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88話 王と妃

 ――本来ならば、父が魔女ナルガの行くへを追っていただろう。

 だが、今となってはそれは叶わない。父は何者かに暗殺されてしまい、帰らぬ人となってしまったのだ。


 父の代わりに妹に呪いを掛けた憎き魔女を、必ず見つけ出すと父の墓前に私は誓った。


 魔女ナルガの行方を探し始め、既に半年が過ぎた。

 だが、未だナルガの痕跡は掴めずにいた。

 そんなある日、朗報が飛び込んだ。


 友好関係であったファゼェル国の舞踏会に出席した私は、ファゼェル国の貴族から魔女ナルガと言う言葉を聞き、その男に詳しく話を聞いたのだ。


 魔女ナルガは元々ファゼェル国内で、天才と謳われる程の宮廷魔道士だったと聞く。

 しかし、ナルガは新たな魔法薬の開発に失敗し、顔中に大火傷を負ってしまったと言う。


 ポーションや治癒魔法を駆使し、ある程度火傷の痕は消えたというが、美しかったナルガの面影はそこにはなかったという。

 変わり果てたナルガに、ファゼェルの国王は化け物とナルガを罵った。


 いつしかナルガは心を閉ざし、誰にも何も言わず姿を消した――


「どうやら魔女ナルガは元々ファゼェルの人間らしいですね」

「アリアにちょっかいを出すセストといい、ファゼェルにはロクな奴がおらんの!」

「どうやらこれは日記ではなく、ナルガについて記されているようですな」

「もっと重要な事が書かれているページはないのか? ナルガの過去を知ったところで行方はわからん!」


 ハーディーがパラパラとページをめくると、スノーが手を伸ばしページを止めた。


「これは?」

「なになに?」


 ――ナルガの行方を追い求め、既に二年が過ぎた頃、私は絶望に突き落とされる事になる。

 その日、私は国の方針を決める重要会議に出席したのだが、コソコソと話をする二人の貴族の会話に聞き耳を立てていると、男たちは信じられない事を口にしていたのだ。


 男たちはエルラナは魔女の呪いで死んだのではなく、セノリア王が呪いに見せかけ殺害したと口にしていたのだ。


 私は全身の力が抜け、男たちの会話を理解する事が出来なかった――


「な、なんだこれは? どういう事だ? なぜセノリア王が妃の一人を殺すのだ?」


 スノーもハーディーも固まってしまっている。

 ひょっとして俺たちはとんでもない事を知ってしまったのか?

 とにかく続きを読む事にした。


 ――私は一月頭を悩ませ、セノリア王と二人きりになった時を見計らい、死を覚悟で尋ねる事にした。

 セノリア王は私がエルラナの件について尋ねると、悲しそうに笑ってその通りだと言っていた。


 王はサラに呪いを掛けたエルラナに恐怖を抱いていたのだという。

 このままでは何れ自身もエルラナに殺されてしまうかもしれないと。


 そこで王はエルラナをナルガの呪いに見せかけ殺害する事を計画し、実行したのだ。

 私は意を決して王にナルガの事について伺った。


 するとセノリア王は耳を疑うような事を口にする、ナルガは既にエルラナに殺されてしまっていると。

 もうサラの呪いを解く術はないのだと、王は項垂れておられた。


 王の話によると、ナルガは数年間国を転々と移動しながら生活をしていたという。

 ナルガはセスタリカでエルラナと出会い、ナルガの才に惚れ込んだエルラナは、ボタニカ王子とルケア王子の為に国に属さないかと提案したのだ。


 ナルガもファゼェルを去り数年が経過していた事もあり、恐らく疲れていたのだろう。

 ナルガは喜んでエルラナの誘いに応じたという。


 しかし、ナルガにとって予期せぬ事態が起きた。

 エルラナは採用試験と題し、サラに呪いを掛けるよう指示を出したのだ。


 ナルガがそれを拒むと、エルラナは兵を連れ、ナルガを脅しサラに呪いを掛けさせたのだ。

 直後、事実を隠蔽する為にエルラナは兵にナルガを殺させた。


 サラが眠りにつき、しばらくした頃、エルラナは酒に酔いセノリア王に誇らしげにその事を語ったのだ。


 しかし、それを聞いたセノリア王はエルラナに対し怒りと憎しみを募らせ、いつか自分も殺されるかもしれないと恐怖するようになったという。


 真実を知ってしまった私は途方に暮れた。

 もう、サラの呪いを解く術は失くなってしまったのだから……。


 途方に暮れる私に朗報をくれたのは、旅の商人だった。

 商人はどんな呪いでも解いてしまう、妖精王の話を私に聞かせてくれた。


 だが、妖精の都への行き方は不明だ。

 私は残りの生涯を妖精の都探しに費やすだろう……――


 魔女ナルガを見つけ出すどころか……既に死んでいるではないか!

 ……だから、サラは不可能と言ったのか?

 サラは自分に呪いを掛けたナルガが死んでいる事を知っていたのか……。


「この本は……処分いたしましょう……」

「賢明な判断です、スノー様」


 神妙な面持ちの二人が本の破棄について話しているが、確かにこんな物置いておいてもロクなことにならんだろうな。

 妃を殺害したのが自国の王だと民衆が知り、更にボタニカの耳に入ってしまえば、戦争どころではない。


 間違いなくクーデター、反乱が起きるだろう。


 しかし困ったな、ナルガを見つけ出し呪いを解く事ができないとなると、妖精の都とかいうどこにあるのかもわからん場所を目指さねばならん。


 今更呪いを解くのは無理だったなんてサラに言いづらいし……行くしかないんだろうな。


「アル……」

「スノー君が気にする事ではない。目的地がわかっただけでも助かったわ」

「本当に行かれるのですか? 父が何年かかっても見つける事のできなかった妖精の都に」

「うむ。すぐ行ってすぐ帰ってくる! 心配するな!」

「……はい」

――次回 89話、風呂敷。

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一話だけでも……!
是非お読みください!
モンスターボールを投げたらノーコン過ぎて女勇者を捕まえてしまった件。
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