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47話 いただきます。

「あぁ~腹減ったぁ。これぽっちの魂じゃ俺の腹は満たされないぞ!」


 ブヨブヨに太った魔神が腹を掻きながら、不細工なツラで辺を見渡しておる。


 魔神の垂れ流す魔気に当てられたのか、アリアも生気の戻ったフルク王子もガタガタと震えておる。

 二人が震えるのも無理はない。


 たとえ完全ではないとしても、コイツは数百年から数千年前に魔神石に魂の一部を封印された魔神なのだ!

 古くは災いの神とも、破壊の神とも恐れられたモノの一匹だ!


 しかしアインは初めからこうなることを知っていたのか、震えそうになる体を手で抑えながらも、妙に冷静だな!


 俺の後方で相変わらず剣を構えるフレイは、手にする剣を震わせながらも騎士らしくあろうと気丈に振舞っている。


「な、なんですか! この化け物は!?」


 一昔前の者なら魔神を知っている者も多かったのだが、近年ではあまり知られておらんのか?

 その辺の情報は王宮で毎日遊んでいた俺にはあまりわからんが、少なくともアイン以外の三人の様子を見る限り、知らないみたいだな。


 騎士の鏡とも言える心構えで、剣を構え続けるフレイの問に応えてやろう!


「あれは(いにしえ)より魔神と言われる存在だ! だが慌てることはないぞフレイ! あれは出来損ないだ!」


 俺の言葉に透かさず聞き返してくるフレイ。


「出来損ないというのはどう言う意味なのです? あれほどの魔気を放っていながら、不完全だというのですか?」


「ノルバストが喰った石には魔神の魂の一部が封じられていてな、奴は知らずに自らの肉体と魂をあれに捧げたのだ! だがノルバスト一人の肉体と魂ではとてもじゃないがあれを完全体にすることは出来んのだ! よってあれは不完全で腹ペコというわけだな!」


 納得したように見えたフレイだが、疑問に思ったのかすぐに聞き返してきおる。


「でもなぜアルトロ王子はそのようなことをご存知なのですか?」


 説明するのはめんどくさい上に、俺が元七大魔王であることを知られれば大問題になる!


「王宮の書庫で読んだ書物にそのようなことが書かれてあったのを思い出したんだ!」

「アルトロ王子は勉強家なのですね!」

「うむ、そういうことだな。あの魔神は俺が相手にするから、フレイはアリアを頼むぞ!」

「はい!」


 フレイと会話をしていた一瞬の隙に、魔神はアリアたちの元へと一瞬で間合いを詰め、飢えた口元にヨダレを垂らしながら、アリアへ手を伸ばした。


「……お前喰う! 俺の餌――」


 ――刹那。

 俺は全身に力を込め、魔神の後方へと移動すると同時に、分厚い肉の塊を蹴り飛ばした。


 アリアたちには俺が瞬間移動でもしたかのように突然目の前に現れ、魔神が消えたように見えていただろう。


 その俺に蹴り飛ばされた魔神は壁を突き抜け、屋敷の外へと吹き飛ばされていた!


 俺を見て瞳を輝かせるフルク王子とは対照的に、やはりアリアの表情はどこか暗い。

 その理由を知るためにも、すぐに魔神を始末しなければ!


 魔神が壁を突き破り吹き飛んでいった方角に体を向け、飢えた魔神を待ち構える。

 その間にフレイはアリアたちの元へと走り、アリアたちの体の自由を奪う縄を漆黒の剣で切っていく。


 アインの奴まで自由になっていることが気になるが、アインのことは後だ!

 俺はフレイたちを巻き込んでしまわぬように、部屋の隅へと移動するように伝える。


「フレイ! 奴がすぐに戻ってくる! 巻き込まれないようにアリアたちと離れているんだ!」


 フレイは迷うことなく頷き、アリアたちを連れて部屋の隅へ移動し始めた。


「こちらですアリア様! フルク王子もお急ぎを!」

「ええ」

「わかった」


 フレイたちが部屋の隅へと移動した直後、崩壊した壁からそいつは戻ってきた!

 風船のように膨らんだ体の魔神は睥睨し、俺に目を止め話しかけてきた!


「お前、今俺のこと蹴ったか?」


 俺は魔神を嘲笑いながら正解だと口にする。


「体格の割に随分と軽いなお前!」


 魔神は怒ることもなく、とぼけた顔で口元に指を当てながら、余裕の態度で言い返してきおる!


「そうか、やっぱりお前か! じゃお前から食べちゃお!」


 俺を食べちゃうだと!?

 出来損ないの分際で随分と上から物を言うやつだな!

 気に入らん!


 長いこと眠りについていたせいで、相手の力量すらまともに測れんのか、この魔神は!

 まぁいい。

 そんなに腹が減っているのならたらふく食わせてやるわ!


「腹一杯食わせてやるからさっさとかかって来い!」


 腹一杯食わせてやると言ったことが余程嬉しかったのか、魔神は笑顔で見た目からは想像できない程の俊敏な動きを見せ、一気に突っ込んできおる!


「いただきまーす!」


 ――ガブッ


 魔神は突き出した俺の左腕に迷わず噛み付いてきおった!

 よほど腹が減っていたのだろう。


 だが魔神は俺の腕を噛み切れない!

 噛み切るどころか、魔神の尖った牙では俺の素肌に傷を付けることもできないのだ!


 俺の体は闘気と魔気を混ぜ合わせた、俺だけが扱うことが可能な魔闘気を身に纏うことで、闘気よりも、魔気よりも優れた性質の気で肉体の硬化を行っているのだ!


 魔闘気を身に纏っている俺が相手では、不完全な魔神など敵ではないのだ!


「――がたい゛、ちゃべれない゛」


 俺の腕に食らいつく魔神に約束通り腹一杯食わせてやることにする!

 俺は左腕に食らいつく魔神の口を、右手で掴みこじ開けて、開いた口に左手を突っ込んだ!


「腹が減ってんだろ? ちゃんと残さず食べろよブタ野郎!」


 俺は左手から黒炎を放ち、魔神の口に流し込んでやった!


「ぎぎゃぁぁあああああ!」


 俺の黒炎を体内に食らっても、一瞬で灰にならないのはさすが不完全とはいえ魔神だな!

 だがそのせいで、苦しみは長く続くことになる!

 皮肉だな!


 魔神の口に突っ込んだ手から黒炎が噴き上がり、部屋の温度をどんどん上昇させていく。

 離れて見ていたフレイたちの顔からは汗が流れ落ちていく。


「どうした? 旨いだろ俺の黒炎は? 遠慮せずにもっと食えよ、ほら!」


 さらに黒炎の勢いを強めると、魔神の肉体は耐え切れなくなり、徐々に体が灰と化し消滅していく!


 俺はそれを満面の笑みで見つめている!

 その光景が恐ろしかったのか、フレイたちは小刻みに震え固まっていた。

――次回 48話、ポジティブ。

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一話だけでも……!
是非お読みください!
モンスターボールを投げたらノーコン過ぎて女勇者を捕まえてしまった件。
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