表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/152

61話 舌打ち

「それにしてもっヒ、今頃アルは旨い酒をしこたま飲んでるんだろうなっヒ」

「お酒ならさっきからザックさんもアホ程飲んでるじゃないですか!」

「お子ちゃまのルナには酒の違いがわからねーんだよ!」


 俺たちはアルが、アリア様の18歳を記念して開かれる舞踏会に参加している間、やることもないのでアルの好意で資金を貰い、街の酒場を貸し切って飲んでいるのだが、ザックが悪酔いし始めルナに絡み始めた。


「やめときなルナ、酔っ払いに絡んでもいいことないよ」

「姉さんの言う通りでやんす!」

「そうっすよ! それにアルトロ王子がここの酒場代まで出してくれてるんっすよ!」

「全くだ! それよりリリアーナはちゃんとアルトロの衣装を選んだんだろうか?」

「そんな事はどうでもいいんだよっヒ!」


 相変わらずウチの兵団の連中は腕はいいが変なのばかりだな、酒場で円卓を囲みながら呑んでいるのだが、セドリックは酒場のウエイトレスを口説くのに夢中のようだ。


 なんかあいつ最近ますますアルに似てきたな。

 しかし、本来ならば俺もアルの側近として会場に同行したかったのだが、平民出身の俺は騎士ではないから、アルに同行することすら許されん。


 アル自身は平民とか貴族とか気にはしないが、会場に集まった貴族たちの中には、俺のような一介の兵がいたら騒ぎ出す者もいるからな。


 まぁ舞踏会は城の中で開かれているんだし、問題はないか。

 俺がここで気にしていても仕方ないし、せっかくのアルの好意だ、今日はとことん飲むか!


 頭を切り替え、俺は近くにいたウエイトレスに声を掛け、追加のエールを注文する。


「すまんがもう一杯貰えるか?」

「っお! いい飲みっぷりだぜアーロン! 俺ももう一杯頼むぜっヒ」


 嬉しそうに空になった杯を掲げているザックは、相変わらず酒飲みだな。


 俺たちは日頃の疲れを癒すように、酒を浴びるほど飲んでいたのだが、ウエイトレスに構ってもらえないセドリックが、窓に腰掛け外を眺めていると、突然慌てた様子で声を荒げた。


「アーロン大変だ!」


 セドリックの張り詰めた声が陽気な酒場に響き渡ると、静まり返った店内で、皆一斉に窓の外を見上げるセドリックに視線を向けた。


「どうしたセドリック?」

「城が……青白い結界に包まれている!」


 セドリックの声を聞き、皆一斉に立ち上がり、窓に駆け寄り城の様子を確認した。


「なんっすかあれ?」

「綺麗でやんすね」

「あんたアホなの! んな呑気なこと言ってる場合じゃないでしょ!」


 状況が分かっていないポブの頭にパリスがゲンコツを入れ、そのすぐ横で先程まで酔っ払っていたザックが眉を顰めている。


「城を結界で覆ってやがるっヒ!」


 俺はすぐに窓の外を見つめる王宮魔道士ルナに確認を取った。


「あの結界はなんだルナ?」


 ルナは眉間にシワを寄せ、下唇を噛みながら答えた。


「隔離結界ですね!」

「「隔離結界!?」」


 ルナの言葉に一同声を上げ驚くのだが、重要なことはそこじゃない。

 まず一番に考えなければいけない事は、あの結界の内側、つまり城内に入ることは可能かどうかだ。


 間違いなくあの結界は何者かの襲撃だ、だとすれば敵は既に城内に侵入しているはずだ、城内にいるアルが危険かもしれない!

 俺はすぐに兵たちに指示を出した。

 

「すぐに城の付近まで行き、セスタリカ兵から詳しい状況を確認するんだ! それとルナは俺と来い! 結界を破り中に入る手立てがないか確認してもらう。何ぼさっとしてんだてめぇらぁ! 聞こえただろ! とっとと動け!」


 俺の言葉に慌てて店内から外に駆け出す兵たち、俺もすぐにルナを引き連れ、酒場を飛び出し城まで走った。


 城の入口まで来ると、案の定セスタリカ兵が混乱した様子で、打つ手立て無く立ち尽くしている。

 俺はルナにすぐに結界を破るように指示を出した。


「ルナ、すぐに結界に穴を開け中に入れるようにするんだ!」


 俺の指示を聞いたルナが、口を半開きに開け、首を横に振っている。


「そんなの無理ですよ! 結界は簡単に相手を中に入れたり外に出したしできなくするから結界なんですよ! いくら私が天才でもたったひとりで、しかも短時間で結界を解くなんて不可能です!」


「ッチ」


 役に立たない魔道士だな!

 それでもアイーンバルゼンが誇る王宮魔道士の一人か!


 つい咄嗟にしてしまった舌打ちが聞こえてしまったみたいで、ルナが地団駄を踏み、明らかに怒っている。


「な、何なんですかその態度! 今確かに舌打ちしましたよね! 何様なんですか? あなた何様なんですか!? あなたみたいな人は爆ぜてしまえばいいんです! キィー!」


「今のはつい咄嗟に……悪かったすまない! 悪気があったわけじゃないんだ、機嫌を直してくれ!」


 クッソー、こんなことしている場合じゃないのに!

 ルナのやつ完全にキレてやがる!


「アーロン隊長!」


 助け舟とはこの事か、城の周囲とセスタリカ兵から状況を確認していたパリスが戻って来て、報告を始めた。


「どうやらセスタリカの方々も状況が全くわからないみたいです。それに城の周囲を現在も確認していますが、結界内に入ることは現時点では不可能かと」


 まぁルナが不可能と行った時点で期待はしていなかったが、くそったれ!

 打つ手なしか!


 俺は聳え立つ城を見上げながら、アルの無事を祈ることしかできなかった。

――次回 62話、ラビリンス。

少しでもこの作品を気に入ってくださったら、下の評価ボタンをポチっと押して頂けると嬉しいです!

いつもありがとうございます。m(__)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
投稿開始し!
一話だけでも……!
是非お読みください!
モンスターボールを投げたらノーコン過ぎて女勇者を捕まえてしまった件。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ