転換25「The summer vacation,Let's go to the beach!」
読者の皆さんこんばんは! はたまたおはようございます、そしてこんにちは!!ww
……はい、無駄にテンション高いですよーww
こうして久しぶりに更新してみると、やっぱり何だかんだ言って小説って楽しいですね! 休んでいるときの読者様からの励ましも本当に嬉しかったですし、心が温かくなりました!
まぁ、小説は結局あんまり進みませんでしたが(おい
そんなわけで、一話一話の更新はまた遅くなるかも知れませんが、これからまたよろしくお願いします。こんな作者でよければですが、頑張っていきたいと思います!
ではでは、本編へどうぞ~♪
「わー、いい天気ー!」
カーテンを開け放ち、美樹が嬉しい悲鳴を上げる。この暑いのによく元気でいられると思うかもしれないが、それもそのはず。今日は待ちに待った海開きの日なのである。すでに母さんは弁当を包む作業に入っていて、そんな美樹を見て微笑んでいた。
「はい、お弁当。はしゃぎすぎないようにね」
「ありがと、お母さん!」
母さんの優しげな言葉に、美樹は満面の笑みを浮かべた。その姿は中学生とは思えないほど無邪気で、俺と京も思わず笑みを漏らす。
『待ち遠しいですね~、うふふふ』
……そういや、ここにももう一人子供がいたな。俺はワクワク全開な女神に、苦笑して言った。
「……そうだな」
『はい!』
美樹の言っている通り、今日は至って快晴だ。きっと、いつも通りに楽しい一日になるだろう。……例えそれが、ハチャメチャなものだったとしても。俺は軽く笑みをこぼした。
「きよー? 行くぞー」
思っていると、荷物を持って玄関に立っている京に呼びかけられる。玄関にはもう美樹も、ついでに女神もいて、二人ともが爛々と目を輝かせていた。台所から母さんが、微笑ましそうに目を細めて言った。
「きよ、いってらっしゃい」
「……いってきます」
その言葉に、俺は何故だかどうしようもない嬉しさが込み上げてくるのを感じた。自分をまた家族として扱ってくれているような気がして、愛情を注いでくれているような気がして。……俺は心から目の前の母親が愛しくなって、笑顔で小さく言った。そして、大きな肩掛け鞄を持って、二人の元へと向かった。
「お待たせ、行こっか!」
明るく声をかけ、俺たちは熱気に溢れた外の世界へと、扉を開けて歩き出した。
俺たちの住んでいる町、初代町には泳げるところはない。こう言うと、港町と前にも言ったのだし海はあるだろう、と言うかもしれない。だがそれは船を出すためのコンクリートに覆われた海であり、人が泳ぐためのものではないのだ。つまり、海で泳ぐためには必然的に隣町の海水浴場まで向かうこととなるのだ。そのため、朱菜たちとの待ち合わせ場所でもある最寄りのバス停に、俺たち三人は歩を進めていた。
ちなみに、京の話によると俊平は補習で来れないそうだ。……つくづく、間の悪い奴だと思う。可哀想に。
「それにしても、今日は本当に暑いね~」
『全くです! 海がなければ、こんな日に外出なんて絶対しませんよ!』
道すがら、俺の両隣で美樹と女神が同時にぼやく。両方の声が聞こえる俺と京にとっては、その光景は苦笑せざるを得ないものだった。
「お! あれ東堂たちじゃねぇのか?」
「本当だ、お~いみんな~!!」
京が人影を指して言った言葉に、俺は見慣れた姿を確認して手を振った。朱菜、葵、緑たち三人もそれに気付いたようで軽く手を振ってくる。みんな、暑さを考えた涼しそうな服装だった。
「おはようございまーす!」
「おはよ、美樹ちゃんよく眠れた?」
快活な美樹の挨拶に、朱菜もくだけて笑いかける。性格的に気が合うのだろうか、そこまで面識がないにも関わらず二人は仲が良さそうだった。
「……きよ、おはよ」
「うん、おはよ」
バス停のベンチに座りながら、麦わら帽子を被った緑が笑いかける。体質なのか、比較的緑は汗をかいていなく、涼しげだ。対して葵はすでに肌に汗を浮かべていて、効果も薄いというのに必死に手であおいでいた。
「あっちぃー……。神谷、あおいでくれよ」
「何でだよ」
京のツッコミも、暑さのせいかいまいち冴えない。照りつける太陽は一層と激しさを増し、うっとうしく俺たち五人へと降り注いでいた。……夏が終わる頃には、肌もこんがり焼けているだろうな。俺はぼーっとそんなことを考えていると、ふとあることに気が付いて首を傾げる。
「あれ? ……深白は?」
「そういや、まだ来てないな」
俺の言葉に、葵が口を大きく開けて頷いて見せる。そして、他のみんなも『確かに』といったように訝しがる。
『もうバスまで五分しかないですよー……』
「うぁー、暑いからくっつくなっての」
時刻表を見て、俺に呆れ顔で抱き付いてくる女神を、俺は小さく制す。携帯の画面を開いて確認してみると、確かに残り五分あるかないかだった。一体どうしたのだろうかと、少し心配になる。メールをしてみようとも思ったが、思い出す。深白は携帯を持っていないのだ。
「まったく、時間にルーズな子ねぇ……」
紅いツインテールをかきあげて、朱菜が溜息をついて言う。それは何だか俺に対する態度のようで、俺は少し嬉しくなった。
深白と俺は和解したが、三人は深白のことをどう思っているのだろうと、思っていたのだ。深白は初対面の時よりマシになったとはいえ相変わらずつっけんどんだし、朱菜たちは不快に思っていないだろうか。不器用な深白のことを誤解してそうなっているのなら、それはすごく悲しい。俺は今まで、そう思っていた。
だけど、今の朱菜や二人の態度を見ていると、それは俺の杞憂だったのではないかと思えてくる。俺の時と同じく、仲間として接してくれているように思えるのだ。朱菜に至っては、『手間のかかる子』と世話焼きな思考を発動させているようにすら思える。俺は優しい友人たちに、自然と心が晴れていくのを感じた。
「お、来たんじゃないか?」
「あの人が、深白さん?」
京が前方の交差点を指差して言った言葉に、美樹も視線を向ける。……そういや、こいつは深白と初対面だったっけ。
俺もそこを見やると、黒い髪の背が高い女性、成る程確かに深白がいた。肩を小刻みに上下させ、走っているのが見てとれる。女神はまるで、競馬でも見ているかのように興味深げにその様子を見ていた。
「きよ、おはよう! ……悪い、おく、れた」
「おはよう、深白」
「……ギリギリセーフってところだね」
そうしているうちに深白はバス停に辿り着き、息を切らしながらも声を絞り出した。俺は苦笑しながらそれに返答し、緑はバス停につけられた時計を見ながら微笑んだ。朱菜と葵は、わざとらしく深白に言った。
「随分遅いじゃないの、深白?」
「バス間に合ってよかったな~!」
「……悪かったな」
意外にも深白が、それに素直に詫びる。朱菜と葵はそれに少しうれしそうな表情をした。……もちろん、俺もだ。深白がいつもの口調で喋っているにも関わらず、場の雰囲気が険悪になることはなかった。ふいに、美樹が深白にぺこりとお辞儀をする。
「あの、深白さん! 初めまして、神谷美樹です!!」
「……よろしく」
礼儀正しいというか、初々しいというか。美樹の微笑ましい自己紹介に、深白は少し笑ったように言った。そんな何気ないひと時に、優しく終わりを告げる音。緑色のバスが、ゆっくりとバス停に停まった。
「来たわよ! さ、乗りましょ?」
プシュー、とおなじみの音を出して開いたドアに、朱菜先陣を切りながら俺たちの方を振り返った。早く海に行きたくもあったので、俺たちはそれに従ってバスに乗り込んだ。そうして、座席に座り込もうとしているときに、ふと、声が聞こえる。
『きよー。私のこと、好きですよね……?』
女神だった。横から俺の首に腕を回して不安げ言うその姿は、やはり子供のようで、隣の席の京は目を閉じて短く笑った。……また、寂しいということなのだろうか。俺は女神の可愛らしい行動に思わず吹き出し、視線を向けて囁くような小さな声で言った。
「うん、……好きだよ?」
『はぅ~、きよ~』
「っはは!」
俺の言葉に途端に笑顔になった女神に、京が声を出して笑う。その後美樹に訝しがられ、京は慌てて『何でもない』と付け加えた。
「ついたー!」
「潮風が気持ちいいわねー」
バスで三十分弱、俺たちはようやく目的地へとたどり着いた。満面の笑みではしゃぐ美樹と、髪をなびかせて言う朱菜。
海水浴場は、熱気に溢れていた。海開き初日だというのに、誰もが考えることは同じなのだろう。子供連れから今時の若者まで、砂浜は人で賑わっていた。レジャーシートやビーチパラソルもあり、もうすでに夏専用の売店すらあるのだから、面白いものである。
「さぁて、早速着替えっかぁ!」
今まで大人しかった京が、ニカッと笑いながら言う。やはり、誰でも砂浜にくれば泳ぎたくもなるだろう。その気持ちはわかるから、俺は思わず苦笑した。
だが俺もちょっとした用、(というほどではないが)があった。
「ごめん、みんな先に着替えてていいよ」
「……きよ、どうしたんだ?」
両手を合わせての俺の言葉に、深白が心配そうな顔をする。……そんなに心配されても困るのだが。深白は、朱菜より過保護かもしれない。俺は心の中でそう呟くと、ばつが悪いながらも言った。
「え~と、トイレ」
「何だトイレか」
「二人とも女の子なんだからお手洗いって言いなさい! ……まぁ、行ってきたら?」
葵が何気なく言ったのに、朱菜は顔を赤くして叫ぶ。そして、みんながそれぞれ個室へと向かっていった。
「お前はどうするんだ?」
『私はここで待ってますよ? どっちを覗くのもさすがにアレですし』
一人残った女神は、笑顔で俺に言った。どっちというのは、この場合脱衣場とトイレのことだろう。確かに、どっちも覗いたらただの変態だ。俺は頷いて、備え付けのトイレに向かった。
……ここで一つ。俺のトイレの実況なんかしたって楽しくないから、省略させてもらうぞ。第一、下品だしな。
そんなこんなで戻って来た俺を出迎えてくれたのは、着替えを終えたみんなの姿だった。
「意外と遅かったわね」
少し驚いたように言う朱菜。そんな朱菜は薄赤色のビキニに身を包んでいた。髪の色と合わせて、朱菜の印象をより勝気なものへと昇華させている。体型は人並みだとばかり思っていたが、意外と胸はその存在を強調されていて、いつもとは違う感じがした。
「……お帰りきよ」
小首を傾げて、緑が微笑んだ。そんな緑の水着は、控えめな性格そのままの、露出の少ないワンピース型のものだった。少々子供っぽく見えるかもしれないが、緑の可愛らしさを際立たせているような気が俺にはする。
「きよ、もしかして大だったのか?」
「最低だな、お前」
ニヒヒ、と冗談っぽく笑う葵に、もっともらしく非難を浴びせる(本気ではないが)深白。葵は水色、深白は黒色のビキニを着ていた。二人ともがスタイルがいいだけあって、眩しいくらいに太陽に映えていた。腰のくびれとボリュームのある谷間が、より女性らしさを強調させている。
「きよさん、もう大丈夫なの?」
「あ、うん……」
美樹の言葉に、俺は振り返る。そして、しばし目をぱちくりさせる。
美樹は背中の後ろで巻くタイプの水着で、下には薄い布のようなものも着けていた。いつもつけているヘアピンを外してさらりと風になびく髪、微笑みがいつもの美樹より大人びて見えたのだ。……知らぬ間に成長していたということなのだろうか。俺は少し複雑な気持ちで微笑んだ。
「お前も着替えてきたらどうだ?」
腰に両手を当てながら京が言う。その点、こっちはさっぱりしたものだ。水色のダボッとしたヒモ付きズボンを履いていた。自分自身の身体を見るのは久しぶりだな、と俺は細身の身体をまじまじと見つめていた。ふいに、朱菜が苦笑して言う。
「はいはい、見とれてなくていいから早く着替えなさい」
「なっ!? ち、違うよ!」
的はずれな朱菜の言葉に、俺は顔を赤くして反論する。だが四人からの視線は嫌な温かさに溢れていて(ちなみに京は渋い顔、深白は京を睨み、女神は無表情)、俺はこれ以上無駄だと判断する。
『着替えるんなら手伝いますよ~』
そして、嬉々と言ってくる女神を無視して脱衣場へ向かった。
『は~、美樹はセンスありますねぇ。とっても似合ってますよ、きよ!』
「嬉しくない……」
脱衣場内の個室。この前の水着を慣れた手つきで俺に着させながら、女神は感心したように言った。俺は今になって、捨て去ったはずの羞恥心がまたもや込み上げてきて、顔を真っ赤にして俯いていた。女になってからこんな軽装をしたことのない俺にとっては、この布の感触や頼り無い肩ひも部分がどうしても気に掛かってしまうのだ。どうして女性は、下着を見られるのが恥ずかしいのに、それと変わらない水着は平気なのだろうかと、今初めてそう思った。
これを他人に見られるかと思うと、死にたいぐらいに恥ずかしい。……いや、身内に見られるのも十分恥ずかしいのだが。
「きよさーん! ……着替え、終わった?」
『ほぅら、呼んでますよ?』
「わ、わかってるよ……。終わったよー!」
ふいに、個室の外から美樹に問い掛けられる。女神のニヤニヤとした笑いに怒りを覚えながらも、俺は美樹に聞こえるように返事をした。
「開けるよー……、わー、試着しといて良かったね。きよさん、すっごく可愛い!」
「…………」
美樹が俺の身体を上から下まで見やり、嬉しそうに顔を綻ばせる。美樹に選ばれ押し切られて買ってしまったが、こうして着てみるとやはり恥ずかしい。下を向いて黙りこくっている俺の手を引いて、美樹は言った。
「さ、みんな待ってるよ? 行こ!」
「ぇ、え!?」
俺はその言葉に、著しく狼狽する。美樹の言い方だと、俺がみんなに水着をお披露目するみたいだったからだ。それは嫌だという気持ちが、俺に制止の言葉を吐き出させた。
「み、美樹! やっぱり、変だよ……」
「何言ってんの、本当きよさんってば自覚ないんだから!」
『美樹の言うとおりです! そこいらのアイドル以上に可愛いのに』
美樹が溜息をついて言ったのに、女神も呆れ顔で頷く。そんなことを言われても、もう何度も言ったことだろうが男の俺には全く嬉しくない。いやむしろ、何かぞわりとした悪寒に襲われるほどだ。
取り敢えず、抵抗をするだけ最早無駄のように思えたので、俺は溜息をつきながらも手を引かれるままについていった。
「お待たせしましたー!」
美樹が喜色満面の笑みを浮かべて、みんなへ言う。人間というのは繰り返す生き物で、俺は無駄だとわかっていながらもまたもや諦め悪く横の壁の裏に隠れていた。女神はそんな俺を見て、何故か笑っている。
「ほら、きよさん! 恥ずかしがってないで出てくるの!」
「あっ……」
ぐいっと、強く手を引かれ俺は壁から出る。そしてバランスを崩したのを女神にバレないように支えられ、みんなの方を向いた。そのまま、みんなの視線が一気に集まるのを感じて、俺はたまらず俯いてしまう。
カーッと、耳まで赤く染まっていくのが自分でもわかった。漫画やアニメなどで男が無理矢理女装させられるシーンがあったりするが、彼らもこんな気持ちなんだろうか。どうでもいいことを火照った頭でぐるぐると考える。ちらりと、目だけを上にあげて再びみんなを見やると、何故かほんのりと頬を染めていた。
「……きよ、可愛いー」
目を細めて、観察するように俺を見てくる緑。
「何か私ら、前座みたいだな~」
アハハハ、と何故か嬉しそうに頭をかく葵。
「ここまで可愛いと、ちょっとムカつくわね」
自分と俺とを交互に見比べながら、にべもなく悪態をつく朱菜。
「…………」
何も言わずに、耳まで真っ赤にして右手で鼻を押さえる深白。
美樹はそんなみんなの様子を見て満足そうに微笑み、京は照れたように苦笑すると、俺に言った。
「その、まぁ何だ。……似合ってるぞ?」
「だから嬉しくないって……」
フォローのつもりなのだろうが、かなり間違っている。しかもそれでいて悪意のない顔を向けてくる物だから、こっちとしても怒りようがない。俺はまだ赤い顔を上げて、わざとらしく一回咳払いをした。
『羞恥に打ちひしがれるきよも可愛いですね~』
後ろから、幸せそうに一人呟く声がする。……トイレなんて行かずに、みんなと一緒に着替えてれば良かった。
俺は隣の京の腹を八つ当たりに弱く殴ると、一際大きく溜息を吐き出した。
後書き劇場
第二十八回「べ、別にネタ切れなんかじゃないんだから!!勘違いしないでよね!!」
はい、お久し振りの作者です!まだまだテンションぶっ壊れてますよ!(だから何だ
そしてまぁ、クソ長いタイトルを見て頂ければわかると思うんですが。ネタ切れ……なのかな? 自分でもそうなのかよくわからないんですけど、読者の方から案を頂ければなー、なんて思っています。
実は前にもやったんですけど、その時は何か季節に合わせてみたいな感じでめんどくさかったと思うんですよww
なので、案というほどじゃくて、『こんな話が見たい』という願望程度のもので十分ですので!
ください!(言っちゃったよ
季節に関する縛りを無くすために、季節関係なくできるシチュエーションとかでいいですのでー。
京「ちょっと待てよ。……どんな要求でものむのか?」
俺「え? いやぁ、さすがにあまりにぶっ飛んでいるのは無理かもだけど、基本的には採用したいですねぇ……。せっかく頂くんだし」
京「(すごく不安……。主に自分の身が不安……)」
ということで、皆様からの面白い案、待ってます!
もちろん、普通の感想も大歓迎ですので、よろしくお願いします!!
京・きよ「これからもおれおとをよろしくな!!」
俺「何かいつのまにか略称が出来てる!?」
『俺が男で女も俺で』。作者は『おれおと』と呼んでいます。カタカナとどっちがいいですかねぇ。あ、どうでもいい? 閑話休題♪
あと、今回のタイトル何で英語なの? 作者がちょっとかっこつけたくなったから! あ、それもどうでもいい? 閑話休題(もういい
では、以上、TARでした!!