第2話 遭遇
11/14(火)の投稿です。今日3話目の投稿ですね。
家の裏口から出て、裏山へと向かう。ただ裏山へ向かうと言っても、家からは目と鼻の先なのですぐに到着した。
まずは山菜採りだ。食べられる山菜があるポイントを周り、そこに生えている山菜を集める。
しかし、採り過ぎはよくない。全て取ってしまったら、繁殖していかなくなってしまうからだ。前に褒められると思って手当り次第山菜を採った時に、『採りすぎだ』と言って半殺しにされたのは苦い思い出として記憶に残っている。
こうして苦い思い出に浸りながら、今日食べるだけの山菜が集まったので、次は罠の確認だ。
罠の確認はお気楽な山菜集めとは違って、緊張感を持たなければならない。それは、剣術のできない僕にとっては危険な、犬などの動物がかかっている事があるからだ。ただ、ここの地域では魔物は出ないので、それは唯一の救いだろうと思う。
罠の地点まで到着した時、何かが動いており、罠にかかっているだろう事がすぐに分かった。動作が大きかったので、恐らくかかったばかりだろう。
素早く罠に近づくと、かかっていたのは茶毛の小さな子犬だった。更に近づくとこちらに気づいた様子で、「クゥン」と鳴き声をあげてこちらを見つめてきた。
「子犬かぁ……」
僕は潤んだように見えるつぶらな瞳に惑わされる。確かに、犬は食べる事はできる。ただ、子犬を食べるなんて……。
しかし、何も動物を持って帰らなかったら、山菜だけとパンだけの夕食に父上が苛立ち、僕に当たり散らすかもしれない。
両者を天秤にかけ、考える。
その結果……僕は子犬を逃がす事にした。当たり散らされた時に嫌なものは、一瞬の痛みだけだ。しかし、子犬を食べたら一生引きずる気がする……。
子犬に近づき頭を撫でると、人慣れしているのか、何の抵抗もしなかった。僕はそれに気分を良くして、暫く撫でたあと、罠を外してやった。
そしてその時。
罠を外した瞬間。
その子犬を白い煙が覆い、僕は思わず後ずさる。
煙が消えたと共に、何か大きなものがその中から出てきた。
「やぁ」
そこには茶色の髪を目元まで伸ばし、何か胡散臭そうな匂いを放つローブを羽織った青年が立っていた。
最後までお読みいただきありがとうございます(〃・д・) -д-))ペコリ