83話 むっつり王子
いつも読んでいただきありがとうございます。
現在体調が悪く、明日は一話更新にさせていただきます。
更新時刻は19時です。ご理解いただけると幸いです。
デートが終わり城に帰ってくると、城の入口を行ったり来たりして落ち着きのないフレイの姿がある。
「どうしたのだフレイ」
フレイは俺の顔を見てすぐにアリアに顔を向けると、ホッとしたように溜息を吐いている。
「アリア様、困ります! 城から出る際は一声かけて欲しいと言っているはずです!」
「ごめんなさいフレイ、忘れてたわ!」
アリアの言葉を聞いて肩を竦め、深く嘆息している。
きっとアリアが突然城から消えたから心配していたのだろう。
「アリアを責めないでやってくれ! 俺が無理やりアリアを誘い連れ出したのだ! 心配かけさせて悪かったな」
「アルトロ王子が一緒でしたら心配ありませんが。これからはアリア様を外に連れ出す際は、私にも一声掛けて下さると助かります」
「うむ、肝に銘じておこう」
アリアはそのままフレイと共に部屋に戻って行ってしまった。
しかし、フレイに手を引かれ歩き出したアリアは何度も振り返り、俺に微笑んでくれていた。
随分アリアとの距離も近づいたと思う、この調子ならアリアを俺のモノにする日も近いのではないか?
だが油断は禁物だ。女心は移ろいやすいからな!
しかし、あの占いババアは思い出しても不愉快だな!
もしもアリアが占いババアの言葉を間に受けていたら、縁を切られるところであった!
確か、嘆きと覇道だったか?
三つの運命の内二つは、間違いなく前世の事だろうな。
だが、大切なのは現在と未来であろう!
俺は過去は振り返らん主義だ!
もう全て忘れたのだ!
さてと、俺も部屋に戻るとするか。
歩き出し階段を上ろうとした時、階段の裏手へコソコソと移動するフルク王子の姿が見えた。
ん? 階段の裏手に何かあるのか?
俺は気になったので部屋に帰る事をやめて、フルク王子の後をこっそりと尾行するように階段の裏手に回った。
しかし階段の裏手には何もない。
フルク王子はどこに消えたのだろう?
じっくりと階段裏手を観察すると、一箇所だけ床に切れ目みたいなものがある。
俺は膝を突き、切れ目の入った床をトントンと叩いた。
すると、床は数センチだけ浮き上がったのだ。
隠し床か? 俺は浮き上がった床を持ち上げ中を確認した。
隠し床の中には階段が続いているのだが、明かりはなく奥は確認できない。
だが間違いなく、フルク王子はここへ入っていったはずだ。
気になる! 一体この下には何があるんだ?
まさか! フルク王子は……。
やらしいアイテムをここに隠しているんじゃないだろうな?
ありえる! あのむっつりスケベなら他人に見られたくないお宝を隠している可能性は大だ!
俺は軽く舌を出し、乾く下唇をペロリと濡らした。
ヒヒ、独り占めなどさせんぞ、むっつり王子よ!
宝探しと行くか!
俺は地下へと続く隠し階段を下りていく。
もちろん、他の者に横取りさせない為にちゃんと床を閉じていく。
しかし床を閉じると更に暗いな、俺は壁を伝いながら慎重に下りていく。
というのもこの階段、かなり急だ。
足を踏み外したら真っ逆さまに落ちていきそうだな。
なのでこうして慎重に下りていくのだが、どこまで続いてんだよこれ!
いくらなんでも長すぎるんじゃないのか?
だが、裏を返せばそれほど貴重なエロアイテムがあるという事だ!
どんなモノだ? 秘薬の類か?
それとももっと別のものか? 気になる!
っん? 明かりが見えるぞ。
どうやら最深部にたどり着いたみたいだ。
逸る気持ちを抑えきれず、一気に最深部まで駆け下りていく。
最深部までたどり着き、辺りを見渡すが何もない。
カビ臭い牢獄のような部屋にあるのは、壁に埋め込まれるように取り付けられた姿見だけだ。
石造りの壁には金具が取り付けられ、ランタンがぶら下げられている。
恐らくこのランタンはフルク王子が掛けたものだろう。
だが、肝心のフルク王子がいない。
間違いなくこの部屋のどこかに隠し通路があるはずだ。
でなければフルク王子が消えた事になる。
一番怪しいのは、どう考えても壁に埋め込まれているあの姿見だ!
俺は姿見に近づき、姿見の縁を掴んでは、押してみたり引いてみたりしたが変化はない。
腕を組みじっと姿見を見て考えていると、鏡の奥に屈折した光が見える。
俺は鏡を手で押してみると、カチャっと音が鳴り鏡が反転したのだ!
すると、フルク王子の慌てた声が聞こえる。
「――誰だ!」
この慌てようからして、相当のお宝と判断した。
俺は鏡の奥にある部屋にズカズカと入っていった!
部屋は白で統一されていて、二人がけ用の小さな椅子に小さな白い円卓、円卓の上には白い花瓶が置かれていて、見覚えのあるくたびれた月華が一輪挿してある。
部屋の奥には真っ白なベッドが置かれ、その脇に椅子に座ったフルク王子がいる。
「アルトロ……王子! なぜここに?」
なんなのだこれは?
「フルク王子の姿が見えたから追ってきてしまったのだが、何をしておるのだ?」
「母の様子を見に来たんだ」
母? 俺はフルク王子に近づき、ベッドで眠る女性に目を向けた。
歳は40中頃だろうか? アリアと同じ赤い髪をした女性はスヤスヤと眠り続けている。
病気か何かか? フルク王子は悲しげな……だけどとても優しい顔で女性を見つめている。
俺は見てはいけないものを見てしまったのではないだろうか。
今回、次回予告はありません。ごめんなさい。
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