表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/19

出勤二日目


 まだ朝日の光もない中、布団の周りになにかの気配を感じる。


 起きたくても体が動かない。

 

 金縛り?


 そもそも霊感がない私。


 そんなことあるわけがない。

 

 でも、体が動かない。


 布団が私の体を押し付けている。


 いや、これは"ナニカ"が乗っている。


 一人、二人ではない。両脇や股、手足を全部押さえられている感じ。


 体中汗が出てくる。


 恐怖におびえながらそっと目をあける。


 しかし目の前は真っ暗のまま。


 恐怖のあまり顔を左右に振ると 


 あれ?フサフサしている。


 もう一度顔を振る。


『フニャーン?』


 フニャーン?幽霊は猫?


 違う。これは……。


 あーそうだこの部屋には猫さんがいるんだった……。


 落ち着いて体をもぞもぞさせると体が軽くなった。


 たぶん乗っていた子が下りてくれたのだろう。


 体を起こして周りをみると……。


 1,2,3,4,5,6……多くない!?


 たくさんの猫さんが布団の上に乗っていた。


「うーん……?みなさんおはようございます」


 みんなこっちをじっと見ている。


 視線があつい。


 この部屋は今まで寝ている人がいなかったから『お前なんでいるの?』って気持ちでみているんだろうな……。


 顔に乗っていたのはカルさん。キジトラの女の子。


 両脇には三毛のふうちゃんとキジトラポン太さん。


 足元には茶白の女の子きなこ、長毛のヘキ、白猫ゆきさん。


 布団の端にも黒猫さんが何匹か重なって寝ている。


 猫圧が強い……。


 全員の名前はまだ覚えられないけど特徴のある子は覚えてきた。


 しかし体がなんだか痛い。


 ずっと同じ体勢で寝ていたのかもしれない。


 まだ寝ている子たちを起こさないようにそっとお布団から抜け出す。


 顔を洗ってスキンケアをして歯を磨いてから軽く体を動かして伸ばす。


 服を着替えて髪を整えて朝食へと向かう。


 猫さんたちも後ろをついてくる。


 部屋から出たとこでミキ様に出会った。


「おはようございます」


「あら。おはよう。今日は、はやい……猫多くない?」


「はい……すごく多いです……」


「この国では猫に好かれるのはいいことですわ。だからなのかしら……」


「え?なにかあるのですか?」


「ううん。いいのよ。さぁ行きましょう。お姉様は先に行っていますわ」


 少し気になるところだけど今は触れないでおこう。


 今朝のごはんは和食っぽい感じ。


 ごはんに味噌汁、焼き魚にサラダ、ヨーグルト、果物。


 品数は多い。食べきれるか不安。 


「朝ごはん多いですね」


「そう?これくらいは食べないと元気がでないわ」


「日本だと朝は少し、お昼はそこそこ食べて、夜にがっつりという食事が基本だったわね。こっちだとどれも平均的に食べるわ。朝にもっとガッツリなんてこともあるわね」


「朝からガッツリ……」


「そのうちになれるわ」


「頑張ります」


 朝ごはんを食べ終わったあとは猫さんたちのお世話。


 そのあと出勤してお店の猫さんたちのお世話をして開店準備をする。


"チリンチリン"


ドアベルの音


「いらっしゃいませ。ようこそ保護猫カフェオハナへ。あ、昨日の……」


「おはようございます。昨日は大丈夫でしたか?」


「あ…………あーリコさん!おはようございます。はい。全然大丈夫です。ご心配おかけしました」


「いやいや。私の不注意だったので申し訳ないです。これお詫びといってはなんなのですが」


「本当に大丈夫ですのでいただくのは申し訳ないです」


「ほんの気持ちですし持って帰るわけにはいかないのでぜひとも貰ってください。紬さんからも言ってくださいよー」


「ミホちゃん。受け取ってあげて。せっかく用意してくれたのだから」


「わかりました。ありがとうございます」


「よろしれけば開けていただけますか?」


「あ、はい」


 箱を開けると小さな花のレリーフが付いたヘアピンが入っていた。


「あ、かわいいですね!ありがとうございます」


「気に入っていただけましたでしょうか?」


「はい!もちろんです!ちょっと待ってくださいね」


 ガラス窓をみながら前髪につける。


「どうでしょうか?」


「おーよかった。とても似合います」


「かわいいわよ。よかったわね」


「ありがとうございます」


 贈り物はほとんどもらったことがないので素直にうれしい。


 少しだけ楽しく過ごせそうな気がしてきた。


「今日は猫エリアへ入りたいのでお願いします」


「はい。お飲み物はどうされますか?」


「今日はなしでいいです」


「かしこまりました」


 猫エリアへのドアロックを外して中へ通す。

 

 リコさんが猫エリアへ入るのをはじめて見る。

 

 猫さんたちは他のお客様同様リコさんにも群がっていく。


 怖がる様子はない。


「みんなーこんにちは。相変わらず元気だね。いい子にしていたかな?……うんうん。そうかそうか。それはよかった」


「リコさんは同じ猫科なのでやはり言葉はわかるのですか?」


「いえいえ。ほとんどわかりませんよ」


 そう言いながら大きな手で猫さんたちを撫でる。


 コロコロ転がされながらみんな嬉しそう。

 

 言葉は分からなくても気持ちはわかるのかも。


 私もまだ猫と暮らすようになって日は浅いけどなんとなくわかる気になっている。


 合っているかの確認はしませんけどね。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ