第1話 ゼロという名
11/14(火)の投稿です。本日2話目です。
「お前は勉強も剣術もできないのだから学校には行かなくてよい!」
これは僕が幼い頃から父上に言われ続けてきた言葉だ。
僕は今年で10歳になる。僕くらいの歳には、学校に行くのがごく一般的だ。しかし、幼い頃から僕は勉強ができない、剣術もできないと父上から決めつけられ、学校には行かせてももらえなかった。
不公平だと思った事はあるが、今はそれを変えたいと思わない。それは、何も考えない方が楽だと知っているからだ。そして何よりも、僕の額には意味を持つ記号が刻まれていないから……。
僕の額には「0」の文字が刻まれている。名前はそれに因んでおり、神父様からゼロと名付けられた。
しかし、この名前は僕にとって好ましいものではない。なぜなら、額の数字は司祭様が魔法によって刻んだ潜在力であるからだ。
僕の潜在力は、0という事だ。つまり生まれた時から全ての能力が無いと判断されたということだ。何をやってもうまくできないし、うまくできない。だから学校にも行かせてもらえないのだ。
まぁそんなことより、今日僕がやることはいつも通り家の仕事の手伝いだ。主に洗濯、料理など、母上の手伝いをしたり、裏山に山菜を採りに行ったり動物用の罠を確認したりする。
今ちょうど母上の手伝いがあらかた終わったところなので、裏山へと夕食の食材を採りにいこうと思う。
お読みいただきありがとうございましたm(_ _)m