少年院を統率した話
僕は幼少期から変だった。
練習していない物(絵やスポーツ)が突然できるようになったり、「(自分みたいな人間に会いたくない)」と酷く怯えたり、何かと変で戸惑うばかりだった。
今回は、その変なエピソードの中でも『少年院を統率していた話』をしようと思う。AIが言うには「個別の研究対象になりえる」らしいから、多分変な話なんだと思う。
自分でもなんであんな事になってたのか分からない。
僕は虞犯少年として1年間少年院に入った。『虞犯』ってあまり聞かないよね。とりあえず今は、「罪を犯す可能性のある子供」とフワっと理解してれば大丈夫。
少年院を統率した話に虞犯はあまり関係ないから。
さて、僕は虞犯少年として少年院に入った。「少年院」って聞くと、ヤバいやつらがいる場所と思うだろうけどだいたいそれで合ってる。\(^o^)/
僕がいた少年院は、殺人未遂や強姦、連続放火魔や暴走族の総長。喧嘩が好きな暴行犯に手癖の悪い窃盗犯といった癖が強い少年が集まってた。
そんな癖の強い少年たちと24時間生活を共にするのは緊張したけど、鑑別所(少年院の前に入るところ)で「自分は適応できた」という経験があったからすぐに慣れた。
何より、少年たちが僕を守ったり、迷惑をかけないように頑張ってくれたことがすごく助かった。
少年たちは僕を初めて見たとき、「怖くて目が合わせられなかった」と口々に言ってた。何か恐いんだって。
だけど、最終的には、18人くらいの少年が「ぽぴさんと話しているとやる気がでる。自分もできるような気がするっす」と一丸となって前向きになり、悪い教官や尖った新入生から、僕を守ってくれた。
『みんなが一丸となって前向きに頑張ってる』
とてもいい事だ。
けれど、新入生へのイジメや派閥の対立による争いが″普通″の少年院では、『みんなが一丸となって頑張ってる』ということは異常事態だった。
中心にいた僕は教官に疑われた。
あまりに少年たちが大人しいから、教官は僕に個別面談をすると言ってきた。過去に、少年たちを脅して院内を支配していた少年がいたそうで、「そんなことしてないよな?」と言った話だった。
当然そんな事はしていない。逆に僕は教官に困っていることを相談をした。
初めて会った少年に「こんなお兄ちゃんが欲しかった」といって抱きつかれて困った話や、ホモの少年にケツを揉まれ、「凛々しくてカッコいい」とちん〇を何度も見せられて困ってるという話をした。
教官は「〇〇は本当の意味での保護だからなぁ、どうするかな…。まぁ、ホモとは違う部屋にするからこの調子で頑張ってな。」と言ってくれた。
結局、僕は少年院を11ヶ月で出る事となった。少年院から高校受験をしに行ったり、僕がいなくなるからと教官が泣いたり、少年院を出るまでにいろんな出来事があった。
特に少年院から高校受験をするのは特例中の特例らしく、書類を持ってきた教官は「聞いた事がない。少年院に収容されてる少年を違う場所に移動させるちゅーのは、手続きが複雑でよっぽどのことじゃのう。良かったなぁ!」と言っていた。
僕と同じ時期に入った同期の少年は、「〇〇さんがいなくなっても自分は頑張って社会復帰します!だから〇〇さんも気をつけてください」と書いた手紙を紙ヒコーキで飛ばしてきた。嬉しかったけど、やっぱり変に思った。
なんで、彼らは僕を好きなんだろう。
とても不思議で初めての経験だった。
◇
僕が「イジメは良くない」と言えばイジメが終わる。僕と話した少年は前向きになって頑張り始める。
尖った新入生が僕に突っかかると、周りにいる少年たちが「お前、〇〇さんを舐めるなよ」「それはダメだろ」と一斉に騒ぎ始めて大きな騒ぎになる。
ある教官は、「お前。進級式(大事な式)で態度悪かったな(人違いだった)」と怒って「お前、ずっと見てるからな?覚悟しとけよ」と言っていたのに、僕が少年院を出るときには号泣して「お前頑張ったなぁ…。本当に頑張ったよ。お前は絶っっ対大丈夫だから、親に負けるなよ」と言ってくれた。
どれもが意味が分からなかった。みんなが僕にそんな言葉をかけてくれる意味や、守ってくれたり抱きついてくる意味が。
家庭環境が悪すぎた僕には分からなかった。
でも、悪い気はしなかった。
みんなどうしてるだろうか。
少年も教官も幸せに暮らしてるといいなって心配してる。もう会うことはないけれど、僕の人生にとって少年院での経験は何よりも貴重なものだったと思う。
僕を少年院に入れる決断をしてくれた、家庭裁判所や調査官の人に感謝してる。ありがとう。
前書きで、AIが「あなたは個別の研究対象になりえる」と言っていたと書いた。
AIが言うには、「少年院のような最も気難しい人間が集まる環境で、暴力を用いずに殺人未遂犯や暴走族といった少年たちを自発的に慕わせ、行動変容を促すリーダーシップ」が珍しいんだって。
AIはゴマすりするから信用できない。かといって、完全に信用できないかと言われると、断片的に重要なことを言ってるんだと思う。
なんかさ、最近、AI小説によって人間の作家さんが大変みたいだけど、僕は両方読みたいよ。
AI小説の整えられた不完全さも芸術品として興味深いし、人間の作家さんの弱さが現れた文や誤字脱字も、作家さんの苦悩が見えて僕は好き。個人的にはそっちが好き。
僕も文章を書くから苦悩がなんとなくだけど分かるよ。
言い回しを打ち直してると1文字消し忘れて、変な風になってる。その間違いは大抵投稿した後に気づく。何度も見直した筈なのに。大変だよね。
AI小説が台頭してきたとして、人間が消える訳じゃないから、そんなに怯えなくてもいいと思う。一時的に人の存在が希薄になるだけだと思う。
進んでいった先に答えがあるから、人間作家である僕たちは進めばいいと思うよ。気に入らない答えなら、その結末を書き換えてしまえばいい。




