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転換14「男の子だけど、走って帰らない奴もいる」

どうも~、作者です。


今年中に一体何話までいけるかなー、と考えていたら気が付けば一時間たっていました(アホ)。何やってんだという感じですよね、ただでさえ更新がいつも遅れてるのに。読者の皆様も、どうかお気を付け下さい(ねぇよ)


えー、今回のお話は前話の京バージョンみたいなもんです。時間軸は進んでませんので、お気を付けください。たまには京も活躍(?)させてやらないと、可哀想なんで(笑)


御意見・御感想随時お待ちしておりまーす。


では、本編へどうぞ!

 ふと、窓の外を見やる。外は今荒れに荒れていて、まさに『嵐』といった感じであった。

 ……今日、傘持ってきてねぇのになぁ。

 きよは持ってきてただろうかと、俺はどこかぼんやりと考えていた。


「おぉーい! どこ見てんだ、神谷?」


 何となく突っ立っていた俺にかけられる声。その声であぁ、と思い出す。

 もう分かっていると思うが、俺の名前は神谷京。そして、今の状況はというと。簡単に言うと、学校も終わり帰ろうとしていた俺をぶっちゃん(俺たちの担任だぞ、覚えてるか?)が呼び止めたのだ。


「ごめんごめん! ……で、何すりゃいいんだっけ?」


 気を取り直して、ぶっちゃんに問い掛ける。それにぶっちゃんは、大量にあるダンボールの山を指差してこう言った。


「これを、三階の準備室まで運ぶのを手伝ってくれ!」


 『勿論、俺も一緒に運ぶけどな!』と笑顔で付け足しながらぶっちゃんは腕捲りをする。

 ……成る程、雑用というわけか。まぁ、確かに俺は帰宅部で暇だしな。妥当な線だな、と俺は思う。


「了解。よっ……と」


 そう言って、三個一気に重ねてダンボールを持ってみる。このくらいいけるだろうと甘く見ていたが意外と重量があり、一瞬ふらついてしまう。……危ない危ない。


「お! さすが男子だな、よし俺も!!」


 だが、そんな俺の姿を見て何故かぶっちゃんが燃える。そして、ぶっちゃんは嬉しそうにダンボールを四個重ねて持つ。しかも結構余裕そうな表情だ。

 ……俺が手伝う意味、無いんじゃないの? 思わずそう思うが、こんな先生だから俺も嫌にも思わず手伝う気になるのだ。俺とぶっちゃんはそのまま、山程あったダンボールを(一体何に使うんだ)何回かに分けて運び切った。


「はーっ、終わった終わった! ありがとな、神谷!!」


 全てを運び終えて、ぶっちゃんが汗を拭いながら、清々しく笑って言う。

 うーん。……暑苦しいが、爽やかだなぁ。俺は、そんな若干矛盾したことを思っていた。


「あ、やべ。……帰り、どうすっかな」


 だが、その後ふと思い出したことが口に出る。外は相変わらずの暴風雨で、最早傘があるとかのレベルじゃないような気がする程だった。

 そして、先程靴箱を見てみたら、きよの靴が無かった。いつの間にか、帰っていたらしい。取り敢えず『薄情者め……!!』と、待ってるように言ってもいないのに思っておくことにする。


「確かに、今日の天気は凄いな……。よし! 神谷送ってやるよ!!」


 ふいに、ぶっちゃんが言う。俺は予想していなかった言葉に驚き素直に言った。


「いいのかよ!?」


「あぁ! 手伝わせた身でもあるしな!」


 対するぶっちゃんは、腕組みをしながらひたすらにいい笑顔だった。……確かに、教師だから車は持っているな。俺の家はあんまり遠くもないし……。


「じゃ、お言葉に甘えて。ありがとな、ぶっちゃん!」


「よし! じゃあ行くか!!」


 ほんと、いい先生だなぁ。俺は『ある意味手伝ってラッキーだったな』と、一人で納得していた。












「そういえば、女子の方の神谷とは上手くいってるのか?」


 もう何個目かの交差点に差し掛かったところで、ぶっちゃんが聞いてくる。俺は助手席で肘をつきながら、ゆっくりと視線を向けた。


「上手くって……、何が?」


「色々だよ。仲良くやってるのか?」


 ぶっちゃんが、ずれた眼鏡をかけ直しながら俺の顔をまじまじと見つめる。俺は『前見て運転しろー』と一声かけて、言った。


「仲良く、やってると思うぜ。俺が感じる限り」


 信号の色が赤から青に変わり、車が再び動き出す。俺は過ぎていく街並みを見てぼんやりと言った。そんな俺の言葉に、ぶっちゃんは感慨深く微笑みむと呟いた。


「そうか……」


 その含みのこもった物言いに俺はぶっちゃんを横目で見やるが、当の本人はうんうんと勝手に頷きながら目を閉じていた。


「だから前見て運転しろって!!」


 俺はそれを見て、切に叫んだ。













「じゃ、ありがとな!」


「おう! 風邪引くなよ?」


 そんなこんなで家の前までつき、俺は感謝の意を告げて車から降りる。途端に嵐と言っていいほどの天気に襲われ、かけられたぶっちゃんの言葉を背中に玄関まで走っていった。


「ただいまー」


 短時間でもしっとりと濡れた身体に驚きつつ、素早く家の中へと入る。するとトタトタと足音が聞こえた後、俺の目の前に美樹が現れた。


「お帰り、お兄ちゃん。……あれ? あんまり濡れてない」


「んだよ。俺が濡れてなきゃ変かよ」


「ううん、そうじゃないけど。お兄ちゃん傘持っていかなかったじゃない」


 美樹は片手で白いタオルを俺に差し出してくれた。俺はそれをありがたく受け取りながらも、髪を乱雑に拭く。そして、答える。


「担任に送っていって貰ったんだよ。ほら、熱血教師の」


「あぁ! ……ぶっちゃん、だっけ?」


「そう、それ」


 美樹は合点がいったように言い、俺はそれに頷きながら靴を脱いだ。だが、美樹からかけられた言葉に動きを止める。


「きよさんは?」


「……は?」


 ?に?で返し、お互い見つめ合う。決してムードのある雰囲気でないことはわかるだろう。俺は逆に聞き返した。


「帰ってきてないのか?」


「うん、お兄ちゃん一緒じゃなかったの?」


「まぁな。俺が帰る頃にはもういなかったし」


 二人して、疑問を浮かべて首を捻る。……何してんだ、あいつ?


「もしや、何か大変な目に遭ってるとか……!?」


「何を不吉なことを……。ねえよ」


 美樹のもしも発言に、濡れた上着を脱ぎながらにあしらう。確かに何処へ行ったのか、とは思うがそうそう簡単に事件に巻き込まれるわけはない。……漫画じゃあるまいし。

 俺はそのまま着替えをすましてシャツ一枚の姿になると、二階へと向かった。


 おぼろげな気持ちで自分の部屋の扉を開ける。

 途端、俺の肩に襲いかかってくる疲労感と圧迫感。俺は身体が重くなったかのような錯覚を受け、思い切って背伸びをしようとする。だがそんな俺の想いとは裏腹に、どんどん俺の肩は重くなり……。


「重いよ、女神」


 俺は顔だけを振り向かせて、俺におぶさっている女神に淡々と言った。だが当の本人は気にも留めていないような風だった。


『失礼ですね、レディーを重いだなんて!』


「というかもう面倒くさいよ。思わず何かホラー小説っぽいモノローグ語っちまったじゃねえか」


『いちいちうるさい男ですね~』


 俺の言葉に女神がやれやれといった、所謂いわゆる『こっちが折れてやるよ』みたいな感じで離れる。……この場合、やれやれと言いたいのは俺の方なんだがな。


『で、きよはどうしたんですか?』


 そう思っていると、女神が唐突に聞いてくる。……みんな二言目(実質、二人目だが)にはきよきよ言いやがって。俺は仕方なく美樹にした説明と同じ説明を女神にする。すると、ポカリと頭を殴られた。


『アホー! きよに何かあったらどうするんですか!?』


 ……そこまで美樹と一緒かよ。俺は右手で殴られた頭をさすりながらため息をついた。


「何かなんて、そう簡単に怒るわけないだろが……」


『大抵そう思っている時に限って、起こるんですよ』


「漫画の見すぎだ」


『う~』と唸る女神に、ピシャリと俺は言い放つ。 女神はいじけたように一言、言った。


『あーあ。……今日はこんなムサいヘタレと一緒かぁ』


「おいコラ」


 構わず(俺の)ベッドに潜り込んだ女神に、いつものことと俺は軽く苦笑する。


「お兄ちゃ~ん?」


 今度は廊下からの俺を呼ぶ声。明らかに美樹なのがわかるので、俺はすぐさまドアを開ける。


「どした?」


「きよさんね、お友達の家に泊まるんだって」


「……なんでまたいきなり」


美樹の言葉に、俺は聞く。まったく事情や背景がわからないので、本当に『なんで?』な状態だ。


「雨宿りしてたけど収まるどころか酷くなる一方だからって。さっき電話がかかってきたよ」


 『電話をとったのはお母さんだけど』と美樹は付け加えて言った。そう言われると、俺としては他に言うこともない。


「ふ~ん」


 ただ息を漏らすだけだ。正当な理由だしな。

 ……だが、美樹が部屋から出てった後そのまま俺が立ち尽くしていると、後頭部に強かに打ちつけられる衝撃が俺を襲った。


「がうしかぁっ!?」


 どうやら後ろから女神の跳び蹴りを食らったらしい。久し振りの衝撃に、俺はその勢いのまま顔面をドアに思いっ切りぶつける。小気味良い音が鳴った。


『京のアホ男ー! やっぱり何かあったじゃないですかー!!』


「うるせぇ痛いわ!! 友達の家に泊まるのが『何か』に入るんかい!!」


 うわぁん、と泣いたふりをしながら言う女神に俺は叫ぶ。……理不尽な怒りだし、俺に落ち度はない。

 女神はというと、駄々をこねる子供みたいに座り込んで手足をジタバタとさせていた。


「安心じゃねえかよ……。友達ん家なんだし」


『きよが何か知らない人にとられる~』


「だから俺を叩くな!!」


 愚痴りながら俺の背中をぼすぼすと叩く女神に、俺は怒鳴る。女神はそんな俺を下から睨み付けると、問い詰めるような口調で言った。


『じゃあ京は、きよが誰かに取られてもいいんですか?』


 いきなりの話題転換に、俺は狼狽する。だが女神は体育座りをしたままじーっと、逃がさないような目つきでひたすらに俺を見てくる。


「と、取られるって何だよ……」


 その剣幕に少し押されながらも、俺が言う。そんな煮え切らないような俺の言葉に、女神が語気を強めて言う。


『きよが他の人ばっかりで、構ってくれなくなることですよー!!』


 『がるる…』とそんな擬音が似合いそうな、女神は苛立ちも露わに言った。……それにしても、構うって。お前は犬か。


「構ってとかはわからんが。……まぁ、つまんないことはつまんないな」


『そうですよ! やっぱり寂しいんじゃないですか!!』


「いや、それは飛躍し過ぎなんじゃ……」


『同じことです!!』


 寂しいってことは無いと思うぞ、子供じゃないんだし。……多分。

 そして、それと同時に思う。こいつは、子供なんだか大人なんだか分からん。俺やきよにアドバイスをすることもあれば、今のようなこともあるし。まぁ、どっちも本当のこいつなんだろうけど。面白い奴だと思う、つくづく。

 俺は若干涙ぐんでる女神に、素直に思っていることを言った。


「まぁ、そうなったら寂しいかも知れないけどよ。きよはそんな奴じゃないだろ?」


「…………」


「例え新しい友達が出来たとしても、今までの関係が無しなんてないだろ? そんくらい見守ってやれよ」


 出来るだけ神経を逆撫でしないような声音で言ったが、言っているうちに自分でも恥ずかしくなってきた。……何を語っているんだ俺は。

 しかし、取り敢えずは女神も納得してくれたようで。


『京に正論言われた挙げ句、慰められちまいました……』


 そんな悪態をついてきた。


「……ったく。俺の存在って一体何なんだ」


 俺は軽く笑みを零し、首を横に振った。


「お兄ちゃーん、ご飯だよー!」


 丁度良くお呼びもかかる。見ればもう結構な時間で、俺はその言葉に返事をしドアをゆっくりと開けた。


『はぁーあ。でもやっぱりきよ早く帰って来ないかな〜』


 そして、後ろから聞こえてくる声に苦笑いを浮かべつつ、リビングへと向かうのだった。


後書き劇場

第十三回「予告なんだかよく分からない予告」


どうも皆様、作者でございます。何だか後書きでは久々の登場のような気もしますが、気にしないことにします。


というわけで、お知らせという程ではないのですがタイトルにもある通り、予告をば一つ。


新 キ ャ ラ が 出 ま す よ


すんません、わざわざこんな目立つようにして言うことじゃありませんでした(爆)。まぁ、けど取り敢えず予定ということで。もう少し先ですけどね、登場するのは。

今から5~6話後くらいだと思います。皆様、どんなキャラだろうかと御期待下さい(そんな暇人いないか)


さて、話は変わりますが今回のお話は如何だったでしょうか? 前書きであった通り前回の話を京視点で書いたものでしたが。微妙に最初で久し振りの登場をしているキャラが(笑)

今更ですが、キャラの出番配分って難しくありません(問い掛けんなよ)? どうしてもメインのキャラや好きなキャラに出番がいきがちでして……。


皆様は、どのキャラが好きなのでしょうかね?


ということで、好きなキャラがいたら『こんな所が好き』とか『この場面好きだった』とか感想を送ってくだされば嬉しいです(何この無理矢理な展開)


まぁ、いつもの通りのアホの思いつきなので流してくれても結構です。いえ、嬉しいのは本当ですが。


合わせて、御意見・御感想お待ちしております!


では、また次回♪

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