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転換29「団欒しましょ、そーしましょ」

……ごめんなさいorz

テストのせいです、はい、言い訳です。めっちゃ期間が空きました、すいません。もうずっと土下座してます。


ということで、作者ですけれども。やばいっすね、テスト期間はやばいっす! しばらく更新遅れそうですけど、生温かい目で見守ってくれると嬉しいです(え


ではでは、本編へどうぞ~♪

「うぁー……。腹減ったなー」


 夏にしては比較的涼しめな夕方の、我が家。二階から降りてきた京は開口一番にそう言った。リビングには俺と美樹がソファーに座っていて、女神は俺の隣にいる。


「あれ? 母さんと父さんは? 晩飯は……」


「お兄ちゃん忘れたの? お母さんとお父さんなら、福引き券の旅行でしょ!」


「あっ、そうだったっけか……」


訝しげな様子の京に美樹が呆れたように言い、京は一人納得する。俺が目を細めながらそのやり取りを眺めていると、美樹が勢い良く立ち上がった。……何かを思いついた、笑みだ。


「そうだ! いつも私やお母さん、きよさんがご飯作ってるんだから、たまにはお兄ちゃんが作ってみたら?」


「え?」


 出し抜けな美樹の提案に京は間の抜けた声を上げた。俺も予想外と言えば予想外だったのだが、なるほど、と思う。それは名案だ。


「そうだね。京いっつも食べる側だから、作る側の苦労も経験したほうがいいかも」


「だよね~」


 くふふ、と意地の悪い笑みがこぼれる俺と美樹。女神は隠すことなく京を指差して笑いに笑っていた。京は心なしか、げんなりとして見える。


「お兄ちゃ~ん、異議は~?」


 対して美樹はというと、すごく楽しそうだ。どれくらいかといえば、うん、もうめっちゃ。


『蛇ににらまれた蛙、ですね』


「そうだな、ほんとその通り。……くくっ」


「(微笑みあいながら談笑してやがる……)」


 京は一瞬、俺と女神のヒソヒソ話を横目で見やった。そして今度こそ折れ、もはや開き直ったように美樹に言った。


「わぁったよ! やるよ、やりゃいいんだろ!?」


 その言葉に、女神を含めた俺たち三人はおかしくて吹き出した。









「はぁ、どうしたもんか……」


 最寄りのスーパーマーケットへ向かう途中のアスファルト上。俺は誰にともなく呟いた。

 結局夕飯を作ることとなった俺は、美樹の『作るんなら材料からだよね』という提案によって買出しからやらされているのだ。……まぁ、仕方ないことだし異議はない。確かに普段俺は料理をしていないから、少しはこういうことをやるのもいいだろう。

 では何故俺が困っているかというと。純粋に何のメニューにしようか悩んでいるのだ。


『カレーにすればいいじゃないですか、簡単だし』


「それがいいかもな。でもいきなり現れていきなり人の心読んでいきなり助言するのはやめにしようか?」


 目の前に突如出現した金髪の女性に、俺は流すように手慣れたツッコミを入れる。言わずもがな女神だが、言ってること自体は本当にその通りかもしれない。


「じゃあカレーにすっかぁ」


『じゃあ私は試食コーナーめぐりでもします』


「やめろっつーに」


『大丈夫ですよ~、私が食べるのはお菓子だけですから』


「それでもだよ。つかお菓子の試食ってたぶんねーよ」


 俺は軽くにらんで楽しそうな女神をたしなめる。そんなことをしたら、食べ物がひとりでに浮かんでひとりでに消えるという怪事件を目の当たりにすることになってしまう。……それに、そうじゃないにしてもそんなことは普通することじゃあない。女神も言ってみただけだろう、笑って『わかってますよ~』と言った。

 そうこうしているうちに目的地へと辿り着き、俺は自動ドアの聞き慣れた開閉音を耳に店内へ踏み入れた。

 ……まぁ、俺たちがカレーの材料をだらだら買っている様子なんて誰も見たくないだろう。とりあえずはジャガイモやらニンジンやらタマネギやらを買ったということだけ伝えておこう。

 そして、家へ帰る道の途中。俺は本当になにげなく、聞いた。


「そういや、何で珍しく俺についてきたんだ? いつもはきよにベッタリなのに」


 瞬間、女神から笑みが消え、俺は狼狽する。さっきまでの様子が嘘のように、すっと表情が消えたのだ。


「め、女神……?」


『…………』


 焦る。俺は軽い冗談のつもりで言った。それがこうまで、何をもってしてかはわからないが場を重くさせているのだ。それは焦るというものだろう。その相手が普段あれだけ元気な女神なら、尚更というものだ。


『京……』


「な、何だ?」


 そんなやり切れない空気の中、ようやく女神が口を開く。俺は何とか歩を進めながらに答えるが、依然女神の表情が暗いのには驚く。

 女神は無機質な目で俺を見据えて、言った。


『あなたたち二人は、こんな私を許してくれますか?』


「なに?」


 予想もしていなかった言葉に、俺は思わず目を丸くする。その声色から、冗談でないことだけはバカでもわかる。だが、意味がとれない。日頃の俺たちへの滅茶苦茶のことか。……馬鹿馬鹿しい。そんなことは、謝る必要などないことだ。

 わからない。だけど今、こいつは苦しんでいるような、そんな気がする。だったら、答えは一つだ。


「何のことかはわからないけど、許すに決まってんだろ? お前は俺らにとってかけがえのない存在だから、な。……きよだって、そう言うに決まってる」


 我ながら恥ずかしい言葉。でも、今はそういう言葉を言うべきだと思った。

 ハッ、と息を呑む音が聞こえた。女神がまた静かに口を開く。


『私が、……あなたたち二人を二度、殺しかけたとしても、ですか?』


「え……」


 嫌なタイミングで、風が流れる。息が出来ない。まるで、心臓をわしづかみにされたかのようだった。一筋、汗が落ちる。


「それって、どういう……」


『忘れてください。全部私が悪いんです。私が、バカでした』


 続く言葉が出てこなかった。女神はそんな俺を見て、儚く笑う。


『きよに無駄な心配をかけたくありません。これは私の問題ですから。……今の話、内緒にしてくれますか?』


「あ、あぁ……」


『ありがとう。じゃ、もう行きましょう。……カレー、楽しみにしていますね』


 笑みを取り戻し、冗談めかして言ったセリフ。でも俺は、『お前の分はないだろ!』といつものように言うことが出来なかった。

 俺は何か、大切なものを見落としているのか? そんな思いが、胸の中で激しく渦巻く。


「いったい、何だってんだ……?」


 先導して道を行く女神の背中を眺めて、俺は苦々しく呟いた。










「お兄ちゃん、何買ってくるんだろう……」


「やっぱり、無難にカレーとかじゃないかな?」


 家に残った俺たち二人。くすくすと笑いながらの美樹の言葉に、俺も小さく笑うと言った。

 女神は珍しく京についていったが、いったい何のためだろうか。もし、いつものように嫌がらせのためならば、京には悪いが微笑ましい。尚更、笑みを深くした。


「いっつもめんどくさがってやらなかった罰だね。お兄ちゃんってばやる気のない現代っ子だから」


「あはは……」


 おおむね同じな俺にとっては耳が痛い。自分ではそんなつもりはないのだが、しっかり者の美樹からすればやはりそう見えるのだろうか。

 まぁ、今の姿になってからは自分でも結構、それが治ったと思うが。


「でもさぁ、きよさん! きよさんは知らないだろうけど、お兄ちゃんちっちゃい頃はやんちゃ坊主だったんだよ!」


「へぇ~……」


 嬉しそうに、懐かしそうに俺に話す美樹。もちろん俺が知らないわけはない、自然に目を閉じた。

 浮かんでくるのは、幼少の頃の数々の思い出。言われてみると、本当にやんちゃで、バカみたいに元気だったと思う。


「『空手だー!』とか言って自分の家の窓に正拳突きを食らわしたり、車に石で落書きしたり。怒られてもちっとも懲りなかったんだから!」


「ふふ……」


 一挙手一投足に身振り手振りを交え解説する美樹に、俺は愛しさを感じてはにかんだ。そんなこともあった。……本当に、懐かしい。


「最近では、きよさんが来る少し前に、交通事故にもあったし」


「あぁ……、えと、京から聞いたよ」


「私、がらにもなく泣いちゃって……」


「京も感動した、って言ってた」


 知らないことになっているが、忘れるわけがない。あの事件が原因で、『俺』は生まれ変わったのだ。そして、色んな人と出会った。いい出会いもあったし、悪い出会いもあった。でも、そのおかげで朱菜、葵、緑、深白、そして女神に会えた。そのことだけは、なんと言われようとも良かったことだ。……もちろん、自分自身と対話できることも。ちょっと気恥ずかしいけれど。

 俺がそうやって美樹を見つめていると、美樹も照れくさそうに笑った。


「はい。お兄ちゃんも無事でよかったし、きよさんとも出会えた。……本当に、良かったです」


「うん」


 俺の時間が、ゆっくりと現在いまへと引き戻される。それは決して居心地の悪いものではなく、温かい。過去には俺はいた、それだけで。現在いまの俺が、ここにきちんといるんだ。後悔なんて、ない。

 自然に、目だけで二人笑った。優しい空気が辺りに流れた、その時。


「うっ……!」


 突然、眩暈がした。何かが、押し寄せてくるような感覚。この感覚は、何かを思い出しそうとか、そんな生易しいものじゃない。背筋から全身を、悪寒が走り回っているような気さえする、強烈な嫌気。俺は軽い吐き気さえ覚え、俯いて黙り込んだ。


「き、きよさんどうしたの? 大丈夫?」


「……大丈夫、ちょっと暑くて」


 心配そうな美樹を制して顔を上げる。こんなちょっとしたことで、余計な心配をさせるわけにはいかない。ただ、少し具合が悪くなっただけなのだ。……特別なことは、何もない。

 美樹は変わらない目線をこちらに向けてはいたが、それでも深く追求することはやめてくれたようだった。


「ただいまー」


『ただいまです~』


 いいタイミングで、京と女神が帰ってくる。京の右手には美樹から持たされたエコバッグ。どうやら材料をしっかり買い終えてきたらしい。


「お帰りお兄ちゃん!」


「お帰り、何買ってきたの?」


 俺は何事もなかったかのように、笑顔で二人に駆け寄った。美樹と一緒にバッグの中を覗き込んでみると、中にはジャガイモ、ニンジン、タマネギ、……カレールゥ。


「うわ、きよさんの読み正解! 本当にカレーだ! お兄ちゃん簡単なもので済ませようとしてぇ~」


「何だよ、カレーじゃ悪ぃかよ」


 美樹がわざとらしく言ったのに、京は口を尖らせてみせる。いつもの通りの、京だ。

 女神に視線を向けると、それに気付いたのか笑顔をこちらに返してきた。……やはり、何も変わりはない。


「……楽しみだね、京のカレー」


 俺は不安を取り払うように、自らも薄い笑みを浮かべた。

後書き劇場

第三十四回「こんなはずじゃなかry」


作者です。おかしいです、何故か今回もシリアス風味になっちゃっちゃってます(もちつけ

大丈夫ですよ!? この小説は基本ほのぼのですよ! 時間の流れが不思議とゆっくりに感じられるぐらいほのぼのですよ!

そこ! 春ぐらいから夏編書き始めたのにまだ夏とか言わない!!(←


多分、また次からはおバカな話に戻ると思いますです、はい……。


京「んでさぁ。柄にもなくシリアスっぽいのやってみたりして、お前一体何を企んでんだ?」


俺「企むって……。せめて考えてると言ってくださいよ」


きよ「でも、ほんとに何がしたいんだよ」


俺「いやね? 君たちのためにも、しっかりとしたひと段落をつける話を考えているのだよ。実は第一話あたりから、ずっと伏線をはらせていてもらってね……ふふふ……」


女神『きもいです、死んでください』


俺「問答無用かよ……」


まぁ、ということでね。実際は大したものじゃないんですけどね。けじめみたいなものですよ!(何


さぁて、それじゃ! 来週もまた見てくれるかな~!?


ケンちゃん「思いやーりジャーンケーン」


俺「ジャーンケーンポン、ウフフフフフ! あれ!? 何か乗っ取られた!?」


ちなみに作者の出したのはグー! 作者からでした!!

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