91話 浜辺でランデブー
タコルの知り合いがいるムルセと呼ばれる島は、セスタリカから遥か南に位置すると言う。
飛空艇で移動していたとしても、ムルセにたどり着くのに丸一日は掛かっただろう。
それを踏まえると、敢えて一人でタリスタンを出たのは正解だったようだ。
アーロンたち兵団と共に行動していれば、無駄に時間を費やしてしまう事になるからな。
しかし、ナルガが死んでしまっていると知った時はどうなる事かと思ったが、逆についていたかもしれんな。
この広い世界で国を転々と移動する者を探すより、目的地がはっきりしていた方がたどり着くのは容易いからな。
それに何よりタコルが妖精の都への行き方を知っていたというのはデカイ!
タコルの知り合いに妖精の都へ連れて行ってもらい、妖精王とやらにサラの呪いを解いて貰えばいいだけなんだ。
上手く行けば今日中にタリスタンへ帰る事も可能なんじゃないのか?
案外楽勝だったな!
俺はセール大陸を飛び越え海に出ると高度を落とし、水しぶきを上げながら猛スピードで突き抜けた。
あまり高く飛んでいるとムルセに気づかず飛び越えてしまう可能性があったからな。
タコルの話だと小島だと言うから見落とさぬように移動しなければな。
「この辺りで間違いないんだよな?」
「そのはずだけど、少し高度を上げて辺を見渡して見ろよ!」
少し低く飛びすぎたか?
俺はゆっくりと高度を上げ海上を見渡してみると、南の方角に島が見える。
俺に頭を掴まれていたタコルも島を確認し、触手で島を指している。
「間違いない! ムルセだ! あそこにオイラの友達メルトがいるはずだよ」
「うむ、行くぞ」
俺は目と鼻の先にあるムルセの上空まで移動すると、ゆっくりと高度を落とし、島の東側の海岸に降り立った。
海辺に降りたった俺は一瞬でその光景に瞳を奪われた。
目の前の砂浜では尾ひれを生やした魚人族の女や、ケモ耳の女がハレンチな水着姿で砂浜を駆けていたり、浜に寝そべり日光浴を楽しんでいるのだ!
他種族が入り混じり尻に食い込んだ水着を指先で直す姿や、水辺ではしゃぐ女たちが動くたびに、見事な二つのお山がワルツを踊る様は、まさに至高の光景だ!
この絶景を前に素通りできる男がいるのなら、それは男ではなかろう!
俺は一旦心を落ち着けようと、砂浜に生えた木の下の木陰に三角座りで座り、目を見開き砂浜を凝視する。
白や黒、色鮮やかなパレオに包まれた魅惑の三角がチラリズムを生み出し、更に俺の鼻息を荒くしていく。
真剣に砂浜の天女たちを観察していると、じーっと俺を見つめるタコが嘆息している。
「おい、オイラの友達の所に行くんだろ? なんでそんな所に座ってるんだよ!」
「少し待て! 今忙しい!」
「忙しいって、さっきからフンがフンが鼻息荒くしてるだけじゃないか! みっともない奴だな! まるで変質者だな!」
うるさいタコだの! 気が散るだろうが!
「おい聞いてんのかよ! とっととメルトの所に行こうって言ってんだよ! いい加減にしろよ!」
タコの事は今は無視だ!
それよりも、ハレンチな姿でボール遊びをするボインちゃんが楽しげに揺れておるわ!
そうだ、俺も一緒にボール遊びをしよう!
俺は横でごちゃごちゃと騒ぎ立てるタコの頭を掴み、天女たちの元へ駆け出した。
「そこの女の子たちよ! 俺とも一緒にボール遊びをせぬか? よく跳ねるボールがあるのだ!」
「よく跳ねるボールって?」
「え? なになに?」
「なんかすごいボールがあるらしいわよ!」
ハレンチな姿をした女どもが興味津々で群がって来おったわ!
余程ボール遊びが好きと見た!
俺は手にしていた真っ赤なボールを女たちに見せてやった。
「これが俺のボールだ! 一緒にボール遊びをす――」
「「きゃーー」」
「何よそのグロディスクな物!」
「頭おかしいんじゃないの!」
「それにコイツさっきからやらしい目で私たちを見ていたのよ! 私見てたんだから!」
「変態よ! あっち行きましょ!」
「……っえ!」
なぜだ!? なぜ行ってしまう!
ボール遊びが好きなのではないのか?
美しい女を見る事はいけない事なのか?
違う! 全部この醜いタコのせいだ!
くそったれぇぇええ! 俺は掴んでいたタコを砂浜に投げつけタコを睨んでやった!
「いてぇな! 何すんだよ! それになんだよその目は! 言っとくけどな、俺の方が傷ついてんだぞ! お前の所為で無駄に傷ついたんだぞ!」
「すべてお前の醜い姿が悪いからではないか!」
「はぁぁああ? お前が鼻息荒くやらしい目で見ていたのが悪いんだろ!」
「黙れ黙れ黙れぇぇええええ!」
一人くらい……一人くらいイケるのはおらんのか?
諦めきれん!
周囲を見渡すと、居るじゃないか!
浜辺に寝そべり日光浴しとる……とんでもない美女が!
薄桃色の髪に黒い極小ビキニ、尻からは細く黒い尻尾を生やし、背に小さな漆黒の翼を生やした長身の美女じゃ!
首に付けたチョーカーが愛らしいな。
今度こそ上手くやるぞ!
俺は呆れるタコをよそ目に、そっと背後から美女に歩み寄った。
美女の近くには何やらボトルに入ったオイルらしき物が置かれている。
「そ、そのオイル俺が塗ってやろうか? 自分では塗れんだろう?」
「ん? その声ゼセットじゃないね? まぁいいだろう、塗らせてやる! しっかりと塗るのだな」
ヒヒ、女は振り返る事なく強気な口調で塗って欲しいとせがんでおるわ!
俺はボトルを手に取り、背にオイルを垂らしてやった。
すると女は冷たかったのか、やらしい声を上げよった!
「っあぁん!」
さぁ、今から極上のマッサージをしてやるぞ!
浜辺でランデブーじゃ!
――次回 92話、キノコ。
この作品を少しでも気に入ってくださったら、下の評価ボタンをポチっと押して頂けると嬉しいです!
よろしくお願いします。m(__)m




