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「なんかあったん?」
友人宅にて、ステータス画面に指を滑らせ続けていた彼は、ハッとして友人へと顔を向けた。
「んー、なんて言うか、ボランティアが身を結んだというか」
曖昧に笑って、そう答える彼に友人が首を傾げる。
「なんだそりゃ」
「いや、中々ネットの世界は楽しいなぁって話だよ」
「ふぅん?」
友人が答えたあと、その友人の携帯電話が震えた。
「お、リーチとマサ、もうすぐ着くってさ。
ついでにジュースのお代わり持ってくるか。
ツカサはコーラとお茶どっちがいい?」
彼――ツカサが答える前に、友人がたまたま拾って飼うことになったペットのドラゴンが、尻尾を変化させてコーラを所望した。
「ぎゃう!!」
「はいはい、ゴンスケはコーラな。
お前、ほんとコーラ好きだなぁ。
で、ツカサは?」
「じゃ、僕もコーラで」
友人が、冷蔵庫で冷えているコーラを取りに部屋を出る。
ペットのドラゴン、ゴンスケも人型に変身してそれについて行く。
アヒルの親子みたいだなぁと思いながら、それを見送った直後。
ツカサの元に一通のメールが届いた。
イタズラ、迷惑メールかなと思いつつも、つい中を確認してしまう。
それは、あろうことか先程まで掲示板で名前を見ていた人物からの、それも捜査局からの正式な捜査協力を求めるメールだった。
「…………これは、また、熱烈なラブレターだなぁ」
それが本物であることは、霊視できる人こと、ツカサには一目でわかった。
他ならない、その目でわかってしまった。
都市伝説としては、知っていた。
捜査局が民間人へ捜査協力を求めることが、あると。
まさか、本当だったとは。
少しだけ考えて、ツカサはメールを返信した。
捜査に協力すれば、それなりのアルバイト料が出ると記載されていたからだ。
普通にお金は欲しい、彼にも買いたいものがそれなりにあるのだ。
こうして、彼は神殿が担当する事件へと首を突っ込むことになり。
後々、一方的に少女の相棒と認定されることになるのだが、彼はそんな運命をまだ知らないでいた。
何故なら彼の瞳が映すのは過去であり、未来ではないからだ。
しかし、それはまた別の話である。
メールを返信し終えるのと同時に、先程友人の携帯電話へ連絡をした、エルフとダークエルフの友人たちがやってきた。
ジュースも運ばれてきた。
そうして、いつもどおりのバカ騒ぎが始まったのだった。




