表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/152

52話 姿見

 フルク王子からアリアの18歳を記念した、バースデー舞踏会の話を聞いてから数日が経過し、俺たちは現在、王都タリスタンへ向かい飛空艇で移動している。


 飛空艇内の自室で、シスとリリアーナが舞踏会で俺が着る服を「これじゃない、それも違う」と言い合いながら楽しげに選んでくれている。


 俺は服などなんでもいいと言ったのだが、アイーンバルゼンを代表して行かれるのだから、マーディアル王家の名に恥じぬよう、ちゃんとしなくてはいけませんと、シスが言っておった。


 きっとそういうことも含めて、姉様たちに言いつけられていたのだろう。

 しかし、それよりも気がかりなのは、俺のパラダイス計画がリリアーナ以降止まっているということだ。


 フレイはイケると思っていたのだが、寸前のところでいつもうまい具合に逃げられる。

 フレイは絶対、俺に気があるはずなのに、騎士という立場上からか、とにかく鉄壁のガードなのだ。


 それならパリスを攻略しようかと思ったのだが、パリスの側には常に、フードを深くかぶった真っ赤なふんどし姿のポブがくっついていて、中々手が出せん。

 パリスもポブに付きまとわれて、なんだかご機嫌斜めなのだ。


 ルナに至っては論外だ!

 当初ルナは完全に俺に気がある素振りをしていたくせに、いざ俺がベッドに誘うと、ブツブツと呪文を唱え始めたのだ!

 あれは完全に俺を爆裂魔法で吹き飛ばす気だった!


 守るべき王子を吹き飛ばそうとするなど、正気とは思えん!

 15で王宮魔道士になった才は認めるが、天才と変人は紙一重というのは本当のことらしい。

 とにかくあのちびっこ魔道士は危険だ。


 俺が前途多難なパラダイス計画について考えていると、シスとリリアーナが俺の腕を掴み、また着替えるように言ってくる。

 一体これで何着目だ。

 さっきから俺はシスとリリアーナ二人の着せ替え人形のように、何度も着替えさせられているのだ。


 もういい加減勘弁して欲しいと二人の顔を見るのだが、嬉しそうな二人を見ていると、とても言えない。


 仕方なく着替えると、姿見越しに見る二人はとても満足そうに頷いているのだが、まだ納得がいかないご様子だ。


「このジャケットもかっこいいんですけど……やはり少し地味ですよね?」

「だからこっちのワインレッドの方がいいって言ったのよ!」


 仮装大会に行くんじゃないんだから……それは派手すぎるだろ。

 あくまで主役はアリアなのだぞ!

 俺が目立ちすぎるのはあまり良くないだろう。


「二人の協力はありがたいのだが……アリアを引き立てるような服装だとありがたいな。主役のアリアより目立ってしまっては失礼と言うものであろう」


 二人の機嫌を損ねずに、それとなく伝えるのは疲れるわ。


「……それもそうね」

「……ですね」


 姿見に映る二人が、神妙な顔で考え込んでしまった。

 そこまで考えんでいいというのに、なぜか二人を見ていると姉様たちを思い出してしまうの。


 ――あれは確か俺がまだ8歳の時だったか、俺の生誕舞踏会で姉様たちが俺の着る服のことで言い争いを始め、大喧嘩をした挙句、長女のクレパス姉様がジャケットを選び、次女のジェニル姉様がインナーを選び、三女のセシル姉様がパンツを選んだ挙句、とんでもなく不格好なカッコをさせられたのは。


 今となってはそれもいい思い出だな。

 昔を思い出し、不意に笑が溢れてしまい、シスとリリアーナが不思議そうに俺を見ておる。


「どうかされました?」

「突然にやけてなんなのよ?」

「いや、二人を見ているとつい、昔の姉様たちの事を思い出してな。気にするな」


 俺の顔を見ながら微笑むシスが「早くアイーンバルゼンに帰還できるといいですね。きっとクレパス様たちもアルに会いたがっていますよ」なんて言ってくれる。


 そんなシスの腕を掴み、リリアーナは何か閃いた顔で声を上げ、シスを引っ張り部屋から出て行ってしまった。


「アリア様に舞踏会でどんなドレスを着るのか聞いてくるわ!」


 どうやら別の部屋にいるアリアの元へと行ってしまったようだ。

 当初、リリアーナはアリアに対し、あまり良いイメージを持っていなかったのだが、今はそうでもないのか、女心はよくわからん。


 まぁ、リリアーナがアリアに良い印象がなかったというよりは、国に見捨てられたかもしれないと思い込んでいた事が関係していたのだろう。


 だが、今回のオスターでのアリアやフルク王子を見て、考えを改めたのかもしれないな。

 なぜなら、王子と姫である二人が捕らわれていても、セスタリカはすぐに動かなかったのだ。


 それを知ってリリアーナ自身何かを察したのかもしれないな。


 戦争は個人の感情だけでは兵を動かしたくても、動かせないということを。

 それが例え、一国の王であっても同じなのだということを。


 二人が部屋を去り、一人きりになった自室のベッドに腰を掛けて、ふと思う。


 舞踏会にはアリアの想い人、ファゼェル国のセストも来るのだろうか?

 まぁ、来たとしても問題はない、実際に俺と見比べれば、アリアも俺の方がいいと目を覚ますだろう!

 丁度いい機会ではないか! 来るなら来い!

 セストよ!

――次回 53話、ヘブンデーナイト。

この作品を少しでも気に入ってくださったら、下の評価ボタンをポチっと押してくださると嬉しいです!

応援よろしくお願いします。m(__)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
投稿開始し!
一話だけでも……!
是非お読みください!
モンスターボールを投げたらノーコン過ぎて女勇者を捕まえてしまった件。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ