67話 お前の所為だ!
赤い顔をさらに真っ赤に染め上げ、喚き散らすタコルの事はほっておいて、俺はアリアへ向き直し、立ち上がるように手を差し伸ばした。
「アリア、フルク王子やセノリア王の事も心配だ。いつまでもここでこうしている訳にもいかん。辛いかもしれんが会場へ急ぐぞ!」
アリアは顔を上げ、しっかりと俺の目を見て頷き、差し出した手を力強く握り、俺はアリアを引き起こした。
細くてすべすべしていて触り心地のいい手だな!
きっと手以外もすべすべしているんだろうな! 触りたいな!
俺は無意識のうちに握っていたアリアの手の甲を、指先でモミモミしていた。
アリアは俺のモミモミ中の指先を、じーと見つめながら「も、もう、大丈夫だから……」と言ってくるのだが、離したくない!
「そうか、もう大丈夫なのだな! 良かった!」
「それで、その……手を……離してもらえるかしら?」
離さねばいかんのか?
手を繋いで会場まで戻るという選択肢もあるのだが……ダメかな?
ダメかなとアリアの顔を見るのだが、アリアは頬を染めそっぽを向いてしまった。
やはり、嫌われておるのか?
仕方ない、離すとするか。残念だな。
「これはすまん! 気づかなかった!」
「……うん。手を貸してくれて……ありがとう」
なんかアリアの様子が普段とは違うが、気のせいか?
なんて思っていると、後頭部に痛いくらい視線が突き刺さっておるのを感じ、振り返ると……リリアーナが一睨しておる。
ま、まずい! リリアーナは嫉妬深き女じゃ、このままでは後で何を言われるかわかったもんじゃない!
「リ、リリアーナも怪我がなくてなによりだ! し、心配したのだぞ! 嘘ではないぞ!」
「……本当? 私やシスのこと、忘れてたんじゃないでしょうね?」
思わず息を飲んでしもおた!
相変わらず感の鋭い奴だな! 恐ろしい程だ!
「そ、そんな訳ないであろう! それよりも会場に向かうとするぞ!」
なんとか誤魔化し会場へ向かおうとしたのに、タコが俺に触手を向けいらんことを言いよる!
「オイラにはわかる、これは嘘をついている顔――」
俺は少し離れていたタコルの元へ、疾風の如き速さで行き、ボールのように蹴飛ばしてやった!
廊下の壁や床や天井に跳ね返り、3階へと続く階段辺に飛んでいったタコルを見て、みんなに声をかけた!
「タコルも会場に向かい走り出しおった! 俺たちも行くぞ!」
「向かったと言うより……アルトロ王子が蹴り飛ばしたのでは?」
「完璧に蹴り飛ばしたわよね?」
「タコさん……生きてるんでしょうか?」
「とにかく、アルトロ王子の言う通り、お父様たちが心配だわ! 行きましょう!」
細かいことを気にする奴らだな!
アリアがいて助かったわ!
俺たちは走り出し、3階へと続く階段を駆け下りた。
階段を駆け下りている最中に、タコルが猛スピードで駆け寄り、涙目になりながら文句を言ってきおる!
「なにすんだよお前!? 死んじまったらどうすんだ!」
「お前がいらんこと言うからだ! 口は災いの元なんだぞ! 覚えとけ!」
タコルは目を吊り上げてプンスカプンスカ怒っているが、無視だな。
この謎の生き物に構ってられん!
俺たちは階段を駆け下り、三階の廊下にたどり着き、反対側の2階へと続く階段へ向かい、駆けて行こうとしたのだが、フレイの悲鳴に似た声が後方から聞こえ、立ち止まっては振り返り、フレイに顔を向けた。
一体どうしたのだろう?
フレイは三階の廊下を見て固まっている!
「な、なんですかこれは!? 絵画も国宝級の壺も、何もかも無くなっているじゃないですか! それどころか廊下が黒焦げじゃないですか!」
やはり……まずかったか!
しかし、これは俺のせいではない。タコのせいだ!
こんな事がもし、父上や兄様、それに姉様たちに知られたら、一大事だ。
なので、正直に言ってやる。
「これはすべてこのタコがやったのだ!」
俺はタコを指差し、堂々とタコのせいにしてやった!
フレイはタコを睨みつけておる。
「っえ!? オイラじゃないよ! 燃やしたのはお前だろ!」
タコは俺を睨みつけ、触手で俺を指し、人のせいにしやがる。
なんてタコだ!
「お前が訳のわからん技を使ったからこうなったのだ! お前が邪魔をしなければ、アリアのプレゼントも魚人に壊される前に、俺が倒せていたのだ! すべてお前が悪い! 責任もって弁償しろよ!」
「無理だよ! 今このねぇーちゃん国宝級って言ってたじゃないか! 一介のタコにどうやったら弁償できんだよ!」
「体を切り売りして、たこ揚げボールでも作って売ればいい!」
「何百年かかるんだよ! その前に死ぬわ! オイラの触手は生え変わったりしないんだからな!」
「そんなん知らん! とにかくそういうことだフレイ、全責任はこのタコが取る、この一件が終わればコイツに弁償させるのだな!」
フレイは相変わらず、物凄い顔でタコルを睨みつけている。
タコルは魂でも抜けてしまったのか、真っ赤だった体を真っ白に染め上げ、固まってしまっている。
「そんな事は今はどうでもいいわ! それよりお父様たちの元へ急ぎましょう!」
どうでもいいとは太っ腹だなアリア!
フレイも納得はしていないが、アリアの言葉に渋々頷いている。
「この件については後ということで、とりあえず走るぞ! いつまで白くなってんだタコすけ! 行くぞ!」
「悪魔だな……お前」
恨めしそうに俺を見るタコルだが、俺はありのままを正直に言ったまでだ!
そして俺たちは再び走り出し、会場へ向かって突き進んでいく。
――次回 68話、ゲーム?
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