生きることを望まれたけれど
自分は、何なのだろう?
こうなることを望んだのは誰なんだろう?
誰が、産んでくれと願ったのだろう?
誰が、こんな体にしてくれと頼んだのだろう?
生めと頼んだ覚えはなくて。
造ってくれと願ったこともなくて。
生首になってでも生きたいなんて、望んだこともなかった。
何もかもが、今までと違っていて。
私を産むと決めたのは、両親で。
私の死を願ったのはお母さんで。
生を願ったのもお母さんで。
私を自分のために利用したのはお父さんで。
そのために生を願ったのはお父さんで。
私はなんのために産まれてきたのだろう?
私はなんのために造られたのだろう?
生きろ。
生きろ。
生きろ。
そんな両親の願望だけで、私はとても長い時間を生きてきた。
私だけ長生きはしたくなかった。
だから、お父さんもお母さんも同じにしようとしたのに、上手くいかなくて。
ずっと一人は、それでも寂しくて。
家族や友達が欲しくて、同じようにしようと頑張った。
でも、皆死んでしまう。
人間も、エルフも、魔族も、その他の種族も皆死んでしまう。
それでも、と頑張り続けた私に、神様は微笑んでくれた。
神様は、味方をしてくれた。
私と同じ、死なない人達と出会わせてくれた。
首がもげても、手足が引きちぎられても、再生する。
私よりも、すごい体を持つ人達。
真っ白い人は怖いけれど、もう一人の人はとても優しそうで。
私のお兄ちゃんになってくれそうだった。
お兄ちゃん。
欲しかったんだ。
ずっと、ずっと。
私の傍にいてくれる人。
私と同じ、造られた人。
お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん。
私を見て?
私と一緒に生きて?
そして、ずっと、一緒にいてください。
あぁ、私はお兄ちゃんのことがとても好きになってしまったようだ。




