6〜7
感化された
6 届かないのなんて分かってる
僕には大事な友達がいる。でも、親友とはあえて言わない。だって、僕はその人に等しい存在になれていない気がするから。僕には到底、あの人と並べている気がしないから。あの人は僕を大事に思っていないと思うから。
その人は僕を助けてくれた。本人はそんな気がしていなくても、僕にとっては大きなことだった。
でも、僕はその人に何かしてやれたかな?いや、してないでしょ。いっつも僕のワガママ。あっちのことを気にしているようで、全く気にしてない。盲目な僕。
盲目だから、気付くべき所に気付けない。無能で空な頭を働かせても何も出てこない。
じゃあ、頭を絞ってみる?雑巾みたいにギューって捻ったりしたら、一滴くらいは滴り落ちてくるかな?
出てこない?じゃあ、今度は首を切り落としてみるね。頭に近い部分。神経がいっぱい詰まっているここを切ったら、何かは垂れ流れてきそうじゃない?
出てこない?じゃあ、今度は他の人の目を盗んでみたら?他の人目ならきっと、あんたの考えてないことも見えてくるかもよ?
あー、よく見えなかったみたいだね。んー、じゃあ、今度は空を飛んでみよっか。上から見たら、世の中のことが色々分かるかも。
んー、やっぱりダメか。ま、そりゃそうだよね。んじゃ、最後。キミの今までを振り返ってみよう。
うんうん。よく分かったでしょ。盲目だから、いかに自分を客観的に見れてなかったっていうのが。どう?見てみた感想は。最低だと思うでしょ?笑えてくるよね。むしろ引いちゃった?これが能無しの行動だよ。あなたは散々考えてきたみたいだけど、答えはとっくに出てたの。それにいつまでも気付かなかった。いや、気付いてたけど否定して、無かったことにしようとした。全部都合よく捉えようとした。
いい?教えるよ。あの人はあんたのことなんて、一切気にしてないの。目の端っこにも入ってないの。あんたがたまに近付いた時に、「あ、そういえば」って思い出すくらい。あんたが思っている程度の関係すらないの。ていうか、なくなっちゃったの。しょうがないでしょ。あんたは能無しなんだもん。周りばっかりを照らしている灯台みたいに、あんたは足元も見れていない。青く見える海だって、手にすくって見ればただの透明な水。あんたが描いた理想の関係は、現実では何もない白紙と一緒。
残念だけど、もう一個教えるよ。「何かすれば、私とあの人は対等になれるんじゃないか」って、あんたは思ってたみたいだけど、そんなの無理。ていうか、あなたの思う対等って何?対等になれれば、理想の関係になれると思った?そんなわけないでしょ。あんたの理想のスケッチブックは、相手にとったらただの虚構。法螺話と何も変わらない、ただの滑稽本。あんたの天秤になんて、元々何にも乗ってやいなかったのさ。だって、その人はあんたのことなんて、これっぽっちも見てやいなかったから。
あんたがその人のことで頭を一杯にしても、その人の持ったナイフで刺されたらひとたまりもなかったね。寝ても覚めても、あんたの頭の中にはその人がいたけど、残念。水の泡だね。空いたスペースに英単語五千個くらい入るんじゃない?
残念だけど、「もっといい人があの人にはいるさ」なんて常套文句、残念だけどあんたには似合わない。というか、身につけられないでしょ?ここまで滅多打ちにされてもまだ考えているんだから。
未練タラタラ。足元も見れない能無しの盲目。甘い汁を飲みすぎた、ツケが回ってきたみたいだね。初めての本気もここで終止符。終わり。おわり。オワリ。ピリオドはもう打たれちゃったからね。その先の物語はどうするの?まだ信じちゃうの?もう無理だと思うよ?能ある鷹は爪を隠すけど、能のないキミは、隠す爪もひけらかす爪さえ持ってない。白鳥のように美しくいようったって無理な話。あんたはゴミ袋を漁るカラスと一緒。先なんてないさ。死んだ方がマシじゃない?でも、無理か。あんたはチキンだもん。下手なゴキブリよりしぶとく生きるかもね。
仮にキミが自殺できたとして、その人は何を思うだろう?キミは悲しんでくれると思ってる?流石にそこまで求めてないか。でも、望んでるよね。そうあってほしいって。ないね。だって、その人の視界にキミはいないから。
さっきっから同じことばっかり言わないでよって?だって、まだキミは信じてるんだもん。望んでるんだもん。早く諦めた方が早いよ。好きだなんて、絶対届かない。他の人にできても、キミには無理。爪も度胸も、ナイフも目も、脳も能も何もないから。
ごめんね。キミをいじめたい訳じゃないんだ。ただ、ボクはキミに泣いてほしいんだ。後悔してじゃない。無理して強がっちゃうキミに、その無理を解いて楽になってほしいんだ。
でも、結局変わらないみたいだね。キミもボクも、あの人が好きで好きでしょうがないんだ。だから、また抜け出せない輪にハマっちゃうんだ。イカれてるね。狂ってるね。ボクもキミも。
嗚呼。こんなことなら、全部投げ出して、消えてしまいたい。日常っていう輪からも外れて、ネジも外して、パンクした自転車に乗って、夜明け前の星を眺めに行きたい。どうせ思い通りにならないんだから。切ない気持ちを遠くのどこかに捨ててきたい。一番大きなものをなくして、手ぶらになってやる。そうして行き着く先は孤独死かな。
嗚呼。重いな。想いが、重い。洒落じゃない。笑いを求めた訳じゃない。いっそ、洒落みたいに軽かったら、ボクもキミも楽だったろうに。バカだなって、今頃大笑いしているはずなのに。重いから、捨てきれない。捨てられない。金払っても、こんなゴミは収集できないって言われちゃった。
持っていようかな。早くどっかに投げ捨てたいけど。
もう、顔も見たくないな。見ちゃったら、全部決壊しそうだから。流れ込む余計な情報に、キミはきっと耐えられないだろうから。
複雑で、狂気的で、重くて、盲目的なこの想いは、ボクの中で消えるまで、持っててあげる。キミは気にしなくていいよ。泣きたきゃ泣きな。涙は全部ボクが消化してあげる。二人いるからできることだよ。だから、ここで一度、終止符だ。まだまだ続く物語の、大事な大事なピリオド。小さな点。
さようなら。ボクとキミが好きになった人。あなたが目の正面で捉えてくれるまで、醜く足掻きます。あなたの隣で、満天の星を眺めるまで、諦めません。覚悟しててね。でも、気は遣わないでね。あなたの不幸が一番嫌いだから。
この現状を、いつか必ず変えてみせます。二人いれば、何だってできるから。
ずっと想いは変わらないです。この先も。ずっと、愛してます。
7 分かってるの?
「分かるよ。分かる」
よく、人から悩みを聞く。相談しやすいと思われているのか、扱いやすいと思われているのか、そのどちらでもないか。よく分からないけれど、色々な人が、私に相談事を持ちかけてくる。
人の悩みを聞くのは、嫌いじゃない。悩みを聞いてあげることで、その人の役に立っているとしたら、悪い気分じゃないし、こんなクズ人間を頼ってくれることがまず嬉しいのだ。
私だって、色々考えてきた。悩みが多かった時期もあったし、それこそ死にたいなんて思うときもあった。ただ、色々な人に助けられて、それにつれて自分でも考えを持ちはじめたから、なんとかやってこれた。よく「君は自分を持っているね」なんて言われるのも、こういうことを経てきたからかもしれない。
今日もまた、友人から悩みを聞く。電話越しに泣きじゃくりながらも、なんとか話す彼女の悩み。それを自分に当てはめてみる。考える。すると、彼女が悩んでいること、今の潰れてしまいそうな心境なんかがなんとなく分かってくる。
「分かるよ。分かる」
自分の考えたことを、口に出してみる。私なりの、百点ではない答え。なんとか伝われ、と力を込める。
すると、その子は「ありがとう」と、鼻をすすりながら言うのだ。伝わったのかな?それなら良かった。
こんな私でも、力になれたなら、それは良かった。
でも、後日その子にこんなことを言われた。
「前と言ってることは違かったけど、そういう見方もあるんだなって、思った。ありがとう」
少し引っかかった。この間、なんて言ったっけ?
あくまで、「私」という一人間のこと。「私」という個人は、その子を理解できていない。あくまで自分の価値観。でも、それができる「私」は素晴らしいと思う。
でも、「私」には大きな欠点があるだろう。
彼女は、他人の持っているものの大きさが分からない。その時は一生懸命考えられても、その後はどうだろう。他人を推し量っているようで、できていない。人のことを考えているようで、自分からの矢印だけでしか考えていない。それが全て。自分が気を遣っていると思ったら、それが正しい。もしかしたら人を傷つけているかもしれないのに。
本質は優しいのだろう。そしてそれは、他の人からも認められるものであることは間違いない。しかし、私は表にある物事の、決して離すことのできない裏を見る。その優しさは、時に残酷であるというのを、「私」は理解しなければならない。
「私」に伝えたい。嘘はやめろと。気遣いの嘘は、とてつもなく薄っぺらい。だから、すぐに色々なことを忘れて、ボロが出るのだ。そしてそのボロで、傷付く人がいるのだ。
「自分を持っている」あなたのことを、周りはこう思うようになる。「こいつは変わらないし、変われない」と。
不変なんてない世の中に、不変が存在している。それが「私」の大きな長所であり、大きな欠点だ。
6はなんだか切ないね
7はこれが的を射ているのかも微妙




