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お城訪問

 ざり、ざり、ざり


 なにか顔が痛い。はっと目覚めると猫さんが私の顔を舐めていた。ピピさん……じゃない。舐めていたのは三毛猫だけどピピさんより色が濃い。起こしてくれたのはいいけど少し顔がヒリヒリする。顔を洗って化粧水をつける。この化粧水はシルフィさんが用意してくれた。顔のヒリヒリはすぐに消えた。なにか優れものなのかも……いつもより肌がしっとりしている……。あとで聞こう。


 着替えて廊下へ出る。ピピさんと三毛猫さんも一緒に出る。


「ミホさん。おはようございます」


 後ろからナナさんが声をかけてきた。


「ナナさん。おはようございます。あ、この子ご存知ですか?」


 そういってさっきの三毛猫さんを指差す。


「あっロコさん。そこにいたのですか。ごめんなさい。私の猫なの。朝、姿を見ないと思って探してたのです」


「ナナさんの猫さんだったのですね。私のベッドに来てたのでびっくりしましたよ」


「ピピさんと仲がいいみたいでよく一緒にいるの。だからお部屋に行ってたみたいね。大丈夫でしたか?」


「はい。全然大丈夫です。寝過ごすところを起こしてくれました」


「もしかして顔を舐められましたか?」


「あ……はい」


「ごめんなさい。癖みたいなの。私は痛くありませんし、紬さんも慣れているのでそのままにしていました。しないように言っておきますね」


「大丈夫です。すぐ慣れます。それにシルフィさんが用意してくれた化粧水がとても良く効いてなんともないんです」


「化粧水……あーたぶん少量の治療の魔力が入っているのですよ。お肌は自分では知らない間に傷ついているらしいので紬さんが作っているそうです」


 なんと!こんなにもすごいものを作れるなんて!美人で動物に優しくてお店やっててみんなに好かれてこんなものまで作れてしまうなんてミスパーフェクトじゃないですか……。


 食堂に着いて紬さんにそのことを話すと、この国に来て色々なことが順調に進んでいるので自分でも少し戸惑っているみたい。


 順調にかぁ……私はこれからどうなるんだろうな……。


 少しモヤモヤしながら朝食を食べ終えるとおうちの猫さんたちのお世話をする。


 基本的に各個人の部屋に猫さんがいるのでごはんをあげてお水を替えて猫トイレの掃除をする。


 私の部屋に居たピピさんは猫さん共同部屋でごはんを食べたりしているので私はそこを掃除するシルフィさんのお手伝いをした。


  おうちの子のお世話が終わると今度はお店の子たちのお世話をする。


 ごはんをあげてお水を変えて猫トイレの掃除。おうちの子たちと同じ両方で2時間くらいかな?これを毎日とは……なかなか大変。




 作業が終わるとお店をナナさん、ジェフさん、ハチさんにまかせて紬さんとデンさんと私でお城へ向かう。


 道すがら色々なものが目に留まる。まずはやはり人!人?初日にも見たけどやっぱりすごい。


 物語で見たような人たちばかり。エルフ、ドワーフ、獣人、リザードマン、妖精もいる。みんな争うことなく生活しているんだ……。

 

 建物も改めて見てみる。ほとんどが木造みたい。おうちよりお店が多いかな?


「ミホちゃん止まって」


 声に反応して止まる。すると目の前を兵士さんたちが通り過ぎようとしていた。いけない。よそ見と考え事してた。危うく大事故になるところだった。


「よう。また会ったな」


 声をかけてくれたのは昨日のエルフさん。


「ティリさん。おはようございます。今日は早いんですね」


「オーナーさんも一緒か。今日は早番でな。また帰りにでも寄るからよろしくな。お嬢ちゃん。オーナーさんのところにお世話になるのかな?私はティリと言います。よくオーナーさんのお店に行くからまた会ったらよろしくな。それじゃ」


 あっという間に行ってしまった。あ、名前言いそびれた……次は自己紹介できるかな……。


「ティリさんはうちの常連さんでね。森の警備を担当している兵士さんなの」


 紬さんの話を聞かずティリさんの後ろ姿をただ見つめていた……。


「ちなみに彼は350歳くらいみたいよ」


「なっ!? エ、エルフは長寿と聞きますがやはり実物はすごいんですね……」


「ねー。びっくりしちゃう。でも大丈夫よ。年の差なんて」 


「なっ!? い、いや違いますよ! も、もう何言っているんですかっ。さ、さ、行きましょう! 王様を待たせてはいけません!」


「ミホちゃーん。そっちじゃなくてこっちよー」


 デンさんはただ見ているだけで何も言ってくれない。ノーリアクションも困ります。


 大通りを歩く。もちろん車とか自転車とかはない。徒歩かリアカー、馬車はあるけど引いているのは……たぶん馬。でも基本は徒歩だけみたい。街中は危ないからかな。しばらく歩くと大きな門に着いた。


「ケット・シーのデンである。こくおうとメンカイはできるかの?」


「これはケット・シー様。確認いたします。どのようなご用件だったでしょう?」


「ウム。ニホンからのきゃくじんがきたとつたえてクレ」


「かしこまりました。少々お待ちください」


 そういうと衛兵さんは隣にいる鳥さんになにか話しかけている。終わるとそこの鳥は飛びったっていった……。が、すぐにその鳥さんは戻り衛兵さんに話しかけている。会話している……すごい……。


「面会できるそうです。そのまま応接室までお進みください」


「ウム。ごくろうじゃった」


 紬さんに聞くと、ごく一部の動物でさらにごく一部の子が話を聞くことや会話までできるみたい。


 たしかに鳥さんは言葉を繰り返す種類もいるけど完全に覚えて喋るなんてすごい。普通に会話とかできるようになるのかな?

 

 お城の中へ入るとやたら猫をモチーフにしたものが目に付く。絨毯の柄、ステンドグラス、シャンデリア、石像ほとんどの物が猫柄ばかり。そういえば紬さんの自宅にも魚を咥えた猫の木の像があったなぁ。岐阜県のおばさんの家にも似たような木彫りの熊があったのを思い出した。


 応接室につくとそこにも木彫りの猫があった……同じやつ。紬さんに聞くとお店の常連の方がおみやげとしてくれたみたい。可愛いので部屋にも置きたいなと思ったけど遠い国のおみやげだった。残念。


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