第4話 アレイスター・リーという魔術師
11/17(金)の投稿です。第4話になります。
「はぁーあ。めんどくさいなぁ」
一人の青年がそう呟いた。この青年、名をアレイスター・リーと言う。
アレイスターことアルは、ある任務の最中であった。しかしやりたくもない任務に付かされ、やや御機嫌斜めである。そんな中、『めんどくさい』という口癖を呟きながら、目的地に向かって歩いている所である。
「あんのジジィめんどくさいことは何でもボクに押し付けやがって……」
アルは目つきが悪い。目が細く、怒ると殺し屋のような目になる。今回も例外ではなく、連続殺人者のような三白眼である。
「あ、おっと……笑顔笑顔」
アルはそう言って立ち止まると、普段通りの不敵な笑みを浮かべる。
どうやら本人はこれが営業スマイルだと思っているようだ。しかしこんな不敵な笑みでは、相手を苛立たせる方にしか向かわないだろう。元々目つきが悪いので仕方がないが……。
「ノカなんていうド田舎に、ほんとに逆尖人なんているんだか……」
そう。彼の今回の任務は、ノカという田舎の村で『逆尖人』というある能力を持った人間が発見されたという噂が立ったため、その人間を見つけ出しあるべき方向に誘導するというものである。アルは、めんどくさいめんどくさい言っているが、彼自身も『逆尖人』であったため少しは興味があった。そもそも彼の性格上、全く興味がなかったら任務からトンズラしているであろう。
「まぁとりあえず、ノカまであと山三つ分くらいだから頑張ろう……お、おっと!」
アルがそんな独り言を呟きながら歩いていると、目の前に大きな狼たちが現れた。体調は、2.5mくらいだろう。そしてその数七匹。
「へへへっ。ちょうどイライラしてたんだよね」
そう言ってアレイスターはその狼たちに向かって構え、何かボソリと呟きながら握りこぶしをつくる。
そして、その握りこぶしを解いたその瞬間。
辺りがピカっと光に包まれる。
ドゴォオオオオーーーン!!
次いで、空気を切り裂くような音と地響きが起こる。
「ほい!ストレス解消っと!」
光が消えると、アレイスターは平然とそう言いながら歩いていた。そしてそのうしろには七匹の狼たちが痙攣し、なぜか辺りが水浸しになっていた。
「さてと!もうちっと頑張りますか!」
こうしてアレイスターはまた歩き出す。
こんな中二病満載で格好つけてる彼だが、何時間か後に動物用の罠に足を突っ込むという痴態を晒すことは、まだ誰も知らない。
最後までお読みいただきありがとうございました<(_ _*)>
今回は、少し時系列がずれたアル視点のお話でした。次回から、また時系列が戻ります。