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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
学園高等部

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魔力圧縮の利用

 魔術の授業の時間。セレーネ達は着替えて、屋内運動場に来ていた。この授業は、レイアーの担当となっている。


「今日の授業は、セレーネ様とフェリシア様の研究を進める事にしましょう。なので、屋内運動場に来てもらいました。ここでなら、誰にも見られる心配はありません」

「分かった」

「分かりました」


 まずは、フェリシアの研究である結界から見られる事になった。フェリシアは、自分の身体に結界を纏う。結界は、フェリシアの動きに合せて形を変えている。これが通常の結界であれば、フェリシアは動き出す事も出来なかっただろう。これだけでもしっかりと成功している事が分かる。

 レイアーはそこに【水球】を飛ばして当てる。水は結界により弾かれ、衝撃は後ろに抜けていく。その過程でフェリシアの身体に衝撃が達する事はない。


「続けます」


 レイアーは続けて【水球】を放っていく。次々にフェリシアに命中していくが、結界がしっかりとフェリシアを守っている。


「このくらいで壊れる事はないようですね。少し危険度を上げます」

「はい」


 フェリシアは、少し緊張しながらも返事をした。実際には、まだまだ結界に余裕があるために心配する必要はない。それでも、万が一という事もあるので、少し緊張してしまうのだ。

 レイアーが選んだ魔術は、【風槌】だ。刃などよりも当たってしまった場合の危険度が低い。だが、命中すれば【水球】とは比べものにならない威力を持っている。

 【風槌】は、フェリシアに命中したが、結界により衝撃は後ろに抜けていった。フェリシアの結界は、まだ発動していた。レイアーは、何度か【風槌】を放つが、フェリシアの結界が破れる事はない。


「次は、あちらの的に結界を掛けてください」

「はい」


 フェリシアは言われた通りに置かれた的に結界を張る。そこに、レイアーが多種多様の魔術を放っていった。すると、刃系の魔術が五回命中した後、結界が破れた。刺突系の魔術も七回までは耐える事が出来た。


「どちらかと言えば、打撃系の攻撃に対しては強いですが、刺突系、切断系になると少し弱いですね。使い時を見誤らないように気を付けてください。それと、ここまでの事を全部纏めて論文としましょう」

「分かりました」


 実用性なども考えて、これで完成としても良いとレイアーは判断した。これまでのレポートの内容とも異なるところはないというのも大きい。

 実証実験も今の確認だけで良いという風に判断出来た。


「では、セレーネ様の方も確かめていきましょう」

「うん。じゃあ、魔力の密度を上げるね」


 これまで何度もやっている事なので、セレーネも慣れた手付きで魔力の密度を上昇させていく。そして、ダンジョンでもやったように空間を広げて、収納を作り出した。中には、水は詰まっていない。ここの中身の水は、中に【空間接続】を作る事によって、外に排出出来ているからだ。

 レイアーは、その中を覗きこむ。


「そうですね……仕切りや棚などが欲しくなりますね」

「うん。でも、それは結界魔術を組み合わせる事で解決出来ると思うの」

「結界を……なるほど。そういう使い方も出来そうですね。魔力の密度を上げる事で、空間を歪ませる事が出来るという事ですね。これは面白い。ですが、魔術陣はより複雑で大きなものになりそうですね。多重魔術陣の可能性を考えた理由が分かります。では、魔力の密度上昇を詳しく分析していきましょう。フェリシア様もご一緒に」

「私も?」

「はい。もしかしたら、今後の研究に使えるかもしれません。色々な技術を習得するのも良いと思います」

「まぁ、そうですね。やってみます」

「はい」


 セレーネ、フェリシア、レイアーだけでなく、カノンとマリアもそこに加わる。セレーネにやり方を教わりながら、五人で魔力の密度上昇を試みる。


「なるほど……これは、中々に難しいですね。ただ集めるだけなら、魔力の量が増えるだけになります。増えた分を一箇所に集中するようにしないといけません。魔力操作の良い修行になりますね」


 レイアーはこう言いつつも、セレーネよりも安定した状態で密度を上昇させる事が出来ていた。


「先生凄い……」

「こればかりは経験の差かと。セレーネ様も魔力の操作に長けておりますので、これが可能なわけです」

「ふ~ん……何かコツはある?」

「【水球】と同じです。綺麗に表面を均していく事を意識する事で、表面的な乱れをなくす事が出来ます。そうすれば、自然と安定していくでしょう」

「頑張る」

「はい」


 レイアーは次にフェリシアの方を見る。フェリシアは、少し苦戦気味だった。今ひとつ密度の上昇に繋がらず、魔力が大量に集まっているだけで、セレーネの集めている魔力の三倍くらいの大きさがあった。上手く圧縮する事が出来ていないのだ。


「集めるための一点は決められていますか?」

「はい」

「では、後は魔力が存在出来る範囲を絞るだけですね。最初の内は、集めている魔力の周りに別の魔力で壁を作って抑えつけるのが良いかと。そうしていく内に、段々と集め方が理解出来てくると思います」

「わ、分かりました」


 フェリシアは言われた通りに行動する。すると、少し乱れながらも少しずつ密度を上げる事が出来た。


「出来た……」

「はい。後は、この状態からどう使う事が出来るかですね。基礎魔術が難しい事から、セレーネ様が使っていらっしゃるような魔力の消費量が多い魔術であれば、問題なく発動するものと考えられますが」

「ここまで出来たのだから、結界魔術を使ってみます」

「はい。慣れたものが良いかと」


 フェリシアは、先程も使った結界魔術を使用する。すると、先程よりも分厚い結界が出来た。


「何か弾力が増したような……」

「なるほど……フェリシア様が研究していらっしゃる結界魔術に魔力を過剰投入すると、そうなるのかもしれません。魔力を一点に圧縮する……これを素早く行えれば、魔力が多く必要な魔術も即座に発動出来るようになるかもしれませんね……」

「そういう使い方が……」


 フェリシアは、魔力圧縮をどういう風に使えば良いのか少し考えつつ、再び魔力を圧縮していった。

 その中で、カノンも同じように魔力を圧縮して密度を上げた魔力で身体強化をしていた。すると、体外に魔力が溢れ出し、手の周りに纏わり付いていた。マリアはそれを見て困惑していた。


「カノンさん、それ大丈夫なんですか?」

「問題はありません。魔力が乱れて不安定というところが問題でしょうか」


 基礎魔術は使っていたとはいえ、カノンも自分の体外に出た魔力の操作に関しては、そこまで得意ではない。なので、こうして纏っている魔力も乱れていた。


「取り敢えず、殴ってみますか」


 カノンは、近くにある的を殴る。すると、普段の身体強化よりも遙かに威力の高い一撃を出す事が出来た。しかも、的は大きく吹っ飛んでいる。


「カノン、何したの?」

「身体強化と密度の上昇を組み合わせてみた結果ですね。通常よりも一撃が強くなるようです。もう少し安定させて、他にも使えないか確認したいですね」

「色々使い道があるというのは本当みたい」

「はい。色々と利用法を探してみましょう」

「うん!」


 セレーネの空間魔術研究を進めるために、まずはダンジョン探索で得られた技術などを調べて行き、その技術がどの程度の範囲まで使えるのかを確かめていく。

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