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38話 エロティック

「フレイ!」

「なんでしょう? アルトロ王子」


 俺はフレイに本来の目的であるアリアについて尋ねる。


「アリアは地下牢に閉じ込められていると言う情報があったのだが、一緒ではなかったのか?」


 アリアと言う言葉を聞きフレイの表情は曇り、アリアについて語りだした。


「アリア様は確かに数時間ほど前まで、あちらの牢獄にフルク様と共に捕らえられていました」


 フレイが手を差し伸べた方角に目を向け、牢獄を見るがそこにはもちろん誰もいない。

 俺はフレイに顔を戻し、さらに詳しく聞いていく。


「アリアとフルク王子は数時間前まではあそこにいたんだな?」

「私は知っての通り、アルトロ王子に助けて頂くまで鎖に繋がれていたので、アリア様ご自身のお姿は確認できていません。しかしアリア様が数時間前までこちらにいたことは確かです」


 フレイが鎖で吊るされていた場所からは、確かにアリアがいたと言う牢獄は少し距離もあるうえ、壁が死角になって確認できない。


「ではなぜアリアが数時間前まであそこに居たとわかるのだ?」

「声です! 数時間ほど前にアリア様が、離しなさいと叫んでいたのがはっきりと聞こえていました!」


 なるほどな!

 確かにそれなら姿を確認せずともアリアの存在を確認することは可能だ!

 しかし妙だな!


 俺は疑問に感じたことをフレイに問う。


「フレイとアリアがここに捕らえられてから、今回のようにアリアが別の場所に移されたことはあったのか?」

「いえ、私は捕まってからの数日間はずっと鎖で吊るされていました。アリア様の抵抗する声を聞いたのも数時間前が初めてです」


 ますます妙だな!

 アリアを別の場所へ移動させるにしてはいくらなんでもタイミングが良すぎる。


 街で騒ぎが起きたから念のためアリアを救出できないようにする為に、より厳重な場所へと移すにしてもおかしい!

 なぜならアーロンたちが南の方角で騒ぎ始めたのは今から1時間程前だ。


 だがフレイは数時間前と言った。

 フレイの感覚が正しかったとするなら、敵は俺たちが街で騒ぎを起こすことも、俺がここへやってくることも初めから全部知っていたとしか思えない。


 やはりアインへの疑惑は深まる。

 俺はフレイにアインについて尋ねてみる。


「フレイはアリアと共にこの街に来た時、アインには会わなかったのか? 既にフルク王子が捕まり、アインがレジスタンスを結成していたはずだ」

「会いには行きましたが、私たちが訪ねた時には不在だったので、すぐにこの街の領主だったドウンとコンタクトを取ったんです。なにせ1秒でも時間が惜しかったので」


 俺の考えすぎなのか?

 だとしたらなぜ今日このタイミングでアリアは場所を移されたんだ?

 フレイたちがアインに接触できなかったのも、アリアが別の場所へ移されたのも、単なる偶然か?


 わからん! 考えすぎて混乱してきたわ!

 しかし俺が屋敷に侵入してからかれこれ30分は経つというのに、未だアインたちレジスタンスは姿を現さないな。


 それどころか静かすぎないか?

 俺が用を足しに行くと言ってから既に30分だぞ!

 ここにたどり着けないとしても、屋敷内で騒ぎになっていてもいいはずだ。


 仮に俺と同様、敵に見つからなかったとしたらここにたどり着いているはずだ。

 なぜならアインたちレジスタンスの目指す場所も、フルク王子が捕らえられていたこの地下牢なのだから。


 それなのになぜ来ない?

 おかしすぎるだろう。


 俺が右手を顎に当て考え込んでいると、フレイが気になったのか話しかけてきた。


「どうかされたのですか? アルトロ王子!」

「いや、少し考え事をしていてな」

「なにか気になることでも?」

「そんな大層なことではない」


 ここで今俺の考えを話すのはやめた方がいい。

 アインが敵か味方かの判断がつかぬ以上、仲間が疑われていたら不愉快だろう。


 俺の見立てではフレイは間違いなくセスタリカの騎士だ。

 ココル村で感じたことと、数日間の拷問に耐えるだけの肉体と精神を兼ね備えている。


 そこらの兵では一日耐えられるかどうかだろう。

 だとしたらやはりアインとは同僚になる、余計なことは言わない方がいいな。

 まぁ、直接本人に確かめればわかることだ。


「フレイ! お前はアリアの側近の騎士だな?」


 フレイはしっかりと俺の目を見て頷いた。


「アルトロ王子のお考えの通りです!」

「ならフレイには武器が必要だな! アリアは間違いなくまだこの屋敷のどこかにいる。救出するには敵と戦わねばなるまい!」

「はい! しかし武器になりそうなモノはどこにも……」


 フレイは辺を見渡すが、この地下にそのようなモノはない。

 一応、糞ジジイが使っていた革の鞭なら転がってはいるが、鞭の扱いは意外と難しい、リリアーナならまだしも、掌に剣ダコのあるフレイには相応しくないな。


 そこで俺は腰に付けていたお気に入りの漆黒の剣をフレイに差し出した。

 フレイは驚き、両手を前に突き出し左右に振っている。


「いけません、アルトロ王子! それではアルトロ王子が丸腰になってしまいます!」


 俺を気遣い遠慮しているフレイに俺は言う。


「俺は別に丸腰で構わん! フレイも俺の強さを見たであろう! そもそもこの漆黒の剣はかっこいいから使っているだけだし、雑魚など素手で十分だ!」


 フレイは少し考えていたが、俺の言葉を信じ、漆黒の剣を受け取ってくれた。


「それではお言葉に甘えて貸していただきますね、アルトロ王子!」

「うむ! それで良い!」


 フレイは羽織(ローブ)の中に手を回し、剣の付いたベルトを直に装着した。

 下着姿で羽織(ローブ)に身を包み、剣を腰に装着した姿は妙にエロティックだな!


 しかしこれで準備万端だな!

 俺はフレイに声をかける。


「それではアリアを救出に行くか!」

「はい!」


 気合十分なフレイと共に、アリアの元へと俺たちは向かう。

――次回 39話、胸を晴れ!

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一話だけでも……!
是非お読みください!
モンスターボールを投げたらノーコン過ぎて女勇者を捕まえてしまった件。
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