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68話 ゲーム?

 2階にたどり着き、廊下の先の会場の入口から微かなランタンの光が漏れ、頭に響く鉄の衝突する嫌な音が廊下まで聞こえてきている。


 俺の横を走っていたフレイも光の先を見つめ、音が聞こえると眉を顰め、腰に提げた剣の柄に手を伸ばし、不意に敵が襲ってきてもすぐに抜刀できるように準備をしてる。


 リリアーナは鞭もない丸腰の状態にもかかわらず、走る速度を上げ先行しようと俺の後方から追い上げてくる。

 相変わらずのお転婆なのだが、丸腰のリリアーナを突っ込ませるわけにもいかないので、俺はリリアーナに声を掛けた。


「リリアーナ! お前は武器を持っておらん。後方でアリアとシスについてやっていてくれ!」


 俺はリリアーナを気遣い言ったのだが、リリアーナは眉間にシワを作り不満そうに反論してきた。


「丸腰でも戦えるわ! 私を足でまといみたいに言わないで!」


 リリアーナを足でまといなどと思ったことなど一度もない。

 しかし、俺の言い方が悪かったのか、リリアーナには俺が足でまといだと言っているように聞こえてしまったのだろう。


「俺はお前をそんな風に思ったことなど一度もない! ただ武器を持たぬリリアーナに万が一があったら困るから言っただけだ! 俺は無茶をするお前が心配なだけだ!」


 俺の真後ろまで来ていたリリアーナは、頬を紅色に染め、アリアとシス二人の元まで徐々に速度を落としていった。


「二人は戦えないんだもんね。いいわ! 私が守ってあげるわ!」


 リリアーナの方へ向けていた首を正面に向け直し、会場に足を踏み込むと同時に立ち止まり、会場内を見渡し状況を確認する。


 まずは音を響かせ火花を散らす中央へ目を向ける、本来ならば今頃、俺とアリアが踊っていたであろうダンスフロアで、騎士団の白いコートに身を包んだセスタリカの騎士数名が、黒ずくめの者たちと剣を交えている。


 黒ずくめの者たちに混じり、一匹尾ヒレとヒゲを生やした魚人が混ざっており、騎士たちは魚人に手こずっているようだった。


 騎士たちの後方には数十人のセスタリカ兵が、剣や槍を構え待機している。

 その兵たちの背後には身を寄せ合いながら固まっている貴族たちと、ランタンを手にする使用人たちの姿も確認できる。

 もちろん、セノリア王たちの無事な姿も確認できた。


 兵たちが戦闘に加わらないのは貴族たちの盾になる為であろう。


 俺と同じように状況を確認していたフレイが剣を抜き取り、同僚の騎士たちに向かって叫ぶと、中央まで一気に駆け出した。


「援護します!」


 フレイの声に真っ先に反応したのは、一際体格のいい茶髪のオールバックの男だ。


「無事だったかフレイ! お前が無事だということはアリア様もご無事なのだな!」

「もちろんです! アルトロ王子が助けに来てくださったので!」


 オールバックの男は黒ずくめをあしらいながらこちらに視線を向け、アリアの姿を確認すると俺に目を向けてきた。


「そこにおられては危険です! さぁ今のうちにこちらへ避難してください!」


 オールバックの騎士は剣で黒ずくめの一人を押し返すと、クイッと首を後ろへ振り、俺たちに貴族たちの輪に加わるように指示を出している。


 オールバックの騎士の仕草を見ていたアリアは、シスとリリアーナの腕を掴み「行きましょう! アルトロ王子も早く!」と言い、貴族たちのいる場所に駆けて行こうとしたのだが、その時、その様子を伺っていた魚人が声を発した。


「そう慌てなさんな!」


 魚人の言葉に駆け出そうとしていたアリアはギョッと固まり、掴んでいたリリアーナとシスの腕に力が入っていくのがわかる。

 魚人は俺に顔を向け話かけてきた。


「アイーンバルゼンのアルトロだな? 強いんだってな? まぁだから儂が来たんだがな!」


 強い? やはりどこかでオスターでの戦いを見られていたのか?


「だったら何だ? すぐに殺してやろうか?」


 俺は目を見開き、闘気を込めた殺気を魚人へ放つと、魚人は慌てて両手を突き出し、まぁまぁと宥めるように話を続ける。


「儂は戦いに来たんじゃないんだ! お前さんとゲームをしに来たんだよ!」

「ゲーム? 何を言っておる?」


 魚人は不敵な笑を浮かべながら、魔気で創り出したと思われる盤上を取り出し、この場にいる全ての者に見えるように掲げている。

 その光景に騎士たちも一斉に魚人へと視線を向ける。


「ルールは簡単。ここに居る者たちの中から5つの駒を選択し、この盤上で互の駒を戦わせ、全滅、或はキングに指定した駒が倒された時点で敗北となる。誰を駒にし誰をキングにするかはお前さんの自由! もちろん、どの駒をキングに指定したかはお互い知りえないから、いかに早くキングを見つけ出し倒すかがポイントだな。」


 何を言っておる! そんなもん誰がやるか!

 めんどくさそうな相手だからさっさと殺すか!


 俺が動き出そうとした次の瞬間、魚人はアリアを指差し高らかに叫んだ!


「アリア=セスタリカ、この盤上を見ろ!」

「っえ!?」


 アリアが驚き盤上を見ると、魚人はニヤつき、再びアリアの名を口にした。


「アリア=セスタリカ! 儂の駒となれ!」


 はぁ? 魚人に名を叫ばれたアリアの体が燐光に包まれ、アリアの意識が消えると同時に、アリアの口元から薄白い魂のようなものが抜け出し、魚人の手元へ宙を漂いたどり着くと、アリアの姿をした駒へと姿を変えた!


 不意の出来事に、俺は息をするのも忘れ固まってしまった。

 リリアーナとシスも意味がわからないと、抜け殻になったアリアの体を支えては、アリアに何度も声をかけている。


 フレイは会場の中央でその光景を目にし、瞳は虚空に消え膝から崩れ落ち、静まり返った会場には剣が床に落ちる音が虚しく響いた。


 皆固まり呆然としている中、フルク王子の声が会場に木霊した!


「アリアァァァ!」

――次回 69話、駒。

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一話だけでも……!
是非お読みください!
モンスターボールを投げたらノーコン過ぎて女勇者を捕まえてしまった件。
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