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星のときめき

一番星

作者: 星焦がれ

さいごに月を見たのは

もう遠くむかしのこと

その頃はまだ

月のまわりには星がまたたき

そして薄雲がたなびき

夜の天蓋を形づくった


さいごに月を見たのは

もう遠くむかしのこと

かすむ目を凝らして

てのひらに収まる月を見た

それは満月だった

それは三日月だった

それは弦のような月だった

淡い光のかたまりだった


さいごに月を見たのは

もう遠くむかしのこと

いまでも思い出すのは

月を取りまく星々

遠く新しきいまを駆ける

未来の星々


もう、目の前の砂ぼこりとともに

消え去ってしまったあの月

しかし心のなかでは尽きることなく

あの星がまたたく



あの星を知ったのは

月を見上げたから

あの星のかがやきを欲したのは

月が微笑んでいたから

あの星をはじめて受け取ったのは

月の消えた夜だった


心のなかでは尽きることなく

あの星がまたたく

そして浮かび上がる

あの月の夜

いちばんの星を見つけた

あの月の夜


さいごの夜を過ごした日

顔も身も知らぬ星は

遠く新しきいまを駆け

飛び込んできた


それは贈りものだった

見上げる月が落としたものだった

見上げる月を離れ

この地に降りてきた星だった

それはいちばんの星


さいごに月を見るまえに

もうずっと遠くむかしのこと

その頃はまだ

月の贈りものをかかげる

あまたの星を見ていた

そして濃雲がたなびき

夜の蚊帳を形づくった


さいごに月を見るまえに

もうずっと遠くむかしのこと

その頃はまだ

月に添う雲を見ていた

空には河が流れ 星々は橋を架け 

そして宵が冷めた


さいごに月を見たのは

もうずっと遠くむかしのこと

心のなかでは尽きることなく

あの星がまたたく


そして

月の消えた夜

いちばん星を抱え

むかえた


さいごに夜を見るとき


きっと目の前の砂ぼこりのように

きっと消え去っていく

このいちばん星を

月に贈るため



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