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転換22「意味のない喧嘩はない」

どうも、作者でぇす。

いやー、長かったあやつのターンももうすぐ終わりますねぇ。ねぇ?


……これ終わったら、何の話書こうorz


い、いえ? 大丈夫です、もうすでに出来ちゃったり出来ちゃってなかったり……(←結局ダメな奴

と、とりあえず今回の話をお楽しみください!


本編へどうぞ!!

「南野は、引き続き風邪で欠席だ」


 早朝の教室に、ぶっちゃんの低い声が響き渡る。俺はその言葉を聞いて、不安な気持ちでいっぱいになった。昨日、俺が途中で帰ってしまったから。そこまで考えて、俺は暗い考えを頭を振って追い出す。そうだ、京も言っていたじゃないか。……何でも背負い込みすぎるな、と。

 別に俺のせいじゃない。そう自分に言い聞かせて、授業に集中することにした。


「ねぇ、きよ。……大丈夫?」


「え?」


 やっと息苦しい時間が終わり、放課後。朱菜たち三人が唐突に言ってくる。俺が思わず不思議そうに返すと、葵が心配そうな顔をする。


「また悩みが、顔に出てるぜ? ……どうなんだ?」


「私たちに、出来ることはない?」


 緑も、俺の手を握って言う。暗に、『深白』のことを言っている言葉。こんな時、前は三人に素っ気ない態度をとった。でも今は、そんなことはしたくない。みんなの気持ちを、裏切りたくはない。


「まだ、どうなのかわからない。……でも、無理はしないよ」


「そう……。何かあったら、いつでも言いなさいよ?」


「うん、ありがとう」


 だから俺は、素直な今の気持ちを言った。三人は助けてくれるものの、追及はしない。俺はそんな親友たちに感謝しながら、京と一緒に家に帰った。

 ぶっちゃんは何を思ってか、今日は何も言わなかった。












「ただいまー」


「……ただいま」


 家に帰り、同時に放つ言葉。リビングから美樹の『お帰りー』という声が聞こえてきた。俺たちは何気なく、そこへ向かう。


「こんな時間にニュースなんて、珍しいな」


「うん。何でも、一人暮らしの女性が風邪をこじらせて亡くなったんだって」


 俯いていた俺だが、美樹の言葉を聞いて顔を上げる。テレビでは『風邪だと思って油断してると怖いんですね』と、美人のキャスターが発言していた。

 俺は言いしれない悪寒に強く後押しされ、素早く身体を反転させた。


「きよさん、どこ行くの!?」


「ごめん! ちょっと用事!!」


「……頑張れよ」


 驚いている美樹に、苦笑している京。俺はそんな二人を尻目に、玄関の扉を大急ぎで開け放った。











 昨日来たばかりの、記憶に新しいアパート。俺は乱れた息も気にせずに階段を駆け上がると、深白の部屋のチャイムを荒々しく押した。昨日と同じように、反応はない。

 俺は焦れったくなって、扉に手をかける。すると、運がいいことに鍵が開いているではないか。俺は素早くドアを開け、部屋に入った。

 中には、布団を深くかぶって寝ている深白の姿があった。おじやはすっかり、片付けられていた。俺は安心して深く溜息をつく。

 いくらニュースでやっていたからといって、そんなに簡単に人が風邪で死ぬわけないのだ。俺は馬鹿みたいに焦っていた自分に、ぷっと吹き出す。同時に、汗をハンカチで拭う。すると、深白の様子がおかしいことに気が付く。異常なぐらいの汗をかいて、さっきからうんうんうなされているのだ。深白は右手を頼り無く上げて、うわごとのように呟く。


「お父さん……、お母さん……」


「……!!」


 その言葉に、俺はハッとする。ぶっちゃんが言っていた、『一人暮らし』という意味。俺はもしかしたら、勘違いをしていたかもしれない。深白の声は今にも泣きそうだった。


「やだよ……! 置いていっちゃやだよぉ……!!」


「深白……」


 気付いたら、俺は深白のことを抱き締めていた。理由なんかない、ただ、そうせずにはいられなかった。


「大丈夫、大丈夫だから……」


「……お母さん」


 そのままギュッと強く抱き締めてやると、深白も強く俺の背中に手を回してくる。しばらくそうやったままで『大丈夫』と囁き続けていると、じきに深白は安堵したかのように目を閉じた。

 俺は何故か、昨日の怒りがどこかへ吹き飛んでいくのを感じた。どうでもいいこととさえ、思えた。











「…………」


 小さく息を吐く音とともに、深白が静かに起きあがる。俺はあれから、昨日と同じようにタオルを取り替えたり、……おじやを作っていたりした。

 その甲斐あってかはわからないが、深白の表情は昨日より大分楽そうだった。


「具合はどう?」


「お前……。さっきのは、お前だったのか……」


 深白は、また俺が来ていることに本当に驚いていた。パチパチと目を見開いて、俺を凝視している。俺は笑顔で言った。


「お腹空いたなら、おじやもあるよ?」


「…………」


 深白はそれを聞くと、ばつの悪そうな顔をする。そして、しばらくの無言の後、言った。


「お前は何でまだ……、ここにいるんだ」


 その言葉は自嘲するような言い方で、『拒絶』の意味ではなく純粋な『疑問』の意味に聞こえた。だから俺は、深白の眼を見つめて、本心を言った。


「私、深白さんが好きだから」


「え……」


「深白さんと仲良くなりたいし、友達でいたいなって思ってる。……だから風邪を引いている深白さんのこと、放っておけない」


「……!!」


 満面の笑顔。それは、深白に好印象を与えようとか、そんな打算的なものではない。自然に出てしまった、純粋なものだった。


「……ごめん!!」


 そして、深白の反応は俺の予想を遙かに上回るものだった。深白は目に涙を浮かべて叫ぶと、俺に抱きついてきたのだ。


「へ!? み、深白さん!?


 いきなり女の子、しかも美少女に抱きつかれて俺は焦る。そう言うと、『さっき自分から抱きついたのは何だ』と言われるかもしない。が、あの時はそんなことは全く考えずに、純粋な気持ちでやったのだ。普通の時にそうなれば、やっぱり恥ずかしい。

 深白はそんな俺の様子には気付かず、ぽつぽつと語り始めた。


「私、お父さんとお母さんがいないんだ。……小さい頃にどっちも病気で亡くなって」


 その言葉に、俺は静かに頷く。……やはり、そういうことだったのかと。深白は俺の服の袖を掴んで、感情を吐き出すように続けた。


「それからは、人と接することをやめた。……近くなったら、離れるのが怖かったから」


「深白……」


「それに甘えていた部分もあったし、そうしているうちに、それだけじゃなくて人を段々好きになれなくなっていった。……誰とも話さなくなったし、誰とも話したくなった」


 深白の手が、悲しく震える。俺はもう恥ずかしくはなかった。苦しみを紛らわせるように、俺も強く抱き返していた。深白はそれに少し力を抜くと、俺を見上げて言った。


「でも、きよは。きよは、私が何を言っても話しかけてくれた。嬉しかった、本当は、ずっと……」


 深白はそこでまた、複雑そうな、申し訳なさそうな表情を俺に向ける。俺は、初めて深白に名前を呼ばれたことに、内心驚いていた。


「私も、きよのことが好きだ」


「……!」


 俺はその言葉に、思わず目を見開く。あの深白が、今自分の名を呼んで、正直な気持ちを離してくれている。その事実は、どうしようもなく俺を嬉しくさせた。深白は、照れるようにその白い頬を朱に染めていた。


「最初は戸惑いの方が強かったけど、私も話したかった。でも、やっぱり怖かったんだ……。だから、色々酷いこともした。遠ざける、ためだった」


「そうだったの……」


 深白は罪悪感に駆られた表情をして、顔を歪ませた。俺はそんなことは全然気にしてないと、深白の背中をさすってあげた。……続きを、優しく促すように。


「昨日は、ごめん。……寝ている時に、夢を見たんだ。お母さんが死んだときの夢だった。それで不安になって、きよに八つ当たりした」


「…………」


「こんな私、きよに友達でいる資格なんか、ない……」


 深白はそれだけ言うと、俺から離れて下を向いてしまう。その肩は頼り無く、怯えているようだった。俺はもちろん、それで終わらせはしたくない。


「深白さん、資格なんていらないよ」


「きよ……?」


「友達になりたいのは私の方。それに、友達っていうのは、なるのに資格なんて必要ない。……私たち、もう友達じゃ、駄目?」


「……う、ぅああっ…………」


 笑顔で言った、俺の本音。深白はそれに爆発したように大粒の涙を流すと、俺に再び抱きついてくる。俺はそれを、本当に穏やかな気持ちで受け止めた。……過程がどうだったっていい。今、俺は深白が好きだ。深白はしばらく、そのまま泣き続けていた。












「深白さん、落ち着いた?」


 しばらくそうして二人で抱き合っている。……変態じゃないぞ、純粋な気持ちだからな?

 深白はやっと声を小さくし、赤く腫れた鼻をすん、と鳴らしていた。俺が優しく問い掛けると、深白は泣いたことが恥ずかしそうに、だけどしっかりと俺を見つめて、言った。


「……深白って、呼んで欲しい」


「わかった。……深白」


 その言葉に、俺は頷く。目の前にいる黒い髪の少女の、何とも可愛らしい要求。断る術など、俺にはなかった。深白は名前を呼んだ俺に満足するように頷き、言った。


「きよ……。きよは、私から離れないでくれよ」


「……うん。約束」


 不安げな深白の問いに、俺は心からの笑みを浮かべて答える。すると深白は安心したように、顔を綻ばせる。……初めて見た深白の、心からの笑顔。それを見れただけで、俺は顔が益々緩むのを感じた。


「深白。おじや……、食べる?」


「……うん」


 二人で、冷めたおじやを食べた。そして、笑い合った。

後書き劇場

第二十四回「無駄に変なことやってみました」


どうも、作者なんですよこれがまた(何お前


いやぁ、上にも書いていますが、今回無駄な計画発動させちゃいましてですね。何がかって言いますとですね。

知ってる人は知ってるかと思いますが、作者、これ以外にも二個連載(不定期更新だけど)してるんですよ。それで、ここ最近気分転換に本当に短い短編も一つ書いたんですよね。

そこで、この話を投稿したもうほんとすぐ前に三個連続で投稿したんですよ! つまりこれは連続四個目!! ヒューヒュー!!


……失礼、取り乱しました。まぁ、作者がちょっと気持ちよかったってだけの自己満足です(笑)


深白「……お前、そんなことを話してこの作品に全く触れないってどういうことだ」


俺「ひ、ひぃっ! い、いやこれはですね……」


女神『くたばれー、アホー、バカー』


俺「そこまで言います!? 確かに悪かったけど……」


きよ・京「…………(冷めた目)」


俺「そ、そんな目で俺を見るなぁ! だ、だってやりたかったんだもん!!」


全員『とりあえず黙れ?』


俺「はい……(何故か自主的に土下座)」


いやもうホントすみませぬ。くだらない話が好きな作者で、テヘッ☆(←謝ったの台無し

これからも頑張りたいと思います! 皆様お付き合いくだされば嬉しいです!!

ではでは、また次回なのです!

TARでした!!

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