第7話 魔術のお師匠さま
11/20(月)の投稿です。
「そうすると……僕は潜在力が0なので、逆尖人?ではないんですか?」
僕はアルに向かってそう質問してみた。潜在力がマイナスなのが逆尖人ならば、僕は0だから逆尖人ではない事になる。
「あー……魔術を使えたから恐らく逆尖人だね!」
「でも、潜在力0ですけど……」
「ん!それはね、恐らく潜在力を刻む時に使った魔法陣が0以上のものを判定するように書かれたものだからだよ」
「あー、なるほど……。それじゃあマイナスの人は全員0になるってことですか?」
「ん!その通り!頭いいね。だから昔は僕も潜在力0だったんだよ」
「それなら、なんで今はマイナスになっているんですか?」
「あぁ。これはね、特別な魔法陣で術式を上書きしたからさ!ボクは魔法陣の事はよく分からないけど、王都に行けばそういう専門の人がいるんだ」
ここまでアルの話を聞いて、やっと全体像が掴めてきた。
僕は恐らく逆尖人で、潜在力がマイナスだから、魔術が使えた。そして、普通の魔法陣で潜在力を測ると、マイナスは測れないため0と表示される。そしてアルも逆尖人である……と。
「逆尖人って意外とたくさんいるんですか?」
「あはは!いないよ!君の周りにも潜在力0なんて君しかいないだろう?しかも一般的にあまり知られていないんだよね……。だからボクみたいなのが任務で借り出されるんだよ」
「任務……?」
「そ!ノカに潜在力0が現れた……ってね。ちょっと行ってこいって言われてさ」
アルが言うには、現状、魔術が使える者は少ないため、周りにそれを指導してくれる人もいないという事が多いようだ。そのため、冒険者や国お抱えの魔術師が借り出されている状況らしい。
「ってことは……アルさんが魔術指導してくれるってことですか?」
「ん!そうなるね。師匠って呼んでくれてもいいよ?」
「……」
「え?ねぇ?え……?なんで嫌そうな顔するの?ここ、喜ぶ所だよ?」
「……」
「さすがのボクでもちょっとは傷ついたり傷つかなかったりするよ?」
「……」
さすがにって言ってる時点で、自分が普通じゃないって言ってるようなものだ……。
「じゃあ、師匠(?)、よろしくお願いします」
「あははは!ねぇ、なんで?なんでそんな渋々引き受けようかみたいな感じになってるの?渋々引き受けるのこっち!こっちだよ?」
「……冗談ですよ。お願いします。師匠」
「う、うん。よろしく!」
こうして、どうやら僕に魔術のお師匠様(?)ができたようだ。
でも、確かにアルの動きは凄かったし、潜在力がマイナスは付いているが728なんて本当に見たことがない。物語に出てくるようなレベルだ。まぁ性格には少し、いやかなり難ありな感じもするが、魔術や師匠という、初めて触れるものに、僕は密かに心を踊らせるのだった。
最後までお読みいただきありがとうございましたm(*._.)m