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ごーれむ君の旅路外伝 ごーれむ君前史  作者: れっさー
第1章 女神シャリーの惑星管理業務メモ 編
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第1話 惑星管理の始まり

作者からのお知らせ(ピンポーン)

 このお話は、拙作「ごーれむ君の旅路」の外伝です。本編の前史に当たるお話を集めております。

 本編の後に、本作をお読みいただけると、より解りやすいと愚考いたしております。

 内輪ネタや本編のネタばらしもありますので、先に本編をご笑読ください。


**********


 私は、5級神の女神シャリー。神界に住む、数多の神の1柱(ひとり)である。

 神界で営業している、とある「惑星管理会社(カンパニー)」の「惑星管理神助手」が今の私の役目だ。

 ここでの仕事は、神力を注いで惑星を管理運営し、知的人型生物(ヒューマノイド)どもを繁栄させ、そやつ等から信仰と言う名前の精神エネルギーを採取し神界に供給することである。

 もちろん1柱(ひとり)で行う訳じゃない。「5級」と言うくらいだから私の神格(レベル)はとても低い。「惑星管理神助手」という役職からもわかるように、「惑星管理神(ボス)」が上司にいる。何柱(何人)か同じような神格(レベル)神々(同僚)とチームを組んで、惑星管理神(ボス)から任されたある惑星を管理するのが仕事だ。

 今、わたし達のチームに新たな業務命令が来た。

「新しくできた世界の、とある惑星で知的人型生物(ヒューマノイド)を繁栄させ、精神エネルギーを採取し神界に供給せよ。」

 ずいぶんざっくりした命令に見えるかもしれないが、神界での命令などこんなものである。

 惑星の運営方法は様々で、短命種を沢山繁殖させる「薄利多売」、少ない長命種を大事に育てる「高級路線」、果ては「永遠の命」をエサに機械化(ロボット化)させて文字通り「精神エネルギー搾取マシン」にしてしまう「完全機械(フルオート)化」まで、バラエティに富んでいるからだ。

 意外に思われるだろうが、文明度は高めればいい、と言うモノではない。発展させすぎると人口は増えるけど知的人型生物(ヒューマノイド)どもの信仰心が薄くなり、かえって精神エネルギーの回収率が下がることはこの業界でよく知られている話だ。

 また、同じ惑星内で反応兵器を撃ちあって自滅したケースもあり、なんでも手助けして進化させればいい、というものでもない。何事もホドホドに、ということだろう。

 こうして、私達の惑星管理業務が始まった。


**********


◆業務メモ 業務開始前日◆

 惑星管理神(ボス)から業務命令を受託。『新しい惑星を創造した(つくった)ので、お前らのチームで管理しろ。』相変わらずざっくりした命令だ。

 チームリーダー(班長)から『明日会議室で管理方針について協議する。』と業務連絡(メール)が届く。今夜は惑星の資料を読み込み、方針案を作らないと。


◆業務メモ 業務開始初日◆

 会議室にチームが集まり、惑星の管理方針について話し合った。昨夜は夜遅くまで会議用の資料を作っていたので眠い。

 今回任された世界は魔素があるタイプだ。別の高次元世界から洩れてくるエネルギーを利用することで、魔素を活性化し魔法が使えるようになる。多種多様な生命が生まれやすく難易度はそれほど高くもないが、やたら攻撃的な生態系になったり、魔法により文明があまり発展しないとか、強力な魔物が生まれるので知的人型生物(ヒューマノイド)が滅ぼされやすいとかいう傾向があるので注意が必要である。

 方針として、「生命が生まれるようになるまで神力を注ぎ様子を見る。」ことになった。

 まだ惑星表面は溶岩の海なので、こうするしかないのだが。

 1柱(ひとり)を監視役にして、私達は惑星に神力を注ぎ続けた。


◆業務メモ 業務開始から6億年、某日◆

 神力を注いで6憶年、ようやく惑星が冷えて海ができたため、どんな生命を誕生させるかを決める会議に参加する。

 会議ではまず、惑星の状態について情報を共有した。

 惑星の元素構成を調べたところ、いわゆる「炭素系生物」に適した環境であることがわかった。この方向で生命誕生キットを使うこととし、承認を得た。

 ケイ素系生物好きの(同僚)が残念そうな顔をしていた。アキラメロン。


◆業務メモ 業務開始から43億年、某日◆

 陸上で節足動物門甲殻類のうち、6脚タイプの一群が爆発的に進化、増殖を開始。

 この惑星の節足動物は、進化の過程で魔力との親和性の高い甲殻を獲得することに成功した。これにより、この惑星の甲殻類は効率的な身体強化魔法と魔導防壁を使うことができ、生存競争において大きなアドバンテージを持つこととなった。甲殻類の大型化の要因と思われる。

~以下、知的人型生物(ヒューマノイド)誕生までを省略~


◆業務メモ 業務開始から45億9,750万年、某日◆(250万年前)

 初期の原人と思われる生物群を確認。単純な石器を用い、2足歩行の生物である。

 ようやく知的人型生物(ヒューマノイド)の直接の祖先が出てきた。更なる進化を促すため神力を重点的に注ぎ、皆で大切に育てることにした。

 魔力要素の少ない生物群で、魔素の薄い地域でも生息できる。というか、魔素の濃いところは魔力適性の強い昆虫型生物群が強すぎて、とても生息できない。食物連鎖上はまだまだ喰われる側である。

ファースト(最初の)種」と命名。


◆業務メモ 業務開始から45億9,750万年、某日◆(250万年前)

惑星管理神(ボス)から業務命令が2つ届いた。

 一つは、『先日見つかったファースト種の進化速度をもっと速めろ』とのこと。今以上に神力を注ぐのは疲れるの!

 もう一つは、『ファースト種とは違うコンセプトの知的人型生物(ヒューマノイド)を創造すること』である。

 確かにこのファースト種は弱すぎる。何らかの改良が必要かもしれない。

 チームを二つにわけ、私達の班はファースト種の強化を、もう一つの班が改良型の開発を担当することになった。


◆業務メモ 業務開始から45億9,800万年、某日◆(200万年前)

 改良型開発班が一つのモデルを惑星管理神(ボス)にプレゼンし、承認された。

 主に魔法強化をコンセプトに作られたモデルで、ファースト種より長命、魔法適性も強く現段階で攻撃魔法による遠距離攻撃が可能とかなり高機能(ハイスペック)である。

 昆虫型生物群には敵わないが、気温の低い地域の森林地帯なら、十分に食物連鎖の上位を占めることができそうだ。

 惑星上の大陸北部大森林地帯の何か所かにサンプル集団を放ち、実用試験を行うこととした。

 「エルフ」の開発コードが付けられた。


◆業務メモ 業務開始から45億9,803万年、某日◆(197万年前)

 惑星上での実用試験の結果、開発コード「エルフ」の欠陥が露呈してきた。

 最大の欠点は、長命であるがゆえに繁殖能力がほぼ無いのである。まだ3万年ほどしか実用試験を行っていないが、それでも増殖のスピードが遅すぎる。

 ファースト種の10倍以上の長命を誇るが、これは逆に言えば世代交代による人口増加のタイミングがファースト種の10分の1でしかない、ということである。これにより人口増加がほとんど見込めないのだ。個体としての能力(スペック)が高いのでかろうじて人口を維持しているが、何らかの災害や疫病で人口が減った際のリカバリーができない、と予測されている。

 改良型開発班から、この「エルフ」の外見上の老化が見られにくい形質を利用し神々の愛玩用(ペット)として進化させてはどうか? との提案があり承認された。

(追記:この神々の愛玩用(ペット)は意外に神界でヒットし、キレイ系スレンダー(貧乳)型、褐色系エロボディ(エロフ)型などいくつかの(タイプ)が製作販売され、根強い顧客(ファン)を獲得したとのこと。また、様々な次元世界へ輸出され、現地での繁殖に成功したとのことである。なぜか笹葉状の耳をした(タイプ)に人気が集中した。理由は今もって謎である。)


(つづく)

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