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小噺  作者: 間宮 要
5/8

幕間

ひと息つこう。

幕間



螺旋階段を上っている。どこに終わりがあるのか分からないくらい、長く果てしない階段。

いつから上っていたのかも分からない、白い壁の塔の階段。

音は無く、自分の足音さえも聞こえない。上を見上げても、何があるのかは分からない。果てしなく、果てしなく続いている階段。


何故、上っているの?―――分からない。

どうして、降りようと思わないの?―――もうたくさん上った気がするから。

やめたいって、思わない?―――考えもしなかった。


音の無い塔はうるさくて、白い壁はカラフルだ。

翼が生えたらどんなに良いだろう。この塔から抜け出して、広く青い空を漂うのは、気持ちが良いだろうか。

周りに人なんかいない。他の動物だっていない。あるのは壁と階段と手すりだけ。視界は良好。明るくもなく、暗くもない。曇り空の日みたいな明るさ。


唄を歌ってみたかった。どうしてか声は出なかった。

手を見つめてみた。どうしてか肌色ではなく、真っ白な色をしていた。


塔の中は、飲み屋みたいな騒ぎ声がして、壁はビルが建ち並ぶ都会のように、奇抜でカオスな色が並んでいた。

ここから落ちたらどうなるだろう。

死んじゃうかな。


死ぬのは怖い?―――怖いかも。

じゃあ、今は楽しい?―――楽しくない。

今は、生きてるって言えるかしら?――ー …………


手すりを飛び越えた。

落ちる。重力には逆らえない。もの凄い空気抵抗を受けながら、真っ逆さまに落ちていく。

落ちる。凄いスピード。地面に着いたら、即死は確実。それでも、なんだかこの速さが気持ち良い。空を飛んでるよりも気持ち良いかも。


着いた。果てしなく長い時間も、全て水の泡。一人の私が、ここで死んだ。

地面に着く直前、私の耳には、とても賑やかな喧騒が聞こえた。幻じゃない、確かな音。

地面に着く直前、私の目には、とても綺麗な風景が映った。幻じゃない、確かな色。



そんなところで、目を覚ました。


私は、その日のうちに、今まで無理して続けてきた習い事を、全て辞める決意をして、親に胸の内を語った。

親は、何も言わなかった。


少しお休みを頂いてました。待っていた方には申し訳ない気持ちで一杯です。多分いないと思いますけど。

また来週からちょっとずつやっていきます。

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