第11話(3章3話)復活の魔王 その2
(作者からのお知らせ)
このお話は、拙作「ごーれむ君の旅路」の外伝です。本編の前史に当たるお話を集めております。
本編の後に、本作をお読みいただけると、より解りやすいと愚考いたしております。
内輪ネタや本編のネタばらしもありますので、先に本編をご笑読ください。
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「ビックマン! イキテタ!(歓喜)」
「ホータイ、イッパイ。(涙目)」
「早ク、元気、ナル。」
いつものわんこ達と一緒に彼の病室?に入ってきたのは、4、5人のゴブリンだった。
「そこそこ元気みたいだから、連れてきたよ。まだ長い時間話せる体力はないから、話は手短にね。」
キャットウォークを登ってきた医師が、彼の様子を診ながら声をかけた。昨日話したとおり、コボルトの医師はゴブリンの生き残りを連れて来てくれたのだ。
病室に来たゴブリンは皆、悪魔の猛追を生き延びた同胞である。全員が150センチ級以上であり、普通のゴブリンよりも大柄な体格だ。
「アリガトウ、医師・・・。普通ノ者タチハ?」
彼や強化種以外にも、普通サイズのゴブリンも生き残っていたハズだった。イヤな予想をしつつ、彼はコボルトの医師に訊ねた。
「・・・。(フルフル)」
彼の問いに応えず、医師は力なく首を横に振った。
「・・・残念だけど、傷が悪化して皆亡くなったよ。生き残ったのは大きいのだけだったよ。」
「・・・。」
「・・・ソウカ、アリガトウ、医師」
見舞いに来たゴブリン達と彼はしばし目を瞑り、斃れた同胞の死を悼む。ゴブリン種は繁殖力に極振りした種で、個々の個体の生命力は他の人型と比べると極端に低い。成体であっても少しのケガですぐ死んでしまうのだ。“けが人1人が死んでも子が2人生まれれば種の総数は増える。“という生存戦略である。生き残れたのはハイゴブリンやゴブリンファイターの中でも比較的軽傷者だけであったのも、ゴブリンという種の宿命であったかもしれぬ。
「マダ、イキノコッタモノタチ、イル!」
暗くなった雰囲気を切り替えるように、見舞いに来たハイゴブリンが話し出す。
「ああ、全員を連れて来ることはできないからね。まだ30人程生き残りはいるから。」
医師がそう言って補足してくれる。
「・・・・・。」
「・・・・・。」
それから短い時間ではあったが、彼は同胞としばし語らった。一番重傷なのが彼で、今生き残っているゴブリン達は「安心して。君より先に元気になるね。」というのが医師の言葉であった。
「ジャア、マタ!」
「ハヤク、ゲンキニ、ナッテ!」
「オレタチ、マッテル!」
あっという間に時間は経ち、見舞いに来たゴブリンたちはわんこ達に連れられて帰って行った。
「どうだい? 気分は?」
ゴブリン達が返った後、白衣のわんこ達が包帯だの湿布だのを取り換えるために彼に取り付く。そんなわんこ達に指示を飛ばしながら、医師が彼に問いかける。
「アリガトウ、トテモ、イイ。」
静かに応える彼。
「コンナニ穏カニナレタノハ、久シブリダ・・・。」
「そりゃ良かった。連れてきた甲斐があるというもんだよ。」
しみじみと呟く彼に医師はかる~く応える。
「で、ウチの王様がキミに話があるってゆうンだよ。どうする? 何時になるかは王様の都合になるけど、連れて来て、いいかな? キミさえ良ければ、だけど。」
彼に否やはなかった。
「ゼヒ、オ願イシタイ。同胞ノ礼モサセテ欲シイ。」
「それじゃあ、OKってコトで。段取りができたら、伝えるよ。」
後に、歴史の転換点となる会談はこうしてセッティングされたのだった。
(つづく)
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