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仕事をしているとインターホンが鳴り、何か配達お願いしていたかな...と思いながら玄関を開けると幼稚園児くらいかな、幼い子供が立っている。
「えっと...」
どう声かけていいか分からず言葉を失った私を見上げて口を開いた。
「しゅじゅはらあんにゃ。5しゃいです。」
手をパーにして広げ得意げな顔。
「え、っと...あんなちゃん?でいいのかな?」
うんって頷いてくれた。
ん...鈴原っていった...?
「ありがとう。鈴原美琴です。あんなちゃんはどうしてここに?」
目線を合わせるようにしゃがんで問いかけると、手に持っていた紙を渡された。
「こえね、ぱぱがおねえさんにわたしてねって。」
「ありがとう...」
受け取った紙を開くと、
『美琴へ
この子は俺の子で杏那という。実は1年ほど前に妻が病気で死んでしまったんだ。忘れ形見の杏那を俺1人で育ててきた。...がそれももう限界だ。彼女のいない世界を俺は生きていけない...申し訳ないが杏那を頼む。必要な書類や杏那のことについてまとめたものは杏那に背負わせたリュックの中に入っているし、いままで杏那が使ってきたものは配達でお前の家に届くようにしておいた。勝手でもうしわけない。』
と書かれてある。
は......?
「杏那ちゃん、ここまでどうやってきたの?」
杏那ちゃんの両肩を掴んで聞くと父親にタクシーに乗せられたそう。住所は父親が告げ、インターホンもそのタクシーの運転手に押してもらったんだと...
急いで杏那ちゃんを家の中に入れ兄に電話を掛ける。
......出ない。
嘘でしょ。
母に電話を掛ける。
「あ、お母さん!お兄ちゃんの家の住所分かる?!」
『美琴?なあに急に。お兄ちゃんなら〇〇ってところだったかしら...』
私の切羽詰まった様子を訝しみながらも記憶をたどってくれた。
「ねえ、お兄ちゃんが結婚して子供がいることは知ってた?」
『えっ?!そうなの?なんにも聞いていないわよ!』
.....やっぱり。
「お兄ちゃんの家の住所を送って。」
母の了承の言葉を聞いて電話を切り出かける用意をする。
もし、もし私の想像通りのことが起こってしまっていたなら杏那ちゃんは連れて行けない。
でもこの年の子をひとりで留守番なんて...
「杏那ちゃん、ちょっとだけ出かけてくるからひとりでお留守番できるかな?食べ物と飲み物は置いておくから好きに食べていいし、テレビ見ててもいいから。ちょっとだけ、待っていて欲しいの。」
「うん、だいじょーぶ。おるしゅばんできるよ!」
笑顔で答えてくれた杏那ちゃんを抱きしめ、トイレの場所も教えて家を出る。
車に飛び乗り母から送ってもらった住所をナビに設定し深呼吸をしてから車を走らせた。
どうか、間に合って......




