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転換27「お約束は突然に」

どうも、作者なんですけれども。もはや十日間隔投稿が通常になっていて情けないやら恥ずかしいやらで恐縮なんですけれども。これを書いている途中、二回バグって全部消えてやり直して、正直今テンション最高に低いんですけれども。

くそぉ……(心の声


さて、今回で海水浴編も終わりになります! まぁ、『編』っていうほど別に長いわけじゃありませんでしたが、一応一つの区切りということで。

作者は深白の意外な人気に日々嫉妬しながら執筆を続けておりますです、はい。えぇ、決して京ざまぁなんて思ったりしてないですとも(おい


夏休みなんて、なかったもんも同然でした……(心の声第二弾


ではでは、そろそろ作者のくだらない話も聞き飽きてきたと思うので、本編へどうぞ~♪

 激しすぎるビーチバレー対決を終えて数十分後。俺たちは再び海水浴を楽しんでいた。

 深白もしっかり意識を取り戻し、自由を手に入れた俺は呑気に泳いでいた。冷たい水が、火照った身体を癒してくれた。


「一時はどうなることかと思ったぜ……」


「だな」


「あれ? 京?」


 俺が目を瞑って言ったのに、京がいつの間にか隣にいて苦笑で返事をする。そんな京は、身体だけでなく黒髪までをずぶ濡れにしていて、俺は思わず怪訝な顔をする。


「女神と一緒じゃなかったのか?」


「あぁ、俺に思いっきり水をかけまくって、満足してシートに帰ってった」


「……っくく」


 思いもよらぬその言葉に、俺は可笑しくて息を漏らす。いかにも女神らしい、何とも想像のしやすい光景だ。京はそんな俺に、頭を軽く振って睨みをきかせて言った。


「笑い事じゃねぇって。……鼻に入って、結構大変だったんだ」


「いや、ごめん。何か、面白くって……」


「いいけどよぉ」


 その口調が尚更ツボに入り、俺は最早隠すことなく笑いながら言う。京は口ではいいと言っておきながら、目は未だ不満げだった。俺はそれに違う意味で微笑みを浮かべ、若干雰囲気が柔らかくなる。


「ん~、青春だねぇ?」


「あぁっ!?」


 京の肩をポンポンと叩き、感慨深げに呟く男。その間延びした独特の声に、京はほとんど反射的に怒号を上げ後ろを向く。そこには、やはりというか何というか、ツンツンの茶髪の男、通称ケンちゃんがいた。


「……何でおま」


「何でお前がここにいるんだコラァ!!」


 疑問に思った俺の言葉を遮って、京が敵意を剥き出しにしてがなり立てる。ケンちゃんはそれに特に気分を害した風もなく、数秒思案する。その後、したり顔で言った。


「そうだなぁ……、そこに海があったから、かな?」


「殺す!!」


「おいおい京。暴力はいけないよ?」


「知るか! ってか呼び捨てするなやぁ!!」


 バシャバシャと海を泳ぎ回り、器用にもその状態から殴りかかる京。そして、いつものようにそれを立ち泳ぎをして逃げるケンちゃん。京はそれを追いかけて、より沖の方へ行く。

 ……本当に天敵だな。俺は思わず苦笑すると、それを追いかけて泳ぎだした。









「やれやれ。俺はお邪魔のようだね? 退散することにしよう」


 もうかなり陸から離れた場所に来て。ケンちゃんは小さなウィンクを俺たちに向けると、反対側の方へ立ち泳ぎのままで行ってしまう。後に残ったのは、俺と息が荒い京の二人。もちろん、すでに足はつかない。結局、何をしにきたんだろうか。


「何でそんなに嫌いなんだ?」


「……わかんねぇ、何かこう、本能的に」


 おずおずと俺が言ったのに、京は呼吸を整えるために一際大きく息を吐いた。まぁ、俺としては見ていて面白いので別に構わないのだが。……ケンちゃんが案外いい奴で、殴り合いにもならないしな。


「随分離れちゃったし、戻るか」


「あぁ、そうだな。流れも強いし」


 そんな本音は口には出さず、俺が言ったのに京は頷く。京が言った通り沖合のここら辺は流れがかなり速く、ともすれば流されてしまいそうだ。そうして、俺たちが陸に向かって泳ぎだそうとした時。


「っつ!」


 突如、右足に痺れが走る。その痺れは瞬間的に身体全てに行き渡り、俺の意志とは真逆に全身が硬直する。その隙に波がうねり、幾分かそれが口に入る。思わず息を吐き出し、水が跳ねたその音に、京が異変に気付いて振り返る。


「きよ、どうした!?」


「っ……、つった……!!」


 俺は両手で水面を叩き付けながら、何とかそれだけを口にする。京はそれで全てを悟ったようだが、その間にも強い波で俺の身体は流されていく。同時に、先程とは比較にならない高波が俺を襲い、大量の水を飲む。

 思わず、咳き込む。


「きよ! 大丈夫か!!」


「ぁ、はっ……、がはっ!!」


 『京』と叫ぼうとして、それを塩水に邪魔される。もう顔をすっぽり覆うほどに海が侵食してきて、それは俺が溺れて沈んでいるからなのだと気付く。


「くそっ、波が強い!!」


 腕がつかまれて、俺はくぐもって聞こえる京の声をぼやける頭で聞いていた。直後、限界を感じた俺は静かに意識を投げ出した。











「……う…………」


 戻ってくる思考に、俺は息を漏らしてうっすらと目を開ける。霞む視界に映り込むのは、黄昏に染まる夕焼け空。時間の流れを感じさせるその視界に、俺は一気に意識を覚醒させた。ガバッと起きあがり、かつてない速度で顔を振り回す。すると、右の砂浜に倒れている黒髪の男を発見した。……もちろん、京だ。


「おい京! 京!!」


「う、あ……?」


「京、大丈夫か?」


 俺は肩を揺さぶって、京に叫ぶ。京はそれに短いうめきを漏らして、俺と同じように目を開ける。そして、しばらく目を瞬きさせた後、静かに言った。


「きよ、ここどこだ?」


「わかんない……。どっかの島に、偶然辿り着いたんだと思う」


「不幸中の幸い、……奇跡だな」


 俺が言ったのに、京は自嘲するように軽く笑う。……実際、京の言う通りこれは奇跡だ。水を危険な度合いまで飲んで呼吸を封じられる前に、砂浜に辿り着いたのだから。

 だがそれでも、問題は山積みだった。


「一体、どうしよう……」


「助けを待つしかないだろうな。……現状じゃ」


「みんな、心配してるよな」


「……もういつの間にか夜になってるしな」


 不安がこもった問答を繰り返し、俺と京は双方たまらず下を向く。助けを待つと言っても、そもそも俺たちがこんな所にいることさえ、みんなにはわかるはずないのだ。


「きよ、悪ぃな。俺があんな流れの強いとこにいったから……」


「え? い、いやお前のせいじゃないよ!」


 ふと、京に低い声で話しかけられる。俺は一瞬あっけにとられたものの、すぐさま反論の言葉を返す。確かに沖に行ったのは京だが、こうなってしまったのは完全にたまたまだ。予想出来るはずもない。


「元はといえば、俺が足なんかつったから。……京、俺を助けようとして」


「バカ、それこそお前のせいじゃない」


 暗い声で言った俺に、今度は京がきっぱりと否定する。そんなにはっきりと言われると、罪悪感も少しは安らいでしまうのだから、人間というのは不思議なものだ。俺はゆっくり顔を上げると、京に言う。


「とりあえず、待ってみるか」


「あぁ、もしかしたらにかけよう」


 俺たちは真剣な面もちで、同時に頷いた。










「……来ないな」


「そうだな、……っ!」


 空が紫になり、星たちが輝き始めた頃。まだ誰もこないことを、京が端的に静かに告げる。それに答えた俺の肌を、吹き抜ける夜風が襲った。身を強ばらせ、息を漏らす。


「きよ、寒いのか?」


「お前だって、身体冷たいぞ」


「……まぁな」


 この軽装、というか最早裸に近いこの格好では、夜の気温はあまりにも酷だった。俺と京はともに身体を震えさせ、冷たさに体温すら低下していくのを感じた。

 このままでは危険だと、本能が告げていた。試しに砂をかけてみても、昼間の熱さを失ったそれではあまりにも意味がない。俺は自分の肩を抱いたまま、顔を向けた。


「な、なぁ京……」


「何だ?」


 どもりながら俺の言葉に、京はガチガチ歯を震わせながら問い返した。俺は青白くなりつつある肌にほんのり赤みをさして、小さく言った。


「こういう時って、肌で暖め合うといいって言うよな……?」


「は……?」


 予想はしていたが、それを越えるほどに京の顔は驚きで彩られていた。寒さも忘れたかのように、パクパクと口を開け閉めさせている。……俺がせっかく普通な感じで言ったのに。俺はその反応に思わず顔を真っ赤にした。

 京が目を見開いたままに言う。


「それ、どういう……」


「えっと、だから、その……、暖め、合お?」


「!!」


 俺が視線を定めないまましどろもどろで言うと、京もこれでもかというぐらいに顔を真っ赤にした。……ゆでだこみたいだと、どこか他人事のような気持ちで見る。京は、叫んだ。


「いやいや! だっておま、えぇっ!?」


「このままじゃ取り返しのつかないことになるかもしれないだろ? ……恥ずかしいけど、やるしかない」


「でも……」


 俺が必死に説明してるというのに、京は全く煮え切らない。『今はもう女だから』という点を考えているのだろう。……でも、わかって欲しいものだ。あぁもう! 俺にここまで言わせるのかよ!?


「朱菜たちが言ってただろ!? 『実質バレーの勝ちは神谷くんもだから、半分自由に出来るんじゃない?』って! ……遠慮なんかしなくていい! 俺も寒いんだ、素直に従っとけ!」


「わ、わかった」


 ここまで言って、やっと京は首を縦に振る。そして、真ん中に人が入れるくらいのスペースを持ったあぐらを組んで、俺に目配せをした。


「じゃ、じゃあ行くぞ……?」


「お、おう」


 何が行くなんだろうか、俺は緊張した声でそれに答えると、そのあぐらの空きスペースに収まるように、京の胸板と俺の背中を合わせるようにして体育座りで座り込んだ。


「ひゃっ……」


 そのあまりの冷たさに、一瞬身体をビクッとさせる。だがそれもすぐにおさまり、俺はちょうど京に寄りかかるように座っていた。身体が、熱を帯びる。


「京、意味ないだろ、もっとくっつけ……」


「え、あ、あぁ……」


 言葉とともに、京が自分の脚や腕などを密着させる。先程まで冷たかったのが嘘のように京の身体は熱く脈打ち、心臓の鼓動さえも聞こえてくる。

 そしてそれは、俺にも言えることだった。全身が火照ったように熱を持ち、思考が正常に機能しない。冷たくはなくなったが、むしろ熱いくらいだった。

 もじもじと身体を揺らして、その後俺は熱い頭で思う。……もしみんなが助けに来てくれたなら。この姿を見られるのではないかと。ただでさえ何か変な気分になってきたというのに、そんなことにまでなったら……。

 俺はそう結論を出すと、慌てて身体を動かした。


「あの、京、やっぱり……」


「あ、バカ動くな」


 それを京が抑えようとして、俺は思わずバランスを崩す。そうした結果、俺の背中はあぐらをかいている京の右膝を支えに反り返り、身体は仰向けに天を仰いだ。それでも下半身は以前京の間に収まったままで、この状態では俺が京に腹部を突きだしているようだった。


「ぅあ……!!」


「…………!!」


 俺も京も、同時にオーバーヒートする。頭から湯気でも出ているのではないかと思うほどお互いの顔は赤く、しばしの沈黙が辺りを包んだ。


『……何やってるんですか』


 聞き慣れた存在の不機嫌な声が聞こえたのは、その時だった。俺と京が同時に横を見やると、そこにはいつもの布の姿で濡れに濡れている女神がいた。


『私が必死で捜していたのに、二人でお楽しみってわけですかー!!』


「ち、ちがっ!!」


「そんなんじゃねぇっつの!!」


 ウガーと、俺たちとは違う意味で顔を赤くして猛る女神。俺たちがそれを慌てて否定すると、女神は一筋の涙を零した。


『心配、したんですよ……』


 そう言って、ぐしと目をこする。俺たちは申し訳ない気持ちと感謝の気持ちでいっぱいだった。こいつは、こんなに濡れてまで、俺たちのことを捜してくれたのだ。胸が温かくなる。俺は、女神をそっと抱いた。


「ごめん、ありがとう」


「心配かけて悪かった」


 俺は心からの笑みを浮かべて言い、京もばつが悪そうに言う。女神はそれを聞くと、京にジト目を向けて言った。


『京みたいなヘタレは別にどうでもいいです』


「てめっ」


 このやりとりも、最早お約束。俺は奇妙な安心感を全身にうけ、やおらはにかむ。女神はわかりきっているかのように俺たち二人の手を握り、慈しむように囁いた。


『……帰りましょう。みんな、心配してます』


「うん」


「あぁ」


 はっきりと、目に光を灯して俺たちは頷く。それと同時に女神の身体が光り輝き、程なく俺たちはそこから姿を消した。









 帰ってからは、謝りっぱなしだった。朱菜には『もう少しで捜索願を出すところだった』と訴えられ、深白には大泣きされて『消えないって言ったのに』とまで言われてしまった。他のみんなも目に涙を浮かべていて、俺もつられて少し涙ぐんだ。同時に、幸せだとも思った。こんなに自分もことを思ってくれている人たちが、自分を取り囲んでくれていること。絶対に、悲しませたくないと思った。

 時間的にもうバスは出ていなかったため、事情を話して父さんに車で来てもらった。来た時に『話を聞いて心配になった』という理由で母さんも来てくれた時、また目頭が熱くなった。さすがに車の中はぎゅうぎゅう詰めだったが、全然気にはならなかった。

 ふいに朱菜が目を細めて、言った。


「は~、今日は散々だったわね」


 同時に、溜息もつく。俺はその言葉にも同意しつつ、隣の女神と顔を見合わせて笑み、朱菜に、みんなに言った。


「……でも、楽しかったね」


 車内に小さく響いた言葉。その言葉に、この場にいる誰もが、柔らかく微笑んだ。

後書き劇場

第三十回「祝! 後書き三十回突破!!」


女神『きよ~! とうとう後書きも三十回を超えましたよ!』


きよ「え、あ、うん。……それってそんなにすごいのか?」


京「おーい、そこの二人、っていうか主に女神とかいう人。ナチュラルに俺を無視するのはやめなさい」


女神『凄いことなんですよ? 無駄に長いうえに超どうでもいい話を自己満足の形で三十回も続けてきたっていうのは』


きよ「お前それ、ほめてないだろ?」


京「(駄目だこいつ……、早くなんとかしないと……)」


女神『何をするんでしょうね~』


きよ「そこはかとなく、いやもう嫌な予感しかしないんだが」


京「同感だ」


女神『大丈夫ですよ~! 作者が暴走しだしたら私が押さえ込んで軌道修正させますから!』


京&きよ「いや、それが不安なんだけど」


女神『もう! ぐちぐち言ってばっかりいないで、とりあえず聞きなさい!!』



……はい、ということで作者です。会話から入ったのなんて最近じゃ久しぶりですよね。

で、ねぇ? 実は別段たいしたことでもないし、本来なら報告する必要性すら危ういことだっていうのに……、何でうちのやつらは無駄にハードル上げるかねぇ。

まぁ、いいです。とりあえず噛み砕いて説明をば。次の話では、本編はやりません! といってもこんなことは今回に始まったことじゃないんですが、上手く説明できないんです(おい、小説家

簡単に言っちゃうと、この後書き劇場を本編でやるみたいなものです。カオス必死。


皆さん、期待せずに期待しておいてくださいね!(どっちだ

でも、クオリティには期待しちゃダメなんだぜ! はい、言い訳なんだぜ!!



女神『ビビって自分でハードル下げちゃいましたよ、この作者』


京「ダメダメだな」


俺「うぅ、すんません……」


きよ「で、では皆さん。次回、またお会いしましょう!」



以上、作者からでした!!

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