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上司の命令は絶対です  作者: マリー
2/2

銃殺

翌日。

まずは近くの葵動物園から殺していく事にした。

「私は日ノ本管理局の綾野綺羅だ。戦争の妨げにならぬよう、動物を殺させてもらう。」

葵動物園の従業員は、黙って従った。

同情の声をかけたくなったが、日ノ本管理局の社員としてそれはできなかった。

「かまえ!」

私の号令と共に、同僚たちが銃をかまえた。

「放てーっ。」

轟音が動物園に響き渡り、銃声が止む頃には動物たちの死骸が転がっていた。

小さい頃、頻繁に遊びに行った葵動物園。

できればこんな事はしたくなかった。

が、上司の命令は絶対。

私は最後まで真顔でいた。


「あんな光景、もう絶対見たくない。」

同僚たちは愚痴を漏らす。

「みんな、落ち着け。天皇陛下も賛同しているなら、仕方ないだろう。」

私は食堂に向かった。

「おやじ~、豚骨ラーメン。」

おやじは私の言葉で硬直した。

おやじは私の事を何でも知っている。

私が悩んでいる時は、必ず豚骨ラーメンを食べる事も。

「はい、ラーメン一丁。」

私は豚骨ラーメンのスープが大好きなのだ。

これさえ食べれば、嫌な事などすぐに忘れてしまう。

魔法のラーメンだ。

「綺羅さん、何かあったのかい?」

おやじが聞いてくる。

「別に。」

私は素っ気無い態度で返す。

今は誰とも喋りたくない。

「俺は分かってんだ。綺羅さんが悲しんでる時は、必ず鼻歌を歌っている事を。」

私ですら気付かなかった癖を、おやじは他人であるのに知っている。

まるで神だ。

「動物の銃殺の件で悲しんでるんだろう?」

カッとなった私は立ち上がり、おやじの頬を平手打ちした。

「もうこれ以上、話さないで。」

私は食べかけのラーメンを残し、部屋に戻った。

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