魔力水を加えます」

「基礎魔力水って、色々な事に使うの?」

「触媒としては、優秀なものですね。足りない魔力を与えるだけで、生成物に影響しませんから」

「ふ~ん」

「では、錬成炭の錬成を始めましょう。こちらもかき混ぜる速度に注意して下さい」


 セレーネ達はそのまま錬成炭の錬成にも挑戦する。ミーシャが適宜注意をしてくれるので、セレーネ達も正確に錬成する事が出来た。

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