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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
学園高等部

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魔術結晶の生成法探し

 それから数日。セレーネは、屋敷で魔術結晶の論文を読み込んでいた。フェリシアは、カノンを連れて外に買い物をしに行っている。残っているのは、セレーネとマリア、クロだ。

 マリアが些細な記述まで集めてくれていたので、情報の量は申し分ない。ただし、セレーネの知りたい情報は全くなかった。


「これで、全部?」

「うん。魔術結晶に関してはね。細かく探してみたけど、生成に関しては全然論文になってなかった。だから、これで全部かな」

「そっか。取り敢えず、中身が複雑な魔術になっている事もあるって分かったのは大きいかな。でも、多重魔術陣に関してはないんだよね……」

「多重魔術陣になるには、もっと複雑な条件があるのかもね。取り敢えずは、魔力の結晶化からかな」

「うん。でも、ある程度目処は立ってるんだ」


 セレーネは胸を張りながらマリアに言う。そんな自信満々のセレーネに、マリアは少し驚いていた。


「へぇ~、どんな方法?」

「魔力の圧縮を利用して、更に圧縮してみるの」

「圧縮に圧縮を重ねるって事?」

「うん。宝石とかって、圧力を掛けたり高温だったりで生成されるでしょ?」

「うん。高温で溶けて冷えて結晶化もあるけどね。後は地中の成分によって色々変わる感じだね。もしかして、魔力で同じ事をするって事?」


 マリアの確認にセレーネは大きく頷く。


「実際には、高温は要らないと思うんだ。高温が条件として必要なのは、成分が溶け込む必要があるからでしょ? 魔力にはその必要がない。必要なのは、結晶化するだけの圧力だと思う」

「そっか。でも、慎重にね」

「うん。じゃあ、やるね」


  セレーネが魔力を集めていくのを、マリアは見守る。レイアーの授業のおかげで、セレーネは魔力の圧縮も簡単に出来るようになっていた。


「おぉ……安定してるね」

「うん。先生がコツを教えてくれたから。普通は、これくらいでいいんだけど……ここに更に圧力を加える!」


 セレーネは、魔力を増やしつつ更に圧力を掛けていく。すると、魔力が一気に不安定になる。セレーネは、それを整えつつ圧力を掛けていった。マリアの目からも、セレーネがこれまで以上に集中しているのが分かった。

 だが、それでも結晶化はしない。


「もっと圧力が必要なのかな……マリア」

「私が干渉しても大丈夫?」

「分からないけど、今は試行を続けたいから」

「オッケー」


 マリアは、セレーネが圧縮している魔力に自分の魔力を重ねて圧力を掛けていく。すると、二人の魔力が混ざり合い、どんどんと一体化していく。


「マリア、もっと魔力出せる?」

「うん。まだ余裕はあるから、徐々に増やしていくね」

「うん」


 マリアが魔力を注ぎ、圧力を掛けていく。セレーネも少しずつ魔力を足していき、また魔力が混ざり合っていった。そうして、二人の魔力が合わさっていき、より密度が増していく。だが、結晶化は起こらない。


「全然結晶化しない……条件が違うのかな?」

「ここまでしないとなると、そう考えるのが一番かな。でも、圧力が足りないっていう可能性もあるよ」

「じゃあ、最後に一気に圧力を掛けよう。私の合図で同時にね」

「うん」

「じゃあ、せーの!」


 セレーネの合図で二人同時に魔力に圧力を掛ける。急激に圧力を掛けられた魔力は、一気に体積を減らしたものの結晶化はせずに、ダンジョンの壁の外にあった物質のように弾性を持った丸い玉になった。


「…………何これ?」

「ダンジョンの外にあったものと同じっぽいね。絶妙な弾力があるボールになったよ」

「にゃ~?」

「あっ、クロ駄目。遊んで良いものか分からないから」

「にゃ」


 セレーネが注意すると、玉で遊ぼうとしたクロは大人しく引き下がり、セレーネに甘える。セレーネがクロを抱きしめて撫でている間に、玉を拾ったマリアは、その感触などを確かめていた。


「う~ん……特に暴発する恐れはなさそうだね。それに握り潰すのも無理そう……何に使えるんだろう?」


 マリアは、軽く雷魔術を使って、魔力の玉に電気を流す。すると、魔術が吸収されていくだけで、特に何かが起こる事もない。


「魔術を吸収する素材なのかな。それ以外では、特に何も起こらないっぽいね」

「じゃあ、失敗か……」

「別のものが出来上がっているという点では、成功なのだけどね」


 マリアは、何度か魔術を込めているが、魔力の玉が変化する様子はない。だが、魔術を吸収しているのは確かだった。


「大分魔術を込めたけど、特に変化無し。どんどん魔術を吸収してるって感じ」

「へぇ~、じゃあ、マリアはどんどん魔術を込めていって。私は、一人で同じ事が出来ないか試行するから。クロ、危ないからベッドに行ってね」

「にゃ~」


 セレーネがクロを撫でながらそう言うと、クロは頷いて自分のベッドで丸くなった。そして、マリアが魔術を流している間に、セレーネは一人でマリアとやった事を再現しようとしていた。


「一人で出来るものなの?」

「多分、最後にマリアとやった一気に圧縮が必要だと思うんだ。だから、圧縮した魔力を本当に一気に圧縮してみる」

「力技って事ね」

「うん」


 セレーネは最初に魔力圧縮をしていき、ある程度圧縮したところで、一気に極限まで圧縮させる。すると、先程よりも小さいが同じような物質が出来上がった。


「出来た! やっぱり力技が必要だったみたい!」

「おぉ……で、それって何に使うの?」

「…………」


 マリアの指摘にセレーネは出来た魔力の玉を摘まみながら虚無顔になっていた。


「ここから結晶化しないかな?」

「無理かな。ほら」


 マリアは、魔術を流し続けた魔力の玉を見せる。そこには、亀裂の入った魔力の玉があった。


「あれ? 許容限界?」

「うん。基礎魔術に近い魔術でも二分も掛からずにこれだから、そこまで有効活用出来るようなものはなさそうかな。防具に使うにも、これしか耐えられないなら意味ないし。もっと魔力を集めたら、変わって来るかもしれないけどね」

「ふ~ん……結晶にはならなさそう?」

「うん。無理かも」


 思い付いた方法では、魔術結晶を作り出す事は厳しいという事が分かり、セレーネは肩を落とす。


「そっかぁ……じゃあ、他に必要なものを探さないといけないかな……」

「だね。物置に行ってみる? リーシア様達がくれたものが使えるかもよ?」

「あっ! そういえば、そういうのがあったね! 行く!」

「オッケー。クロはお留守番ね」

「にゃ~」


 セレーネはマリアと一緒に、リーシアがくれた素材が保管されている物置へと向かっていった。

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