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63話 胃袋

 俺はジャケットの袖を捲り上げ、ポケットに手を突っ込みながらゆっくりと廊下を見渡しながら歩き、確認していく。


 廊下には所々に置かれた花瓶や壺、壁には間隔をあけながら掛けられた絵の数々。

 床にはレッドカーペット、天井にはシャンデリア、部屋の数は12部屋。

 廊下の中央には一階まで続く階段、俺が歩いてきた後方には四階へと続く階段がある。


 この中から間違いを探すって、俺はこの城の住人じゃないんだぞ!

 この悪趣味な技を生み出した奴の性格の悪さが、そのまま反映されてるんじゃないだろうな……されているんだろうな。


 アリアの元へ行くどころではなくなってきたぞ!

 仮にこのまま抜け出せなかったらどうなるのだ?

 普通この手の技は発動条件が複雑だったりするのだが、どこで条件を満たしたというのだ?


 愚痴ばかり言っていても仕方のないことなのだが、愚痴りたくもなる。

 取り敢えずひと部屋ひと部屋確認していこうと思い、部屋のドアノブに手を伸ばすのだが、硬い。


 カチャカチャと音を鳴らして部屋の扉を開けようとするのだが、どうやら鍵がかかっているようだ。

 念のためすべての部屋を確認するのだが、どの部屋も鍵がかかっておる。


 それはつまり、この廊下だけがテリトリーの範囲ということになるだろう。

 だが、単純に初めから鍵がかかっていただけかもしれないので、念のため全力で扉を殴ってみるが、ビクともしない。


 やはり何らかの力が働き、テリトリー外に指定されている扉を破壊することはできないみたいだ。

 そこから分かることは、初めに破壊できた窓ガラスはテリトリー内だったということだ。


 現に廊下の先の窓ガラスは割れたままだ、つまりテリトリー内の物は破壊できるが、テリトリー外に指定されている物は破壊不可能なオブジェクトということだ。


 この情報はでかい!

 そしてこのテリトリーを破る秘策を思いついた!

 俺の考えがもしも正しければ、この長い廊下のどこかに、部屋のドア同様に破壊できないモノが紛れ込んでいるはずだ。


 もし仮に破壊できたとしたらここから出られるだろう。

 破壊できなかったとしても、それがこのテリトリーから脱出するためのキーとなることは間違いない。


 試しに近くに飾られた白い花瓶を手に取り、床に投げつけてみると、高音とともに白い花瓶は粉々に砕け散った。


 床に飛び散った破片を見て、俺は思わず笑みが溢れた。

 扉は壊れんかったが、やはり廊下内の物は壊れる、これはテリトリー内の物は壊してもいいという術者のルールなのだろう。


 そうでなければ理不尽すぎる!

 というか、この技から脱出する術がなく、最強すぎるだろう。

 どんな技にも必ず欠点はある、完璧な技など存在しないのだ。


 それは俺の人技や魔技も同様だ。

 とにかく、活路は見いだせた!


 俺は廊下の中央まで進んでは立ち止まり、胸の前で両手を合わせ息を整える。


「さて、セノリア王には悪いが、この三階の廊下は消し炭にさせてもらうぞ!」


 俺は両手を左右の廊下に突き出し、黒炎を噴射し、一気に焼き払う。

 豪っという音を響かせながら、黒炎は燃え広がり、花瓶や壺を跡形なく溶かしては、壁に掛けられていた絵を一瞬で灰に変え、レッドカーペットを消し去り、明かりの灯らないシャンデリアを弾け飛ばした。


 暗闇の廊下が更なる漆黒の闇に包まれた時、闇の中でキラリと光る黄金の壺が俺の視界に飛び込んできた。

 間違いない、あれは破壊不可能な物質だ。


 俺は突き出していた両手から噴射される黒炎を止め、前屈みになりながら息を吐き出し、背を反り上げると同時に大気を目一杯吸い込み、廊下に燃え広がった黒炎をすべて吸い込んだ。


 黒炎を放置していたら城を灰にしかねないので、これが最善の策だと思うのだ。

 俺の胃袋は通常の食事などをする胃袋とは別に、無限の空間につながる胃袋が存在するのだ!


 俺は自ら放った黒炎を無限胃袋へと封印したのだ。

 一度無限胃袋に封印したモノを取り出すことも可能なのだが、実体のある物を取り出す時、サイズが大きすぎると酷くみっともない顔になるので、ほとんど取り出すことはない。


 そんな事は別にいいとして、黒焦げの廊下で一際輝きを放つ、あの黄金の壺の方が今は重要だ。


 俺は黄金の壺までゆっくりと歩み寄り、廊下に転がる壺を右手を伸ばし手に取ると、中を覗き込んだ。


 中を覗き込むと、俺は一瞬固まってしまう。

 壺の中には冷や汗を流し、今にも泣きそうな顔で引きつった笑を浮かべる、タコがいる。


 なんだ、この……ブサイクな生き物は?

 タコのような魔物は俺と目が合うと「こんちわっす」と白々しく挨拶をしてきやがった!


「なんなんだお前?」


 タコは俺が呆気に取られていると、隙ありと言わんばかりに壺から飛び出し、逃げようとするのだが、あまりの遅さについ左手でツルッとした頭を鷲掴みにし……捕まえてしまった。


 俺に頭をガッチリと掴まれたタコは、殺されると思ったのだろう、みっともなく泣き叫び始めた。


「嫌だよぉぉおお! オイラだってこんな事したくなかったんだよ! だけど脅されて無理やり、ああぁぁ! 死にたくないよぉぉおおお!」


 ……殺りづらいな。

――次回 64話、バラエティ。

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一話だけでも……!
是非お読みください!
モンスターボールを投げたらノーコン過ぎて女勇者を捕まえてしまった件。
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