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その瞳になにが映る

 紬さんの声が聞こえる。


 しかしボソボソ話しているのかあまり聞き取れない。


 様子を見ようとドアを開けると。


「あ、ミホちゃん。ちょうどよかったわ。今、みんなに声をかけていたのだけどね。子猫が産まれたの」


 先日、保護した母猫さんが朝早くに産していた。


 紬さんに連れられて隔離部屋へ行く。


 みんなもそろっていた。


「ゼンブで5ひきだな。もんだいない。ゲンキだよ」


「そう。よかったわ。みんな。見てもいいけど声は控えめにね。さわるのもまだしないようにお願いします」


ナナさんとミキと一緒に部屋にそっと入る。


子猫たちは母猫のお乳を飲んでいる最中。


毛も生えそろっていなくでピンクの肌が見えている。


目は開いていない。けど一生懸命に手を動かしてたくさん飲んでいる。


小さい。本当に小さい。


けど5匹も入っていたなんて。お母さんすごい。


(よくがんばったね。お疲れ様)


母猫に声をかけると顔をあげて小さな声を『ナー』と言ってくれた。


この母猫はサビ猫さん。


産まれた子猫は、黒、黒、茶、サビ、白黒。


色って同じじゃないんだ。


それにしても小さいかわいい。


"トントン"


背中を叩かれる。


ナナさんがそろそろ出ようと合図をしてくれた。


そのまま静かにホールへ向かう。ホールに着くなり、


「なにあれ。かわいすぎるんですけど」


ミキが興奮気味に話す。


ナナさんも


「あれは反則級ですね。私も興奮してしまいました。こんな気持ちはじめてです」


「ふたりとも興奮しすぎよ。ミホちゃんはどうだった?」


「なんというか、命ってすごいなと思いました。あんなに小さい子が一生懸命生きて、お母さんも頑張って産んで育てて。すごいです」


「私も久々に立ち会ったけど産まれたばかりの子猫の生きる力は何度見てもすごいわ。しばらくはお母さん猫にまかせるので私たちはまだなにも手をださなくていいわ」


「わかりました。たまに静かに覗くのは大丈夫ですか?」


「ええ。あのお母さん猫はよほど怒らないいい子だけど覗くだけにしましょう」


「はい」





その後、子猫たちは何事もなくすくすくと成長していく。


 ごはんやお水は母猫だけなのでいつも通りにする。


 トイレも掃除をする。


 子猫たちが入っている箱の毛布が汚れるので毎日交換をしている。


 その時に少しだけ子猫とふれあえる。


 ただ、これは紬さんが一人でやっている。


 色々な匂いが混ざらないようにする配慮だ。


 もう少し大きくなり目が開いてきたら私たちも交代でお世話をするようになる。


 それまでは少し覗くだけにしている。


 驚いたのは子猫の排泄物のほとんど母猫が舐め取っているということ。


 排泄を促すために舐めて刺激を与える。そのときについで舐めてしまうのだろう。


 ちなみに人が母猫のかわりをするときは温めた蒸しタオルで刺激を与えるといいと言っていた。


さらに数日後。



 

"コンコン"


誰かが部屋をノックする。


返事をしながらドアを開けようとすると


"バンッ"


ミキが勢いよくドアを開けた。


「ミホ!早く来て!」


説明もなしに私の手を引っ張って走り出した。


 かなり慌てている。


「え?どうしたの?」


「いいから!子猫が!」


 子猫になにか問題でも起きたのかもしれない。昨日は何もなかったのに。


 大急ぎでついていく。


 部屋に着くと紬さんがいた。


 ナナさんも同じタイミングで部屋にきた。


 不安になりながら子猫を見る


 うっすらと目が開いている。


「目がぁ。目がぁぁぁぁあ!!!」


 5匹いるうちの2匹の目が開いてきている。


 完全には開いていなくなんとも可愛らしい表情になっている。


「これから徐々に開いてくるわ。このときに無理に開くのはよくないけど、あまり開いてこないのもよくないのでタイミングの見極めが大事ね。どちらに転んでも失明する可能性があるの」


「開くのはどうするのですか?」


「よくあるのは目薬かホットタオルでふやかすので優しく開けていくの」


「モクがいるだろ?あいつは目がまったくみえないンダ」


「え!そうなのですか?そういうのは治せないのですか?」


「残念ながら無いものは治せないのよ」


「そっか……モクさん。大変なのですね」


「イヤ。ぜんぜんダイジョウブだゾ。あいつにしたら目がみえてないのはふつうのことだかなナ。ほかのネコとおなじでなんでもひとりでできちまう」


 目が見えていなくても普通に生活ができるなんてすごい。


 でも生まれたときからならそれが当たり前なのかな?目が見えていない分、耳や感覚が敏感なので大きな音を出さないようにしている。


 感覚といえば先日モクちゃんが足を上げて歩いていた。


 理由を聞くと水などを踏んでしまい濡れるとその感覚が気持ち悪く足をあげているのだと言っていた。


 拭いてあげると問題なく歩く。

 

 見た目でかわいそうとか思ってしまいがちだけど本人(猫)はソレが普通。


 子猫たちはなにもせずとも順調に成長している。目も無事に全員開きました。

 



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